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第十九話「人間が壁をすり抜ける確率はゼロではないらしい」


「おぉ。こんなにも沢山の野菜を集めるのは大変だったでしょう」


目ホロンダ村、村長に瓜二つのジジイが喜色満面で言う。


「これで奉納祭が滞りなく進められますわい。貴方にお願いして本当に良かった」


このジジイとはこれが初対面で、何かを依頼された事はない。


「さぁ、早速準備に取り掛からなくては」


そう言うとジジイは俺を置いて外に出ていってしまう。


客人を放置とか礼儀がなっていないな。

村長はみんな無礼なやつしかいないのか。


「さて。フラグを立てにいくか」


俺も腰を上げて出口に向かう。


ここは先日の田園に程近い農村。

その名も『ノーソン』。


俺は、とうもコーンを狩った後、同じ要領で他のモンスターを狩りまくった。


『キラ・トマト』高身長の耽美顔。口に咥えた茄子の花が素敵。

『こむぎちゃん』小麦で出来た、小さな三角蓑を被った黒い何か。光る白い目が眩しい。

『かぼドン』かぼちゃに手足が生えていて、物凄く濃い顔をしている。極太の眉毛と深い堀がチャームポイント。

『シューベッツ』キャベツに足が生えただけ。


これらを狩り、各種種をGETした。


そのあとは畑で各種野菜を収穫し、イベントを進めるため、ここノーソンに足を運んだのである。


「コンビニみたいな名前だよな」


本日の目的は、この村の閉ざされた祭殿にある「金の包丁」「金のクワ」それと村はずれに放棄されている「朽ちた石窯」だ。

これがあると、料理と農業が可能となる。


今回のクエストは、勇者が村長に話しかける事でスタートし、野菜を収穫してきてくれと依頼される。


この村長への声かけがクエストスタートのフラグなのだが、勇者ではない俺は当然のことながら、勇者でもホロンダ村の最初のイベントを発生させていないと、フラグが立たずクエストが始まらない。


しかし、これには抜け道があって、最初に村長に話しかけていなくとも、村長が要求してくる野菜をピッタリ丁度の数で持っていくと、先ほどのように依頼達成扱いになるのだ。


だが、問題はある。

この方法を取ると、村長がどっか行ったまま居なくなってしまうのだ。

そしてそのせいで、奉納祭が始まらない。


奉納祭が始まる事で、その途中でモンスターが村を襲ってきて、それを勇者が撃退。

その際に金の包丁とクワが光り輝き勇者の手に収まり、それを譲り受けるといった流れになっている。


つまりこのままだと、目的の品は手に入らないのだ。

というか、普通に進行不能バグだ。


そして更に、今この瞬間には祭殿に目的のアイテムは存在していない。


フラグを踏んでいくと、その途中でアイテムが出現するからだ。


という事で、まずはアイテムを祭殿の中に出現させる作業を行ってみよう。


それでどうにかなれぇ!


