表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/116

油断

 シリウスは、まず狙いをアルタイルに定めて突進した。

「はっ、この前の戦いで懲りてないようだな!! ばかが!!」

 向かってくる青年を罵倒するアルタイル。あの世で師匠に会わせてやる! とコラプサーを顔の前に構えた矢先、その横を縫うように七星剣の突きが迫ってきた。三の秘剣・三連突きである。

「うわっ!!」

 さらにシリウスは穂先を地に突き立て、棒高跳びの要領でアルタイルの上空に舞った。刹那、二の秘剣・螺旋昴がアルタイルを囲むように襲ってくる。

「くそっ!!」

 持ち前のスピードで逃げるアルタイル。が、螺旋昴を脱した相手を六の秘剣・釣り鐘星で追撃する。アルタイルは紙一重でかわすが、七星剣の切っ先が折れ曲がる。1回、2回、3回…! 雑兵に使ったのは見ていたが、まさかこれほどかわしにくいとは!

「ちっ!」

 アルタイルは何とか間合いを取るため、大きく後ろに跳び下がる。入れ替わりでベガが突きを繰り出してきた。シリウスは七星剣を下に構えて捌いた。ベガは切り結んだ剣を横に薙ぐ。が、腕力ではシリウスの方が上である。剣が動かない。

「くっ!」

 ベガは剣を弾き、後ろに跳び下がった。

「何も学んでない? ばかは貴様の方だ、アルタイル」

「何だと!?」

 アルタイルはカッとなって青筋を立てる。しかし、シリウスの目を見て背筋が凍った。先の戦いでは見せなかった殺気が満ちている。その姿は、とても15歳の少年とは思えない。

「あの時の俺と同じと思っているのか? もう一度言う、ばかなのは相手の力量を見抜けない貴様の方だ」

 アルタイルの表情が焦りに満ちている。思ったとおりだった。この男は、その傲慢さゆえに不利になると精神的にもろい。

 一方のベガは落ち着きはらっている。にらんだとおり、一流の剣士の貫禄がある。

 しかし、シリウスは意に介さず七星剣を構え、再び突進した。次はベガに狙いを定める。

「来い!」

 鈴のような凛とした声が響く。シリウスは、七星剣をベガの剣の刃に巻き付けた。

「四の秘剣・破十字!」

 鋭く巻き付き、ボキンッという音を立てて剣が折れ、ベガを蹴りで吹っ飛ばした。ベガは宙を舞い、30メートルほど先の地面に落ちる。さらにそのままの体勢で、アルタイルに狙いを定めた。

「はっ、俺に破十字は効かねえと言ったろうが!」

 アルタイルがあざ笑う。が、その表情に余裕はない。

「知っているさ」

 アルクトゥルスが身を犠牲にして教えてくれた。コラプサーは破十字では折れない。シリウスが狙ったのは――アルタイルの手足だった。

「なっ!?」

 わずか1秒ほどで、アルタイルの両腕両脚が七星剣に拘束される。シリウスが渾身の力で剣の柄を引くと、耳障りな音を立てて骨が折れた。その手から魔剣がスルリと落ちる。

「ぐわあああっ!!」

 たまらずアルタイルはその場に崩れ落ちた。俊敏さを強みとするアルタイルからすれば、脚を折られたら致命傷に等しい。

「破十字が武器を折る技と思い込んだお前の負けだ」

 シリウスの言うとおり、破十字を発動させた時、アルタイルはたかをくくって身構えもしなかった。相手を侮ったことが、自らの不利を招いたのだ。

「こ、こんな……」

 愕然して跪くアルタイルに、シリウスは厳しい口調で言い放つ。

「アルタイル、降参しろ。貴様はもう戦えない。その気になればここで殺すことはできる。が、紫微垣はなるべく殺生はしない」

 本来ならアルクトゥルスの仇を討ってもよいはずである。しかし、シリウスは紫微垣としての姿勢を優先させた。ポラリスを守れればそれでいいのである。


「う……」

 ベガは少しの間、気を失っていた。目を覚ますと、アルタイルがうずくまり、シリウスが七星剣を構えている。絶体絶命なのは明白だった。

 ふと、コラプサーが離れた場所に落ちているのが見えた。それに気付くと、ベガはシリウスに気付かれないように体を起こし、地を踏み切る。

「シリウスー!」

 ミラの声でハッとした。が、時既に遅く、ベガがコラプサーを手にしたのが目に入った。

 それに気付いたアルタイルはほくそ笑んだ。

「ベガ! 命令だ!! こいつを殺せ!!」

 してやったりという表情だった。形勢逆転である。しかし、次の瞬間、予想外のことが起こった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