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鏡の洞窟へ

 五車の島の北東に向かって歩くこと二時間――2人は、とある洞窟の入り口に着いた。この島は、南は浜辺や平地があってリゾートの雰囲気を出しているが、中央から西にかけては原生林が茂り、東側には岩山がそびえ立っている。これらの地に足を踏み入れると、前人未踏の神秘なる場所という実感がわいてくる。

 洞窟は、岩山の麓にあった。いかにもダンジョンという不気味さが漂ってくる。

「さて、行こうか」

 ミザルはしれっと言って中に入ろうとするが

「待って!」

 とアルコルが止めた。

「何だ? 何か啓示でも来たか?」

「…怖い」

「まあ、そうだよな」

 ミザルは苦笑いした。少しずつ明るくなり、友達も増えたとは言えど、弱虫なのはまだ克服できないか…。ミザルはアルコルの顔をのぞき込んだ。

「アルコル、大丈夫だ。神の啓示があるのなら、神が君を守ってくれるさ」

「何で分かるの?」

「何となくさ。でも、大丈夫」

 根拠のない自信とはまさにこのことであろう。この楽天的なミザルの性格が、こういう時はうらやましい。

「さ、入った入った」

 アルコルは促されて、洞窟に入っていった。


 が、2人は洞窟に入り、二つのことに驚いた。一つは、中はダンジョンのような迷路ではなく、部屋になっていたことだ。広さは学舎の教室くらいである。危険を伴う冒険があるかと思ったら、少し拍子抜けである。

 もう一つは――こちらは大きな驚きだが、中の壁面が鏡だったのだ。自分の姿があらゆる方向に映っている様は奇妙なものだ。

 そしてその一角に――不思議なものが置いてあった。金属を小さな社の形に加工したもので、台座が五角形で珍しい。

「祠か――」

 ミザルがつぶやく。この祠が、神の啓示と関係があるのか?

 アルコルは、洞窟の中をきょろきょろと見回す。そして、ひとつの鏡の石を手に取った。

「ミザル、僕はこれを丸く加工する」

 ミザルが返事をしないうちに、アルコルは洞窟の中にあった金属の棒などで加工を始めた。金属の棒――というものの、鉄でもなく銀などでもなさそうだった。

(見たことのない金属だな)

 そんなミザルの思惑をよそに、アルコルは加工し続ける。本来なら、丸くするならさまざまな機械が必要なのだが、アルコルはこの不思議な金属の棒で研磨し続けた。小一時間ほどしたら、球状の鏡ができた。

「終わった……」

「これが鏡の玉か。思ったより早かったな」

 じゃあ昼飯でも食べようか、とミザルが弁当を取り出した時、アルコルが遮った。

「いや、もう一つ作らなきゃいけないものがある」

「は?」

 今度は、持っていた金属の棒を力任せに曲げようとしている。

 何しているんだ? 金属が人間の力で曲がるはず……とミザルが言おうとしたら、その金属が底の浅いひしゃくの形に曲がっている。

「なんとまあ……」

 アルコルからそれを受け取ってミザルも曲げようとするが、ビクともしない。啓示を受けた者にしかできないのか?

 さらに、その金属の棒には穴が七つ空いてあった。そこに、鏡の石を七つ拾って当ててみる。すると、鏡の石がひとりでに球状に変形した。

 最後に祠の前に供え、アルコルは祈りを捧げた。

(長いな…)

ミザルは持ってきたおにぎりをほおばりながら見守っていた。やがて――

「光っている?」

 その金属の棒が光り始め、やがて光が消えると七つの鏡の玉が紺色に変色していた。

「これは何なんだ?」

 ミザルが不思議そうにのぞき込む。アルコルが突然作った鏡の玉と金属の棒――アルコルは、キッとミザルを見て言った。

「今、啓示があった。この鏡の玉はポラリス。北の村の北辰の祠に納めるものだ。そしてこの金属の棒は、ポラリスの守護者の武器・七星剣だ」

「ポラリス? 七星剣?」

 ミザルは、アルコルが左右の手に持った二つのものを交互に見る。最後にアルコルは、啓示の内容をそのまま伝えた。

《アルコル、あなたはこのポラリスを納め、守護する戦士・紫微垣に選ばれたのだ》


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