第六話「モンスターはやっぱり強いらしい」
「さぁて。冒険の第一歩を踏み出そうかねぇ!」
俺は肩を回しながら気合いを入れる。
今日は攻略の第一歩、レベル上げをしに来ている。
場所は村からしばらく歩いた森。
村の掟で立ち入ってはいけない場所だが、誰も見ていないのでヨシッ!
「えぇと、多分この辺だと思うんだけど」
俺は森の入り口付近の木の根元を探る。
「あぁ、あったあった」
少し大きめの木の根元に、いかにも武器になりそうな尖った長い枝が落ちている。
俺はそれを拾うと顎をさする。
ふむ。
また一つ新事実が発覚した。
アイテムは光らないらしい。
ゲームでは調べられるところは光っていたが、この世界ではそうではないようだ。
アイテムの場所は完全に把握しているが、今みたいに少し探さなければならないのであれば、それを念頭に置いて行動するべきだろう。
「まぁ、それはおいおいと言うことで!」
考えてもしょうがないことは後回し!
俺は木の槍(極細)を肩に担いで森の中に足を踏み入れる。
「ぷぎぃ〜!」
入ってすぐに茂みからモンスターが飛び出てくる。
まん丸な体に、つぶらな瞳。とても短い足に、ちょこんと飛び出ている牙。
「ぬぅううッ! リアルで見るとことさら可愛い!」
このウリボーを円だけで描いたようなモンスターは『うりぷー』
このゲームの最弱モンスターだ。
「ぷぎゅっ! ぷぷぎゅぅ!」
うりぷーは、その短い後ろ足で土を蹴りながら、臨戦体制に入る。
そのちっちゃい足で、何ができると言うのか。
俺は微笑ましい気持ちで、その愛らしい姿を眺めていると___
「ぷぎっ!」
「ぐがっ!」
うりぷーが鳴いたと思ったら胸と背中と頭に激痛が走る。
息を吸おうとしても上手くいかず、胸に更なる激痛が走る。
___なんだ? 何が起こった?
激痛を堪えながら目を開くと、空が見えた。
___吹っ飛ばされた?
俺は混乱する脳みそを無視して上体を起こす。
やはり発生する胸の激痛。
視線の先には、また後ろ足で地を蹴って、突進の準備をしている、うりぷー。
接客業してたら客にどつかれることもある。
痛みは無視して、まずは状況把握。
おそらく、アバラがいってる。
背中と頭は倒れた時の痛み。
骨折と衝撃で呼吸が困難。
恐らく目眩から脳震盪も発生。
こいつぁ、チンピラクレーマーに750ccブチかまされたときと同じだ。
だったら___いけるぜ!
俺は木の枝を杖代わりに立ち上がる。
「こ……い……よ」
うりぷーは突進しかしてこない。
ならば直線上に武器を置いておくだけでいい。
そうすれば、勝手に自滅してくれる。
そう信じて、時を待つ。
「ぷぎっ!」
「ごへぇ」
あっかーん!
これダメだ、ダメだこれ!
覚悟していた分、武器が間に入ってくれた分、1回目よりはマシな衝撃。
だがそれでも俺は無様に吹き飛ばされる。
「うごごごごごっ」
吹き飛ばされた勢いそのままに、森を転がりでる。
上はどっちで横はどっちだ?!
だがそれでも後退はしているはず!
逃げられるはず!
ここのモンスターは必ず逃げられるはず!
俺はそう願いながら、少しでも森から離れるべく転がり続ける。
激痛が比類なきパワーで俺を襲うが、助かりたいという本能が俺の背中をプッシュする。
だが、いずれ限界はくる。
俺は痛みに耐えかねて蹲ってしまった。
……どれくらいそうしていただろうか?
気を失っていたかもしれない。
蹲りながら視線をやると、森の入り口が見えた。
うりぷーの姿はない。
「たす……かっ……た……ぐぅっ!」
安堵ともに、また激痛が襲ってくる。
先ほどはアドレナリンでも出ていたのか、泣いちゃいそうなくらいで済んでいた。
今は世界を呪いそうなくらい痛い。
俺は世界に呪詛を撒き散らす前に、腰袋に入れた『栄養棒』を取り出し齧る。
するとどうだろう? みるみるうちに痛みが引いていくではないか!
「うぇ。なんかムズムズするぅ」
ほぼ瀕死から全快した感覚がなんとも不快だ。
しかし、栄養棒は20のHPを回復してくれるので、念のため持ってきておいて良かったよ。
「はぁ……」
俺は嘆息を禁じ得ない。
やれると思い込んでいた。
できて当然だと思っていた。
「シヤの個体値弱すぎだろぉぉぉぉぉぉおん!!」
俺は空に向かって怨嗟の声を上げる。
もしかしたら呪詛だったかもしれん。
やっべやべやべ、ヤバいですよこれは。
いやぁ、ヤバいですわ。これ。
シヤはプレイアブルキャラクターじゃないから知らなかった。
雑魚杉 雑魚夫ですわこれ。
計算してみよう。
うりぷーの攻撃を装備なしで受けて2ダメージ。
シヤは二発くらってほぼ瀕死。
このことからHPは5か6。
っていうか多分5。
ちな、勇者の初期HPが20。
うりぷーのHPが8
俺の攻撃は一回当たってるはずだが無傷。
おそらく俺の力は1。木の枝でプラス1=2
うりぷーの防御力も2。
ダメージが通らない。
ちな、勇者はLV1で二発でうりぷーを倒す。
「無理ゲー!!」
俺は頭を抱えて転げ回る。
むりーむりーかたつむり〜
カタッツは神様の親〜
ムーリは最長老〜
そうして一通りジタバタした俺は立ち上がる。
「はぁ。シナリオにどう干渉するかわからんけど、しゃ〜なしか」
村を壊滅させなければ問題ないだろ。
俺は現時点で手に入る最強武器を手に入れるべく村に戻った。
お読みいただきまして誠にありがとうございます!
この話に出てくるような客はいないと思いました?
いますよ。
店前で銃撃戦する二つの組織や、そこから逃げ込んでくる人とか。
入り口に弾丸飛んできたりとか。
お店に火をつけちゃったりとか。
ホントですよ?
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