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二人の裏切り

「ちょ、何するのよ、ドゥベー!!」

 メラクの抗議を無視し、メラクを押し倒したまま拘束する。ドゥベーの体がメラクの上半身に載ったため、メラクは身動きがとれない。

「なっ、何のつもりよ!!」

「フェクダ! メラクの脚を抑えろ!!」

「あ、ああ!」

 フェクダがメラクの脚を抑える。

「このままのたれ死ぬかもしれねえんだよな! それなら死ぬ前にお前を犯してやる!!」

「なっ…」

 メラクは言葉を失った。さっきまで仲間だと思っていたのに……! 怒りと恐怖がわき起こってくる。

「こ、こんなことしてただで済むと思ってるの!? 親に言いつけたら、あんたたちなんか終わりよ!!」

「うるさい! どのみちこの森で死ぬんだ! 親に言いつけることもできねえよ!! もとはと言えば、お前がこの村にアルコルを追いかけようって言ったせいだ!! 責任とれよ!!」

 醜い責任転嫁のやりとりの後、ドゥベーはメラクのシャツを下着もろともむりやり剥がした。二つの大きな胸が露わになる。フェクダは、ドゥベーにつられてメラクのスカートをナイフで切り裂いた。滑らかで美しい脚が露わになり、きれいな絹の下着が月明かりに照らされる。

「や、やめて、お願い…!」

 メラクからいつもの強気な表情が消え、怯えたものになっている。こんなところでむりやり犯されてしまうの!?

「覚悟しろよ!」

 ドゥベーがメラクの両腕を抑え、フェクダがメラクの下着にナイフを当て、思いっきり切り裂いた。美しい絹がズタズタになり、メラクの顔がゆがんで涙目になる。

「いやっ、やめてえええ!! いやああ!!!」

 その時、フェクダに何かがドンッと突進してきた。その勢いで、フェクダは思いっきり吹っ飛んで、近くの木に激突した。

「な、何だ!?」

 唖然とするドゥベーとメラク。そこにいたのは――

「アルコル!?」

 体勢を立て直したアルコルは、七星剣を構える。

「あれ? 何でここにいるの? 悲鳴が聞こえたから来てみたら……」

 婦女暴行現場に似つかわしくない、のほほんとした口調である。

「う、うるさい!!」

 すかさずドゥベーが飛びかかる。が、アルコルは秘剣・螺旋昴を放ち、ドゥベーをあっさりと撃退した。宙に舞って倒れたドゥベーはのびてしまっている。

「メラク、大丈夫? 何があった……」

 メラクを見てアルコルは固まった。彼女は上半身裸で、下半身も下着しか着ていない。その下着も切り裂かれていて、動けばはだけてしまいそうだ。

「…ちょ、見ないでよ」

 メラクが慌てて胸を隠す。

「ご、ごめん……」

 思わず目を背けるアルコル。そこにミザルが遅れてやってきた。

「何だか知らないが仲間割れか。みじめなものだな」

 ミザルはメラクに痛烈な言葉を浴びせた。

「共通の敵を持つと人間の結束は強まるものだが、劣勢になるともろいもんだ」

 アルコルをいじめるために結束した3人組。しかし、紫微垣となったアルコルに返り討ちに遭い、さらに復讐しようと追いかけてきたものの、迷子になって醜い内輪もめをして、挙げ句の果てに婦女暴行になりかけたのである。

 ミザルがメラクを一瞥すると、メラクは顔を背けた。両腕で胸の前を隠し、脚をできるだけ閉じている。ほぼ全裸になっている格好だから無理もない。情けなかった…敵視している連中に、こんな屈辱的な姿を見られるなんて…。

 するとアルコルは、自分のかばんから何かを取り出してメラクに渡した。

「メラク、僕のスカーフと短パン。よかったら使って」

「え……?」

 アルコルの提案に目をぱちくりさせるメラク。

「ほら、後ろ向いて。胸をスカーフで隠そう」

 アルコルに促され、メラクは後ろを向く。アルコルは背後からメラクの胸にスカーフをかぶせ、背中で真結びした。短パンは自分で履くように言って、顔を反らした。

「もういい?」

「う、うん……」

 アルコルが振り向くと、メラクは恥ずかしそうにしている。が、先ほどの格好よりは何とか形がついたようだ。

「立てる? あと、ここから離れた方がいいよ」

「うん……」

 メラクはよろよろと立ち上がる。でも、どうしよう。帰るにしても船は座礁したし、代わりが来るのはしばらく先だろうし…こんな格好だったら、それこそごろつきの類いに出会った時、何をされるか分からない。

あれこれ考えていると、ミザルがさらに痛烈な言葉を投げつけた。

「助けてもらって礼もなしか。どこまでも身勝手だな。そんなことだから仲間割れして裏切られるのさ」

 メラクの顔が恥辱と悔しさで赤く染まる。

「ミザル!」

 珍しくアルコルがミザルをとがめた。

「メラクは怖い目に遭って動揺しているんだから、少しは優しくしてあげて!」

 かわいい目をキッとつり上げるアルコルを見て、ミザルは苦笑いした。

「君はどこまでも人格者だな」

「ミザルほどじゃないよ」

 ミザルは肩をすくめて言い返した。僕はいい人かもしれないが、人は悪いよ、と。


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