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 第八話「メイン盾がきたらしい」


「なんだよこんなところに連れてきて」


 お馴染みのグリーヴァ君が不満げにもらす。


「今日はグリーヴァ君には大事な役目を与えます」


 そう言って俺は手に持ったアイテムを渡す。


「なんだコレ」


「お鍋の蓋です」


 さっきからずっと持ってただろ。


「みりゃわかんだよ! なんで渡したかってことだよ!」


 プンスコなグリーヴァ君。

 今日はご機嫌ななめかな?


「防御力を高めるためです」


「高まるか!」


 木でできたお鍋の蓋を地面に叩きつけるグリーヴァ君。


 ふぅ。何もわかってないな。


「バカめ。そしてバカめ。これは東方の国では古式ゆかしい防具だぞ?」


 俺は呆れながら蓋を拾う。


「そ、そうなのか?」


「そうだ。東方では先妻が後妻相手に殴り込みに行く風習があるのだが、その際の防具として使用される」


 ちなみに本当だ。

 昔の日本で行われていた後妻打ちという風習。

 殴り込みに行く方はしゃもじや杓子、箒などを使う。


「東方の国は恐ろしいんだな……」


 怯えるグリーヴァ君。

 そんな反応をされたら追い討ちをかけたくなるじゃないか。


「お前もファムに刺されるようなことはするなよ?」


「ファムはそんなことしないだろう!」


「だといいな。さぁ、そんな事より本日のお仕事をお伝えします」


 俺は更に怯えた様子のグリーヴァ君に改めて鍋の蓋を渡す。


「そんな事って……」


 青年よ大いに悩め。


「今日はこの森に入ってモンスターを狩ります!」


 俺は後ろに広がる森を指し示し、高らかに宣言する。

 ザ・リベンジ!


「な、ダメだろ! この森には入るな! モンスターを甘く見るな!」


 真面目な顔で止めに入るグリーヴァ君。

 モンスターが絡むことには真剣だ。


「安心しろ、大丈夫だ。既に俺は一戦交えている」


 大敗を喫したけど。


「なんだと? お前、掟を破って中に入ったのか?!」


 歯を剥き出しにして怒るグリーヴァ君。

 破天荒な彼も村の掟には真摯だ。


「それも問題ない。ホロ村長001には、俺が必要な事だと伝えれば問題ない」


 ジジイの名前呼びにくいな。

 今度適当に名前をつけてやろう。


「爺さんは関係ねぇ! 掟は掟だ!」


 ふむ。次期村長としての自覚が出てきたのか、ヒートアップするグリーヴァ君。


「ならば問おう。これが村を守る第一歩だとしたら、お前は掟と前者どちらを選ぶ?」


 意地悪な質問だが、これは必要な事なので、是が非でも手伝ってもらわねばならん。


「ふぅ! ふぅ! …… どういうことだよっ!」


 息を荒げ肩を怒らせ、それでも話を聞こうとする姿勢に成長が見られるな。


「俺たちは強く在らねばならん。モンスターに遅れを取らないように」


 俺の言葉を聞くとグリーヴァの顔が大きく歪む。


 低く、唸るように。

 それこそ獣のが威嚇するかのように。

 マグマのような怒りを湛えてグリーヴァは言う。


「親父のことを言ってんのか?」


 彼の琴線に触れることはわかっていた。

 だが、父親のことでモンスターを嫌厭されては困るのだ。

 村が滅んでから、やっとその気になるようでは遅いのだ。


「そんな意思はなかった。だが謝ろう。すまなかった」


 俺は最敬礼で頭を下げる。

 その上で続ける。


「だが、どうか協力してくれないだろうか。絶対に必要なことなのだ」


 俺が頭を下げたまま言葉を待つ。

 森のざわめきだけが聞こえてくる。


「村を……」


 ポツリと呟くように。


「村を守るためなんだな?」


 今度はハッキリと。


「ああ。絶対に必要だ」


 ヒュゥッと息を吐く音が聞こえる。


「わかった。頭を上げてくれ。調子が狂うぜ」


 その言葉に俺は頭を上げる。


「ありがとう。もう一度謝らせてくれ。すまなかった」


「もういいよ。俺も過剰に反応しちまった。すまなかった」


 まるで青春アニメのワンシーン。

 俺たちの間に爽やかな風が流れて…… いったらよかったのにね。


 おいちゃん、頭を下げるの得意なんだ。

 説得の手段でしかないの。

 ごめんね?


「じゃあ、お互い納得したと言うことで作業にかかります」


 さぁ、お仕事お仕事。


「なぁ、なんか俺騙されてないか?」


「騙されていない。大丈夫だ。問題ない」


 あっけに取られているグリーヴァ君の手を取り森の入り口ギリギリに立つ。


「おいシヤ。武器もなしでどうやって戦うんだ?」


 困惑した様子で尋ねてくるが、やれやれだぜ。


「君の目は節穴かね? ず〜っと俺が持ってるだろ。スコップを」


 ホロ村長001から巻き上げた、現時点での最強武器だ。

 なんとその攻撃力5!

