表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/116

啓示

「これは…?」

「星の大地における天地創造の物語だよ」

 アルコルはかわいい目をぱちくりさせた。幼い頃に聞いたことがあるが、うろ覚えである。

 ミザルは天地創造のところから丁寧に説明してくれた。

 星の天地は神が創られた。その後、動植物、人間を創られる。人間は神に命を与えられたことに感謝し、敬いながら社会を作った。しかし、やがて神の存在が忘れられられていった。

 そして、人間がより複雑な社会を形成して生活するようになると、さまざまな問題が起きるようになった。助け合って生きればよかったのに、個人の欲望や憎悪、嫉妬、利己心を優先させたために家族の崩壊、貧富の格差などが生まれる。

これを見て神は、人間を懲らしめようと定期的に自然災害が起きるようにした。旧約聖書のノアの箱船やソドムとゴモラの町の崩壊のように、人間社会が悪徳に満ちる頃、壊れるように仕向けたという。それが、星の大地が数百年に一度、地震や大海嘯、鬼雨、嵐などに見舞われるようになった原因とされている。

「…神様って怖いね。人間にこんな罰を与えるなんて」

「ところが、実はそうではないという話もあるんだ」

「え?」

 ミザル曰く、今では別の解釈が現れているという。神はすべてを「甚だ良し」と創られた。そのため、目に見える世界では自然現象も神の生命力と考える。例えば地震や大海嘯は大いなる力として、鬼雨や嵐は自然界の水を調整する現象と考えられるようになった。そこに災害が発生するのは、人間が「自然現象などたいしたことない」とたかをくくり、大きな被害に遭いやすい町をつくって社会システムを構築したからだという。

 大海嘯に畏敬の念を持っていたら、海岸沿いに都市部を造ることに疑問を持つだろう。鬼雨や嵐を恐れていたら、大雨で冠水しないような地形を造るだろう。それらがないがしろにされていることが、自然災害を甚大にしている理由だという。

「ただ、歴史上、人間の中にはこのことに気付いた者もいて、声を上げたことがあるらしいんだ。歴史書には短いけど記述が載っている。しかし、国や町を統治する側ではなかったらその声はかき消されていたんだ」

 それでも、百年に一度の割合で大災害は起きてきた。その度に人々は都市を復興させ、文化や文明を築き上げてきた。


 そこまで聞いて、アルコルは疑問をぶつける。

「でも、その神話や文明の歴史があの白い影とどういう関係があるの?」

 おびえたような目である。しかし、ミザルは強く断言した。

「推測だけど……これは、神の啓示じゃないかな」

「啓示?」

「そう、民が作った社会があまりにひどく、自然災害が起きても懲りないから、神は1人の人間を指導者に選ばれて、民を導くように考えられたんじゃないか。おそらく白い影は、神のみ使いだろう」

「その選ばれた指導者が…」

「そう、アルコル。君だ」

 これを聞いたとたん、アルコルはガバッと立ち上がった。

「そんな…無理だよ!! 僕は弱虫で泣き虫で体も小さいんだよ!! 指導者なんて無理だよ無理!!」

 自分でそこまで断言するか、とミザルは呆れるが、実際にアルコルは今にも泣きそうな顔である。

「大丈夫だ、君には神がついておられる。僕も一緒にやるからがんばろう! 何よりおもしろうそうじゃないか! まるで冒険物語だ!」

 ミザルは目をきらきらさせてアルコルの肩をぐわんと叩いた。この根拠のない自信はどこから来るのだろう。

「で、でも……」

 それでもおどおどしているアルコル。ところが、その困惑した表情が変わった。

「まってミザル、何か聞こえる……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