第5話 伝説の剣
太陽がほぼ頂点に登る中、『幻惑の沼地』にほど近い森の中の開けた空き地にて、一人の女騎士が全員の前へと進み出る。
その足運びには、気品と生まれ育ちの良さが伺えて、その動作を見ているだけでフィオーナがいい家の生まれなのだろうということが、そういうことに疎い一般庶民であるリアンにもわかった。
金属ヘルメットのわずかな隙間からのぞく、鋭い眼光がリアンの視線とぶつかった気がして、リアンは身震いをする。
「もう、もったいぶる必要もないだろう――単刀直入に言っておこう!!」
フィオーナは宣言しながら、流れるような動作でその金属製のヘルメットをついに脱いで、日の元にその優れた容姿を露にした。
一言で言えば――鋭利なトゲのような美貌だ。
隙間から覗いていた瞳は、異様に鋭く輝く金色。
肌は真っ白で、高い鼻がその顔面の美貌を際立たせている。
元から露となっていた栗色の長髪と合わせて――伝説に語られる大地の女神メモリアを思わせる、神々しい美しさ。
ぼくが思わず呆けに取られて見つめてしまったのはもちろん、ロゼッタさんにメロメロだったはずのバルザックさんでさえ、頬を赤く染めて見惚れていた。
だが、そんな傾国かと思わせる美貌とは裏腹に、その形の良い唇から発せられるのは、残酷な現実――ならぬ、ぼくらにかけられたありえない冤罪の内容だった。
「貴様らにかけられた容疑は、たった一つ!!ズバリ――封剣レミナンスの盗難だ。我が国の国宝である、国家戦力の一翼を担っているといって過言ではない!!!!これを盗んだ人間たちを大罪人と呼ばずしてなんと呼ぶ!!」
「「「「「封剣……レミナンスッッ!????」」」」」
初めて、ぼくら五人の大罪人の言葉が、一言一句漏らさず被った瞬間だった。
驚嘆だった。感嘆だった。そして――何よりの絶望だった。
「そ、そんな……僕たちに、まさかそれほど大きな容疑がかけられてるなんて……」
「容疑がかけられているっていうことは――もしかして、今、このセレスティア王国には、封剣レミナンスが――」
「ああ……ない!!そして無くなったと同時にもちろん――」
この国に封剣レミナンスを知らぬものなどいない。いるわけがない。
封剣レミナンスは、このセレスティア王国の建国と成り立ちの根幹ともなっている。
そして、その語り継がれる伝説によれば――
「邪神の封印ごと解かれてしまった――!!!!」
その剣は、かつて勇者が――世界を破滅に誘わんとする邪神の封印のために振ったとされる、神より託された神剣なのである。




