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マリリン・モンローがとんでもなく可愛く見える

掲載日:2026/06/09

 


 久しぶりに映画を見た。


 なんとなく配信サイトの画面をスクロールしていて、ふと目が留まった。そのタイトルは、


『お熱いのがお好き』


 一度見た記憶がある。確か、女装した男二人組がドタバタと逃げ回るコメディで、やたらと面白かったはずだ。


「懐かしいな」


 軽い気持ちで再生すると、なんとカラーじゃない白黒の画面だった。


 そして驚いた。画面の中のマリリン・モンローが、とにかく可愛いのだ。


 歩き方も、笑い方も、少し困ったように眉を寄せる仕草も、歌う姿も、そのすべてが可愛い。


 昔見たときは、世間で言われるセクシーな大人の女性というフィルターを通して見ていた気がする。お色気担当の、ちょっとおバカなお姉さんだと。


 あるいは、ストーリーのコミカルさに気を取られて、彼女の代わりに誰が出ていても気づかなかったかもしれない。


 少なくとも当時は、「可愛い」なんてこれっぽっちも思わなかった。


 なのに、今見るとどうだ。


「なんでこんなに可愛いんだ……」


 気がつけば、名優ジャック・レモンでもトニー・カーティスでもなく、わたしの視線は彼女ばかりを追いかけていた。


 映画がエンドロールを迎える頃には、完全に彼女のとりこになっていた。


 翌日、友人との昼食の席で、その興奮を語った。


「昨日さ、『お熱いのがお好き』を見たんだよね」


「ああ、マリリン・モンローの映画?」


「そう。それでさ、彼女がもう、めちゃくちゃ可愛くて!」


「ん?」


「いや、昔見たときは『こういうのがセクシーか』くらいにしか思わなかったんだけど、今見ると本当に可愛いんだよ」


 友人がぴたりと箸を止めた。


 そして、わたしの顔を数秒じっと見つめる。


 妙な予感がした。


 友人はたっぷり間を置いてから、芝居がかった口調で言った。


「そりゃあ、あんたが歳を取って男になったんだよ」


「は?」


「だから、男になったの」


「なんでそうなるのよ」


「そういうもんなんだって」


「勝手な分析しないでよ!」


「ふふん。十分な考察のもとに導き出された、根も葉もない暴論さ」


「何それ」


「まあでも、彼女の映画はたくさんあるんだから、これからいくらでも楽しめるじゃない」


「確かにね」


 そうして昼食は、いつの間にかずいぶん長くなっていた。


「それにしても、あのラストは大胆よね」と友人が言った。


「『誰だって何かしら欠点があるもんだ』ってやつ?」


「笑ってごまかしたのかな……」


「かな」


「今だと男は欠点じゃないとかって非難されたりして」


「それ、怖いよ」


「むしろ今のほうが笑えないかもね」



いつも読んでいただきありがとうございます!


誤字、脱字を教えていただくのもありがとうございます。

とても助かっております。

楽しんでいただけましたら、ブックマーク・★★★★★をよろしくお願いします。

それからもう一つ、ページの下部にあります、「ポイントを入れて作者を応援しよう」より、ポイントを入れていただけると嬉しいです。

よろしくおねがいします。


書籍を出すことができました。

挿絵(By みてみん)




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