第十七話「今日も今日とて突っつくらしい」
「オラオラオラオラオラオラオラ」
本日私はエーアストの北にある岩山に来ております。
エーアストから結構離れた場所で、適正レベルは50。
危険に満ち満ちている場所だ。
山頂にはドラゴンもいる。
モンスターも勿論アクティブだし、リンクもする。
遠距離攻撃もしてくるし、足も速いから逃げることもできない。
一体でも引っ掛けようものなら、俺は瞬く間にケチャップと化すだろう。
そんな凶悪な地域で俺が狙うモンスターは『アイアンボール』
見た目は鈍色の球体に、棘がびっしり生えてる感じ。
よく見ると棘の中につぶらな瞳がある。
栗に目があると思ってくれ。
しかしこんなに攻撃的な見た目なのに、コイツだけアクティブではない。
だが、一定以上ダメージを与えると爆発して棘を撒き散らし、即死級のダメージを見舞ってくる。
しかも、近くに仲間がいると誘爆する。
この辺り一帯で最も危険なモンスターだ。
それなのに尋常じゃない防御力を誇り、爆発前に倒し切るのも難しいと来ている。
俺なんかが攻撃しても、全くダメージは通らないだろう。
だがそれがいい
ダメージがよぉ、入らないのが良いんだぜ。
こうやってデスサイズで突っつけるからよぉ!
「あたたたたたたたたたたた!」
大事なのは回数だぜ。
如何に刃先を当てられるか、それだけだぜ!
俺が与えるダメージは0。
アイアンボールに攻撃したことにはならず、アクティブにならない。
そして、回数をこなしていれば、いつか必ずデスサイズの即死効果が発動する。
なので俺はデスサイズの峰を持って、刃先でひたすらアイアンボールを突いている。
突いているというか、もう連打だ。
コイツには起動する事すら許さずに死んでもらう。
そして、名前の通り鉄鉱石をドロップしてもらう。
無限鉄鉱石編だ。
極々稀に隕鉄の鎧という全身鎧を落とすが、まぁ出ないだろう。
ゲームではこれ目当てで狩るモンスターなんだけどね。
「クケケケケケケ」
デスサイズの骸骨部分がケタケタと笑う。
即死がでた証だ。
床には鉄鉱石が落ちている。
「ふぅ。ちょっと休憩」
腕が疲れた。
なんで女神はこんなところをリアルにしたのか。
俺はアイテムボックスに入っていた水を飲みながら、いつもの文句を胸中に浮かべる。
周りを見ればモンスターはおらず、静寂に包まれている。
俺が立てかけた松明が揺らめくのみだ。
なぜ俺が地獄の地帯でこんなに寛いでいられるかと言うと、まぁ、グリッチだ。
モンスターには固定湧きとランダム湧きがある事は前述の通りだが、今回はこのシステムを悪用している。
フィールドのモンスターは通常、地上に沸くのだが、何故か特定の座標の地下に空間を作ると、そこにも湧くようになるのだ。
そこで俺はモンスターが発生するエリアの外から地下に穴を掘って、アイアンボールが湧く地域までやって来た。
ここで重要なのは、掘る広さだ。
俺が通れるくらいの広さであれば、ここのモンスターは湧かない。
そして、アイアンボールが湧く広さには、他のモンスターは湧かない。
つまり、地下ならアイアンボールだけを相手にできるのだ。
これは地上が見えない状態で、何マス掘り進めればいいか理解していないとできない技だ。
このグリッチは様々な場面で使用することになる。
「さて、再開するか」
俺は腰を上げて、またアイアンボールを突く作業に戻るのであった。
お読みいただきまして誠にありがとうございます!
多分、人生で最も短い文字数の話だと思います。
今後は材料集めはこんな感じにしようかなと思ってます。
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