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第2話 大罪人たち

アイリ LV.2

 スキル 『魅惑の舞』 稀に相手モンスターを半魅了状態へ落とす

 魔法  なし

 得物  短槍

     ピット・シールド(鉄製の小さな丸盾)


 16歳。ハツラツとした雰囲気を持つ元気いっぱいな少女。赤い巻き毛が特徴的。冒険者としては、リアンより先輩な5年選手。愛想がよく素直なのがいいところだが、喧嘩っぱやいのが玉に瑕。


  ~~~


 シーアン・フォッグ、別名『幻惑の沼地』。

 一帯に広がる沼は足を取り、濃い霧が方向感覚を惑わす。――どころか、シーアン・フォッグ自体に古代の大魔術がかけられているとされていて、完璧な方向感覚で真っすぐ進もうとも、何度も同じ場所を通過してしまう、と言われている不可思議かつ、危険な場所でもある。

 『迷いの沼地』なんて別名もあるくらいだ。

 

「見えてきたな。あいつらだ。お前らにとっては知り合いのはずだが……おまえらと同じ大盗難の罪を犯し、妖精樹(ピクシー・ウッド)の宝石を手に入れる任務を言い渡された連中だ」


「いや、私、知り合いじゃないんですけど……?リアン、知ってる人いる?」

「いや、いないいない。いるわけない。アイリが盗みなんてしてないように、ぼくも冤罪だからね」

「またまたそんなこと言ってぇ~、いつもちょい盗みぐらいはしてくるくせにぃ~」

「まだ擦り付けようとしてる!?それ、本当に勘違いされるから、冗談でもやめてよね!?」


 アイリが口の端をつりあげてニタリと言った言葉に、ぼくは必死に抗議の声をあげた。

 やけに今日のアイリは、しつこくぼくに構ってくる。あるいは、アイリなりにぼくの緊張を和らげようとしてくれてるのだろうか?――否、アイリの瞼がピクピクと引きつっており、落ち着けていない様子だ。気が動転しているのだろう。

 仕方ない、ぼくがしっかりしなきゃな、とぼくは嘆息した。


「とにかく……ぼくとアイリが無実だってことを、他の人たちとも一緒に話して、説得しないと……」

「他の人たちは、本当に罪人かもしれないでしょ!?もしも、私たちを巻き込んで擦り付けようとしてきたら!?」

「それは……さっきアイリがしようとしてたことだね」

「罪人じゃなかったとして――、やっぱり、こっちに罪を擦りつけてくる可能性はあるわ!こっちが罪人だって思っても不思議じゃないもの」

「うん、擦り付けようとしたのも、罪人だって疑ったのもアイリがしたことだけどね」

「それにしても――」


 前傾姿勢になり、真紅の瞳を細めてアイリが見つめる先。

 ぼくらと同じく、大罪を疑われている三人の人物がいたわけであったが――。


 まず目についたのは、丸々と太った巨漢であった。浅黒い肌の持ち主で、筋骨隆々。丸太を通り越して柱のように太い両腕と厳しそうな仏頂面以外は、全て真っ黒な鎧の中に身を包んでいる。身長は優に2Mを越している。恐るべきは横幅も、ほぼ同じ大きさがあるというところであり――THE・戦士といった感じの見た目というべきだろうか?髪と髭は真っ白であり、恐ろしく長く蓄えている。背中に背負うのは、ぼくなんか丸々隠れてしまうであろう、太くて分厚い武骨な特大剣。


 続いて目についたのは、線が細い女性の槍使いだ。全身を真っ青な旅装で統一しており、特徴的なのが頭に被る尖がり帽子。先っぽが二股に別れていて、魚の尾ひれのように見えなくもない。髪の色と目の色は深い藍色であり、垂れ目。身長は170cm程と、ちょうどぼくと同じくらいだ。白い槍が、いわゆる長槍といわれる種類のものであり――背にナナメに留めてあるのに、彼女の頭より上に飛び出している(目測2Mか……?)。


 そして最後に――緑色の鳥の被り物を頭に被った、明らかなる変人。皮鎧のみを身に着けた軽装であり、その手には肌身離さず、木製の弓が握られていた。被り物のせいで表情は読めず、のぞき穴からのぞく視線は鷹のように鋭い。身長は150cm程で、ちょうどアイリと同じくらいだった。


「うん――あんな変人集団、大罪人に違いないわね!」

「いや、逆にありえないだろ!!」


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