 俺でもうりぷーを二発でいける。


「見ないようにしてたんだよ。うちの家宝だぞ?」


 苦虫を噛み潰したような顔。


「大丈夫だ。問題ない。ホロ村長001から正式に譲り受けた」


「どうやってかも気になるが、なんでお前、爺さんのこと呼び捨てなんだ?」


「格付けが済んだ」


 俺が上! ジジイが下だ!


「なんかもう、よくわかんねぇよ……」


 困り眉。

 世の中には知らなくてもいい事があるんだよ?


「さて、ここから5メートル進むとモンスターが飛び出てくる。君には7メートルの地点で、モンスターを()()()()様に突撃を防いでもらいたい」


 俺は森の入り口から、対象箇所を指差しながらグリーヴァに指示を出す。


「お前が言うなら、きっとそうなるんだろうな。だけど、俺死なないか? それ」


 言葉とは裏腹に肩をすくめて軽く聞いてくるグリーヴァ。


「そのための鍋の蓋だ。それを装備したお前ならダメージは通らない。これは確定している」


「確定か……。じゃあ、大丈夫だな」


 にかっと歯を見せて笑うグリーヴァ。


 ……随分と信頼を得られているようだ。


「ああ。大丈夫だ」


「よし行こう!」


「あ、まて」


 意気揚々と飛び出そうとするグリーヴァを制止する。


「なんだよ? ここはビシッと進むところだろ?」


 気合いを入れたところに、水を差されてむくれるグリーヴァ。


「違う違う。作業って言っただろ。手順があるの」


「なんだよ手順て」


「そりゃお前。高所安置狩りの準備だよ」


 サンドボックスだったらセオリー中のセオリー。

 知識無双にもなりゃしない。


「高所?」


「はいはい。考えなくていいから。言われたら1メートル進んでね」


 そう言いながら、俺は地面をスコップで叩く(・・)

 3回叩くと地面がブロックに変わる。

 その土ブロックを作っては森の道に積む。


 叩く積む。

 叩く積む。


 そして、いよいよ5メートル進んだところで、うりぷーが飛び出す。


「ぷぎぃー!」


「でたぞ! シヤ!」


「目の前まで行って防御!」


「おう!」


 勢いよく飛び出していくグリーヴァ!


 突進するうりぷー!


 森の入り口を出て地面を叩く俺!


 ……これが俺の仕事だから。


「ぷぎゃー!」


「おらぁ!」


 熱い戦いが繰り広げられている様子。


 その後ろで今度は穴を掘っている俺。


「ぷぷぷぅ!」


「でりゃぁ!」


「よし! 出来た!」


 これで、うりぷーがリポップしても穴に落ちて上から攻撃できる。


「グリーヴァ! もう倒してもいいぞ! 思いっきりぶん殴れ!」


「おっしゃあ!!」


「ぷぎっ」


 思い切りお鍋の蓋を振りかぶって、うりぷーをぶん殴るグリーヴァ。

 吹き飛んでキラキラと光になって消えるうりぷー。


「ふぅ。……なんて事なかったぜ!」


 喜色満面で気炎をあげるグリーヴァ。

 これでモンスターに対するトラウマも解消されただろう。

 興奮に打ち震えている。


「お疲れさん。助かったよ」


 俺は落ち着いたグリーヴァの手を掴んで引き上げる。


「へへ。次からも任せろよ!」


「あ、しばらくは大丈夫」


「え?」


 梯子を外されたみたいな顔をして戸惑うグリーヴァ。


「ぷぎぃー」


 そこにうりぷーがリポップした。


「またきたぞ!」


「あ、大丈夫なんで」


 グリーヴァを手で制す。


「ぷぎゃっ!」


 うん。穴に落ちた。問題なしだ。


「えい。えい」


 上からスコップで二回突き刺すと、消滅する哀れなうりぷー。


 大体五分に一回リポップか。

 結構かかるな。

 えーと、うりぷーの経験値が2だからぁ___


「なぁ」


 一日八時間やったとして___


「なぁってば!」


「なんだよ?」


 今計算してる途中でしょうが。


「そんなに簡単に倒せるなら、なんで俺が前に立つ必要があったんだ?」


 気づいたか。


「一つはお前にモンスターに慣れてもらうため」


「なるほど」


 納得できると頷くグリーヴァ。


「あとは、俺の方にモンスターが来たら死んじゃうから盾役。倒させなかったのもタゲが俺に飛ばないように」


 こっちが重要。

 もう、あんな目はゴメンだぜッ。


「……盾って」


「いや、盾役って超絶重要だからな? これマジで」


 しょんぼりしているグリーヴァにRPGの基礎を教える。


「メイン盾がいるかいないかで、戦闘に勝つるかどうかが大きく変わるのは確定的に明らか」


「そ、そうなのか?」


「そう。しかも盾役をできる奴は基礎能力が高くないとダメなんだぞ」


 俺が懇々と説くと嬉しそうにするグリーヴァ。


「そうかぁ? 俺基礎能力高いのかぁ? 参っちゃうなぁ」


「あ、暫くは盾の出番ないんで」


「え?」


 おっと、うりぷーがリポップ。

 えい。えい。


 今日はレベル3まで上げよ〜っと。


お読みいただきまして誠にありがとうございます!


ちょっとゲームっぽいことができました。


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