まぁ、村人に話しかけるだけなんだけど。


「最近は何かと物騒でね。モンスターが増えてきているんだよ」


「今年の奉納祭は無理かもねぇ。野菜をとりにいけないんじゃねぇ」


「外のモンスターには種を落とす物もいるらしい」


「毎年野菜を収穫しに行っていたモックルさんが怪我をしてしまったらしい」


「うん? 確かに私がモックルだが……うわ! 何をする! 無理矢理栄養棒を食わせようとするな! ひゃめろぉ〜」


「うちの旦那を治してくれてありがとう。これつまらない物だけど、持っていっておくれ」


シヤは石ブロックを20個と粘土を20個手に入れた。


「奉納祭はウケモチノカミ様へ感謝すると共に、村を護ってもらうように祈願する物なのですじゃ」


「チッ。風が吹いてきやがった。コイツは荒れるかもな」


「今日はとってもいい天気だよ! お兄ちゃん」


「お、おう。そうだな。だが、上の方は風が吹いてるんだよ。多分」


「ここはノーソンの村です」


とまぁ、片っ端から話しかけていくと村の現状が分かってくるわけだ。


これで、祭殿の中にアイテムが出現しているはずだ。


「まずは、石窯を取ってこようかねぇ」


俺は先に村はずれにある石窯へと向かった。


「うわ。苔だらけ!」


俺が見たものは、言われなければ石窯と分からないほどに苔むした、ドーム状の何かだった。


「これ、アイテム化出来るんかな……」


ビルダーズブレイブでは、設置型の設備やアイテムは何度か叩くとアイテム化し、持ち運びができるようになっている。


だが、壊れた〇〇と頭についているアイテムは、叩くと少量の素材が出てくるのみで壊れてしまうのだ。


「頼むぞ。これ取れないと、この先キッツイから。マジほんと頼む」


俺は祈るような気持ちで石窯をスコップで叩く。


するとどうだろうか。

苔の山が消滅し、足元に石窯のシンボルが落ちているではないか!


「セーフ。ちゃんと朽ちた石窯だ」


俺はアイテム欄をみて安堵のため息をつく。


これで閉ざされた祭殿にも侵入可能だ。

……そのはずだ。


またも不安な心を抱きながら、俺は祭殿に向かう。


祭殿は高床式になっている重層の建物だ。

朱塗りの豪華な物ではなく、木製の質素な作り。

正面には階段があり、建物の入り口には見張りの村人が二人立っている。

入り口から入ろうとすると、この二人に押し戻されるようになっている。


非破壊オブジェクトなので壁をぶち抜くこともできない。

なので、別のところから侵入する必要がある。


という事で、本日のグリッチ。

言わずと知れた、壁抜けである!


まず、祭殿の下にブロックで台を作ります。

その台の中央に祭殿の床から、一マス分開けてブロックを積みます。

詰んだブロックを一番上を残して崩します。

その次に、先ほど取ってきた石窯を浮いているブロックの真下におきます。

これで完成です。


この石窯の丸みが重要だ。


丸さが重要なんだ。


石窯を登ると頂点にブロックがあるし、頭上には床もあるしで、少し押し戻される。

しかし、ブロックの上には隙間があるので、登る判定も発生する。


押し戻されたり、登ったりをいい感じにグリグリすると床を抜けられるのである。


「さぁて。物理法則がキチンと適用されていそうなこの世界。電子の壁を超えられるか?」


俺は満を持して石窯に足をかける。


二歩目で不思議な力で押し戻されるのを感じる。


「いける!」


俺は必死にグリグリする。


物を叩くと反作用で手が痛くなり。

狭いところで大声を出せば、反響してうるさくなり。

たくさん歩けば足は痛くなり。


余計なところばっかりリアルに作られていたけれど。


今まさに! 俺はリアルを超える!!


グリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリゲリグリグリグリグリグリグリグリグリグリザリグリグリグリグリダリグリグリグリグリグリグリグリグリ___


突然その瞬間はやってきた。

目の前が古びた祭殿内部に変わったのである。


「やった! 抜けられたぞ!」


物理法則にゲーム法則が勝った瞬間である。


「勝ったな」


これができるならもう、勝ち確まである。

俺は祭殿の奥にある金の包丁とクワをアイテムボックスに入れながらほくそ笑む。


「クックック。これでこの村はもう、奉納祭をできんのだぁ」


まぁ、俺が村長をどっかやったせいで、そもそも奉納祭は始まらんのだけれども。

モンスターに襲われることも無くなったので、Win-Winという事で。


また一つイベントをスキップした俺は、念の為イベントモンスターが発生する地点に罠を仕掛け、後顧の憂いをなくし村を後にするのであった。


「さて。一回村に帰るかな」

お読みいただきまして誠にありがとうございます!


キャラがいなくなる時って、たまに別空間で見つけることができますよね。

一回消すより、隔離したほうが手間が少ないんでしょうか?


ちゃんと読めると思った方は下の☆ ☆ ☆ ☆☆を★ ☆ ☆ ☆☆こう!

面白いなと思ったら下の☆ ☆ ☆ ☆☆を★★★★★こう!

まだの方はついでにブックマークなどもお願いしたい!


いいねと感想もお待ちしております!


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