緊急事態と素晴らしい旅
「「「ハーフタウンが魔王軍幹部に!?」」」
初心者集う街に魔王軍幹部が侵略してきた!良太郎一行、いったいどうなる?
「「「ハーフタウンが魔王軍に侵略されてる!?」」」
一体どういうことだ!?魔王軍が駆け出しの街を侵略なんて聞いたことがないぞ!
「私の考えですと、駆け出し冒険者が集まる街だから、簡単に乗っ取れるといった考えです!私は他の冒険者を呼んできますので!」
なるほど…それなら納得するけど…今はそれどころじゃない。急いで街に向かわないと!
「あの、良太郎さん!」
「なんだこんな時に?」
「_________。」
最速かつ最短ルートだったため、すぐに着くことが出来た。ただ、
「…まだ冒険者がいたのか。我が名はイーヴェル。魔王軍の幹部にして、いずれ魔王の座を手に入れる者!」
「うわ〜。厨二病だ。」
「何言ってるんですか?頭お花畑なのですか?」
「さすがの俺でもありゃねーわ」
「うるせぇ!お前らもあんなふうになりたいのか!」
イーヴェルとやらが指を指した方向を見てみると、街の周辺に見事なまでに荒地になっていて、いくつか冒険者の亡骸もある。人の数が少ないが、ほとんどの人はヒュータウンに逃げたのか?
「…まあいい、これでも食らうがいい!『ビッグメテオ』!」
空からものすごい大きな岩が僕ら目掛けて降ってきた…
なんなんだあの魔法!強すぎるだろ!何とか避けれてよかった…と思ったら。
「避けるとはやるな。これならどうだ!『メテオラッシュ』!」
今度はその岩が大量に降ってきてるんですけど!!!
「なんですかこの量は!?」
「しかもあいつ、火の玉でさらに攻撃してくるし!」
何とか近づきたいが、遠距離魔法が強すぎる!
ってあれ?いつの間にレッドどこ行ったんだ?
1度辺りを軽く見渡してみたら、いつの間にかイヴェールの奴、いつの間にか別の方向見てるだと?
「クソっ!ザコ冒険者のくせにうぜェ!」
「へっ!当てれるものなら当ててみなよ!」
なるほど。
「シアン、こっそり後ろから挟み撃ちにしよう。フレイムとライトソードの合わせ技で!」
「ええ、そうしましょう!」
僕がシアンの剣に向けてフレイムを放つ。シアンが剣でイヴェールに思いっきり弾き飛ばすと同時に、突っ走る。そしてライトソードで斬りかかる。マ〇オのブラザーアクションみたいなやつ。そうすれば多少のダメージは入るはず。
「それじゃあ手筈通りに行くぞ。『フレイム』」
魔力を多めに消費した代わりに、いつもより大きめのフレイムを放った。弾き飛ばせるかは分からないが、賭けみたいなものだ。
「おんどぅりゃあぁああああ!!」
ちゃんとイヴェールの方にはじき飛ばした!しかも相手は全く気づいていない!ダメージを与える大チャンス!
「『ライトソード』!2連発!!」
火の玉とライトソード一発じゃ物足りなかったのか、2発も技を使ってくれた。
「よーやく気づいてくれたか。ほんと、大変だったんだぞ」
「勝手な行動しちゃって。ただ今はそれどころじゃないな。アイツどうしよう」
手負いなはずなのに硬すぎるようだ。攻撃を食らってもピンピンしてる…
「俺にダメージを与えるとは雑魚にしてはやるようだな。ただし、この技ですばしっこいお前らごと街を壊してやる!」
___何やら詠唱をしているようだ。なら今のうちに。
「良太郎、何をしているんだ?」
「実はここに行く前に、パールさんからある物を貰ってたんだよ。それを奴に使ってやる!」
「OK、潜伏スキルで近くまで送ろう!」
「その前に…」
僕たちが会議している間も、シアンはひたすらにライトソードを繰り出し、ダメージを与えてくれていた。正直めちゃくちゃありがたい。どんな薬かは聞いていたけど、この薬がどれだけ効くか未知数だし。
レッドの潜伏スキルにより、イヴェールの頭部にたどり着いたが、奴はまだのうのうと詠唱を続けているな。なら今のうちに、この毒を鼻にでも突っ込んでやる!
今の僕は、パールさんからもらった透明化する魔法薬のおかげで、誰にも気づかれていないのだ。ボスでも気づかないとは、相当いいものなのだろう。
「ッ!ーーーー!!!」
毒薬は、それはもう、非常に効果てきめんであった。
魔王軍幹部である何とかさんは、寝転がってじたばたするくらいには効果てきめんだった。しかもちょっと泣いてるし。
「お゛い゛!なぜ俺の弱点がわがるん゛だ!!」
ちなみに僕は、寝転がったと同時に降りて、透明化の効果もその時に切れたのだ。そして僕はこう答えた。
「パールさんが言っていた。『今街を侵略している奴の弱点は毒だ』ってな」
「っクソ!ここは撤退してまた次___」
奴が逃げようとした時。
「次なんてありませんよ、イーヴェルさん?」
パールさん!
「すいません御三方、遅くなりました!…さて。敗者にふさわしい最期を見せてあげましょうか。」
「ちょ、まっ__」
「__力の根源、我の命令。『彼の者を氷漬けにし、息絶えさせよ』。『アイスフル・フリーズ』!」
「っあ_________________。」
見事に氷漬けにされ、無事に打ち倒せた。
…こんなに怒ってるパールさん、はじめてみたんですけど。
「…パールさん、ありがとうございます。あの毒がなきゃ、多分今頃全滅なり街破壊なりされてました。」
本当に危なかった。寿命半分くらい縮んだかも…
「いえいえ、貴方達も色々ありがとうございました。」
翌日。
隣町に避難した住民は、すぐにこの街に戻ってきた。一から頑張って復興させる手間が省けたのは大きい。
その次に、僕たち3人とパールさんは、ギルドにて表彰された。
「冒険者佐藤良太郎ご一行と、パール魔導具店のパール店長。今回の魔王軍幹部のイーヴェル討伐において、あなた方は大変貢献されました。よって、佐藤良太郎一行には5000万マネーを、パール魔導具店パール店長には6000万マネーを進呈し、ここにその功績を称えます!」
それはもうギルド内は大変騒然だった。
でも、1つの街を救えたのは、小さな頃の夢を叶えたようでとても嬉しい。
ただまたあの2人がギルド内で暴れている。ただ僕も浮かれていたので、いつもより軽めの注意をした。
次この個性豊かな仲間達と、面白おかしく旅をするのが楽しみだ。