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白い影

 ある日の帰り道、アルコルは1人で昴の祠に来た。ミザルは放課後に先生の手伝いをすることになり、少し遅くなるということで先に帰ったのだ。

 昴の祠の境内に入ると、珍しく人がいない。

「1人って久しぶりだな……」

 最近、ミザルや他の学舎の友達がいるので、ひとりぼっちということが少なくなった。1人ってこんなに寂しいものだったっけ……と思っている矢先、不思議な陰が近づいていたのだ……。


 アルコルが1人でお参りしていると――近くの木の陰から、突然誰かが出てきた。「ミザルかな?」と思って目を向けると、全身が白く、フードをかぶっている。ひと目で普通の人間ではないと悟った。

(誰? この人……)

 警戒心が一気に高まる。しかし、そんなアルコルにお構いなしにその人物は近づき、やがて口を開いた。

《アルコル…選ばれし者よ》

 はい? 何言っているんだ、この人……。

《あなたの手で禍を鎮めよ》

 アルコルは後ずさりしながら、何とか答えた。

「わ、禍を鎮めるって何ですか?」

《この星の大地は…》

 その人物は続けた。

《多くの禍とともにあった。民は神への敬いを忘れかけているが、神は、あなたたち民を不憫に思い、禍を鎮めるために、あなたを選ばれた》

 禍? 神? 頭が混乱してきた。

《鏡の玉を作り……北にある北辰の祠に納めよ!!!》

 その人物は、突然巨大化した。まるで白い影法師が伸びるかのようだ。

「ひいっ!!」

 アルコルは悲鳴を上げて祠から逃げ出した。

 階段をもつれそうな足でひたすらに降りていくと、ちょうど階段の1段目で帰ってきたミザルと鉢合わせした。

「アルコル? どうした?」

 ミザルの問いには答えず、アルコルはミザルに抱きついた。

「おいおい、どうした?」

「ミ、ミザル! 幽霊が出た!!」

「ええ? 幽霊!?」

 そんなばかな、と首をかしげるミザル。しかし、ガタガタと震えるアルコルを見て、ただ事ではないと察知した。

「アルコル、とりあえずうちに来な。話を聞こう」


 ミザルの家は、祠の近くにある借家だった。彼の父はここから通勤して、祠の管理や祭事を執り行う。少し前に聞いたのだが、学舎卒業後はミザルも守り人となるつもりらしい。

 とりあえず、今はアルコルが見た幽霊という話を聞かなければならない。

「どんなだったんだ?」

 ミザルが身を乗り出し、深刻な顔で聞いてきた。よく考えれば「寝ぼけていたんだろう」と一蹴されてもおかしくない話である。が、ミザルはそれでも真摯に耳を傾けてくる。なんていい人なんだろう……。

「わ、禍を鎮めろとか鏡の玉をなんとかとか、白い影が伸びたりとか……」

 アルコルはガタガタ震えている。ただでさえ気弱な性格なのに、わけの分からない幻影を見たためだろう。

 しかし、ミザルはあごに手をあて、しばらく思案したと思ったら、立ち上がって書棚から1冊の本を取り出した。

「ミザル…?」

 アルコルのもとに本を持って戻ってくると、本の冒頭の方を開いた。


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