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奇妙な声

「聞こえる? 何も聞こえないけど…」

 ミザルは耳をそばだてる。が、2人以外いないから、他の人間の声は聞こえない。

「…何か言っている…」

 アルコルは頭を両手で抱え、深刻な表情をしている。

(アルコルにしか聞こえないなら、やっぱり啓示だろうか)

 ミザルはアルコルを見た。

「何て言っているんだ?」

「…鏡の島に行って…鏡の玉を作れって」

「鏡の島って…どこだ?」

 ミザルは首をかしげる。そんな島、聞いたことがない。すると、アルコルが続けた。

「東の都の…北にある島…」

「五車の島かな?」

 ミザルは地図を広げた。東の都のほぼ真北に無人島がある。自然が豊かで、原生のまま残っていることから、人間の手を入れないようにしてきた島である。冬の星図でいえば、ぎょしゃ座にあたる。

「そこに鏡の玉があるってこと?」

「たぶん……」

 ミザルの問いに、アルコルは頼りなく答える。

 その時である――突然、家がグラッと揺れた。地震である。

「うわっ!!」

 思わずミザルに抱きつくアルコル。かなり大きいが、30秒ほどで止まった。

「…今のは」

 アルコルが不安そうにつぶやく。

「そういえば…先の大海嘯からそろそろ100年がたつな」

「じゃあ、もしかしたら…」

「ああ、今の地震は予震かもしれない」

 アルコルの顔が青ざめた。ということは、近いうちに大地震と大海嘯が起こるかもしれないってこと? どうすればいいの? 啓示が本当で間もなく災害が起きるとしても、それを止めることなどできるのかな……?

「アルコル、3日後に一緒に五車の島に行こう」

 ミザルが提案する。

「え、ええ!?」

 明後日が前学期の終業である。その翌日から長期休みになるため、旅行やキャンプの体裁で行けばいい。

「ためらっている暇はない。準備しておいてくれ」

 こうして、3日後の朝に2人で五車の島に行くことが決まった。


 2日後。午前中に終わった終業の後、アルコルは一度ミザルの家に行った。翌日の出立の確認をするためである。その後、一緒にアルコルの家に行き、準備をする。

 その前日、母のベナトナシュには「友人とキャンプに行く」と言ったのだ。しかし、「何考えているの!? あんたなんかがキャンプできるわけないでしょ!!」と一蹴されたのだ。それだけならまだしも、「くだらないこと言っていないで、休み中はたくさん手伝いをさせるからね! いいね!!」と圧力をかけてきた。とりつく島もないとは、まさにこのことである。

それをミザルに相談すると、「僕が説得しよう」と申し出てくれたのだ。


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