和風な街と新技披露
この世界の観光地兼冒険者の湯治場の和風な街、ヒュータウンに着いた彼らは、街を探索しながらクエストを受けに行くのであった。
ヒュータウンに着いた僕たちは、早速その町のギルド窓口へ行くことにした。
「私、ヒュータウンに行商で行ったことあるので、ギルドの場所は分かりますよ。たまにそこ通り過ぎるので!」
このように、シアンは何度か行ったことあるらしい。
「というかこの街、ハーフタウンとは違う良さがあるな。少し和風っぽくて」
茶屋とか和菓子屋、寿司屋の屋台があるし、侍のような冒険者が居る。旗のような織物で飾りつけもされている。ってか握り寿司デカ。
「ワフウ?よく分からんが、すげー街並みだな!」
あまり見慣れないであろうレッドにとって、それはもう興奮しまくりであった。
「勝手に出歩くなよ?まずはギルドから!」
ギルドに着いたのだが、なんか横に大きくした代わりに縦を削ったみたいな安土城みたいだな。ちょっとかっこいい。
なんか「何だこの外壁変だな。でかい石なのに登れないぞ!」と登りそうなバカが言う。
「危ないしヒビ入ったら弁償する羽目になるからやめろ」
というかさっきからシアンが静かだな。珍しい。
クエスト募集の看板は、入って右手側に貼ってあった。どれどれ……?
【水辺を汚染するダーズベールを駆除してください。難易度☆100。】
【作物を腐敗させるポイズンパープスライムを倒してくれ。難易度☆90。】
うん。こっちも難しいやつが多すぎるわ。ハーフタウンから少し離れてるとはいえ、ここに魔王軍幹部クラスの奴らが居ないわけではないのか?
と思っていたその時、シアンが声をかけた。
「こんなのなんてどうですか?森を荒らすゴブリンを2日で20体倒してください。難易度☆20。ちょっと高いかもですが、これくらいなら!」
「でかしたシアン!このクエスト受けよう!」募集の貼り紙を両手で持ち、喜びながら言う。これなら、レベルも上げることができる!
「おっしゃ、腕がなるな!ただ、少し回復してから行こーぜ?俺さっきの戦いで疲れた」
「ですね!少しこの街を観光しましょう!」
僕も疲れていたし、ちょうどいい。この街について少しは調べておかないといけない。
「僕もそうするとしようかな?」
改めてこの街の景色を見てみよう。やはり、江戸時代のような風景だ。馬車じゃなくて人力車だし、足湯や日本でありそうな温泉があるし。
「ほほはふうへひは…」
「食べながら喋るな汚い。」
み「…ゴクン。ここは有名な観光地で、冒険者の湯治場にもなるところですよ!」
僕は茶を飲みながら頷く。
「ここ、見たことない食いもんばっかだな。3色のもっちりしたやつを串刺しにしたやつに、草に包まれた黒いの入ったやつに、赤い実が入った饅頭とか!」
「順番に三色団子、かしわもち、いちご大福か。僕の元いた所にもあったなーそんなの……」
僕もよく京都とかに連れていかれたのを思い出した。あれって一体何年前なんだろうか…
体力も回復したので、そろそろクエストに行くことにした。とはいっても、やはりこの街から少し遠いところだ。ギルドの兄さん曰く「オノや剣などの武器を持っている」とのことだから慎重に行きたい。ただ例のふたりは。
「おるぁぁぁぁぁ!『ライトソード』ッ!!お前らをこれでギッタンギッタンに……!!」
「『バインド」。これで縛りプレイさせてやるァ!」
このように慎重の「し」の字もない。というか、ギッタンギッタンとか今日日聞かないぞ。
とりあえず、レッドが縛った奴をフレイムで焼き払い、残った生き残りは僕が体力を吸う。「『ヒールドレイン』。これで倒しやすくなったよ!」
「ありがとうございます!良太郎!」
ヒールドレインは範囲技、それ故に一気に体力や魔力を吸える。しかも距離が離れていても吸えるし、体力は分け与えることが出来るから、かなりいい技だ。
「実は私も、他の技教えて貰ってたんですよね。『ファイアーソード』!!この技は、炎の剣を作り、広範囲の奴を焼き払う技。相手はやられます!」
その炎の剣は、相手を全員倒したはいいものの、辺りの草に燃え移るのだった。
「アンタなんてことしてんだーーー!!!このままだと燃え広がるぞ!とりあえずこの水で……!」
運良く水を持ってきてて良かった。持ってなかったら大変なことになってた。
なんか「だってあいつらが大量にいるから!」とかいう大バカは無視して帰ることにした。
街に戻ってもなおぐすんと言うのだが、どうすればいいのか。
「ほらもうすぐで大量の金が手に入るぞ!その金であそぼーぜ!」とレッドが言った途端、すぐ泣きやみ、「ええ、そうしましょう!」と元気よく言うのだった。
「一日で全員倒してしまうとは、凄いですね。こういったクエストを一日で討伐した場合は、追加報酬を受け取ることができます。1日討伐なので通常50万マネーのところ、100万マネーとなります!」
まさか追加でお金が貰えるとは、ラッキー!
しかも倍じゃないか。みんなで分けてもそれなりに手に入る。
もちろんこの後、ギルドでご飯を食べるのだった。ただ、出てくる料理が日本の料理と非常に似ていてすごく楽しかった。
「今日と明日はここで泊まって、明後日戻ろう」
「俺それいいと思う。もっと観光したい!」
「ではそうしましょう!」
ちなみに、旅館の泊まる部屋も和風だった。床の間とかもあったし、寝具がベッドではなく布団だった。
今まではザ・異世界って感じだったけど、久々に少し日本を楽しめてよかった。