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魔法使いの弟子 ~警視庁 公安部 異世界対策課~  作者: 鷹羽 樹


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第7話 Fantasy meets Science (non)Fiction

 進藤は、タッチパネルを手に、ポチポチと注文ボタンを押している。

 伸二は、ドリンクバーのお代わりを取りに行こうと立ち上がった。


「私も行こうかな。進藤、お代わりいるかい?」


「氷なしメロンソーダ」


 田中は、グラスを二つ持って、伸二の後に続く。


「田中さん、進藤に、あのこと、雇用のこと言うつもりですか? 課長は言わない様に言ってましたけど」


 サーバーでアイスコーヒーを注ぎながら、隣のサーバーでコーラを注いでいる田中に聞く。


「ええ、言うつもりですよ。課長の事ですから許可をもぎ取ってきます。ついでに戸籍…は無理でも滞在許可ぐらい取ってきてくれればいいんですけど」


 田中は、メロンソーダも注ぎ終わり、二人でテーブルに戻った。


 テーブルに戻ると、進藤は口の周りを照り焼きのタレだらけにして、チキンにかぶりついていた。いつの間にか髪の毛も、黒いゴムでまとめられて、顔にかからない様にしている。


 伸二も、自分の前にあるハンバーグを食べていると、隣でエビフライを食べていた田中は手を止めて再び話しを始めた。


「何処まで話しましたっけ…、ああ、そうそう、遠くの星系まで連れて行かれては、我々地球人には、手が出ません。そんな彼が発見されたのは、とある星系で、星間警察と軍による、違法奴隷と兵器密輸の一斉摘発からだそうです。地球は彼らの文明レベルからすると、接触不可の未熟な文明との事で、押収物からそんな地球人が大人数発見された事で、大きく報道されたそうです。一時は地球人ブームとか起きたそうですよ」


 田中は、エビフライの残りを口にすると、今度は白身フライにナイフを入れ、口にする。

 進藤を見ると、追加で運ばれたナポリタンで、口の周りをケチャップだらけにしている。


「そんな、遥か遠くの星系から、彼は如何にして帰る事が出来たのか? それは、摘発した星間国家が古くから我が国と接触があったからです。進藤達からすれば、奇跡の様な偶然だったでしょう。別星系で発見されれば、帰る事ができ無かったでしょうから」


「でも、ほとんどのヤツは帰りたがらなかったよ」


 進藤は、今度はグラタンを頬張りながら言った。


「異世界の事案に加えて、異星間事案ですか?異星国家が日本と接触があったとか、情報多すぎなんですけど…。今、進藤がほとんどって言ったけど、何人かは帰って来てるんですか?」


 伸二は頭を抱えて言った。


「今は、オレ以外は一人だけ。そいつは、荒事は嫌だって商売してる。他は、駐在所に頼んで向こうに帰してもらったみたい。だってさー、夢と希望で満ち満ちて帰ってきたら、三十年、人によっては五十年経ってて、家族も知り合いも居なくなっちゃって、しかも姿は昔のまんまだから、本人かどうかも確認出来ないから戸籍の回復も無理とか言われちゃうとねー。王国星系に帰ったヤツラ、今ごろは、渡航費用の返還請求で四苦八苦してるんじゃね」


 進藤は、デザートのチョコレートパフェを舐めながら言った。


「え、駐在所? 駐在所なんかあるの?」


 伸二はめまいがして来た。もしかしたら、今の俺の目は、マンガの様にグルグルになっているかも知れない。


「あるよー。こっから歩いて行けるよ。駐在員さん面白いヤツらだから、今度連れてってあげるよ。って、そうだそうだ。イチロー、駐在所が移転するかもって言ってた。何でも、お姫様が虎ノ門ヒルズの上層階をワンフロア買ったんで、そっちに移るかもだって」


 伸二は、横に座る田中を見ると、田中は何か苦い顔をしながら進藤の話しを聞いている。


「うちの事務所の開設に合わせて引っ越しというのも少々気になりますね。進藤はその辺の王国側の事情と動向を探ってもらえますか?それと君を継続的に雇用してあげる事ができるかも知れません。ちゃんと雇用契約書を交わしてね。そうすれば、正規の滞在許可証も貰えることになりますよ」


「おおー、オレ頑張るよ。事務所出来たら、毎日通っていいの?スーツ着て、ネクタイ締めて会社通うのやりたかったんだよ。ありがとーイチロー」


 田中は、そんな進藤を微笑ましく見ながら、締めるところは締めて置かなければと思い、進藤に言った。


「進藤、きちんと契約したらその時点で、私は君の上司になります。私の事を、これまでの様にイチローと呼んではいけません。私の役職である係長と呼んでください。それと、慎一郎さんのことはシンでは無く課長と呼ぶんですよ」


「カチョーにカカリチョーだね、分かった」


 進藤は、少し考える仕草をすると言った。


「了解しました。カカリチョー」


 進藤は、立ち上がろうとしたが、テーブルが邪魔をして立ち上がれず、座ったまま背筋を伸ばし右拳を左胸に当てて、王国式の敬礼をした。


 田中と伸二は、それを見てクスッと笑ってしまった。


「王国式の敬礼だね。日本式は違うから、後で色々教えて上げます。ここに居る、橘伸二君からも色々教わると良いですよ。彼は陸自の出向組でレンジャーで階級は曹長です。もう一人出向者が居ますのでその方とは近々紹介します。

 それと…。もう一人の残留者、赤城亮子さんとは接触はあるのですか?」


「たまに、あいつのやってる店に飲み行くよ。近いから案内するよ」


 田中は、しばらく考えると口を開いた。


「いえ、彼女には君と同じ雇用条件、正規の滞在許可証と伝えておいてください。なるべく荒事はさせないともね。それと、私の連絡先を教えてくれて構いませんよ。もし、その気になったら私の方から伺うと伝えておいてください」


「了解です。カカリチョー」


 田中は、テーブルの上を確認すると伸二に向かって言った。


「伸二君からは何かありますか?」


「いえ…。ちょっと情報が多すぎて頭が混乱しています」


 伸二は肩をもみ、首を回した。


「ソーチョー、駐在所に行く?」


 進藤は伸二を遊びに誘うかのように言った。


「あぁ、行きたいんだけど、また今度誘ってくれるかな? これから市ヶ谷にも寄らないといけないから」


 伸二は、本当に残念そうに言った。


「そうかー残念。ヒルズに移ったら、アポ無しいきなり(とつ)出来なくなっちゃうのになー」


「さて、そろそろ出ましょうか? 進藤は満足しましたか?」


「うん、大満足! ごちそうさまカカリチョー」


 三人は席を立ち出口へと向かった。

 田中は会計をカードで済ますと、二人の待つ表に出る。

 

「田中さん、ご馳走様でした。これからタクシーで市ヶ谷に向かいますけど、本庁まで乗って行かれますか?」


「そうさせて貰いましょうか。進藤、君には今週中に連絡を入れます。一度本庁まで来てもらうことになりますから。その時に後の事も説明します。では今日はこれまでです」


 田中は、進藤から伸二の方へと目を向けると、彼は手を挙げてタクシーを止めている。


「じゃあ、カカリチョーご馳走さま。ソーチョーもまたねー」


進藤は手を振ると、新橋駅に向かって走っていった。


田中と伸二もタクシーに乗り込み走り出した。

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