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紫微垣の試練⑫――七星剣に魂を

 その頃。小屋の外でシリウスを待つ2人の少女は、間を2メートルほど空けて座っていた。その間には、まだ気まずい空気が流れている。

「……先輩」

「な、何?」

 先にミラが口を開いた。スピカは思わず声がうわずる。

「シリウス、七星剣を作れるかな?」

「大丈夫よ、信じましょう」

 スピカは声を穏やかにしようと努めながら返した。

 思えばこの女の子とは、不思議な縁で出会った。最初はシリウスを助けてほしいと近寄ってきて、いざシリウスに会ってみたら、私と彼は大けんか。それでもめげずにミラが彼のところに連れて行ってくれたから、今、こうして3人でいられる。もしかしたら、シリウスに想いを寄せることなんてなかったかもしれない。

 御礼、言わなきゃいけないよね……。

「ミラ、スピカ」

 カラッと小屋の戸が開いた。

「できたぞ」

「え!?」

 そんなあっさり? 2人の少女の顔にそう書いてある。

 しかし、シリウスはできあがった剣を見せてきた。ひしゃく型の棒に七つのクリスタル。間違いない、七星剣だ――。違いと言えば星鏡の色だろう。アルクトゥルスから借りた剣のは水色で、カノープスのは紫だった。これは緑色――若葉のような黄緑に近い。

「これで試練終了だね!」

「いや……」

 ミラの歓喜にかぶりをふるシリウス。

「この七星剣はまだ魂が入っていない。これから入れに行く」

「え? どうやって?」と首をかしげるスピカ。

 七つの祠を回ったのに完成していないとは? しかも、どこに行くのか? 何か手がかりがあるのか?

「もう一度、武曲の祠に行くぞ」


 3人は武曲の祠に戻った。着いた時は完全に日が沈み、夜になっていた。

 シリウスは武曲の祠の裏にある、小さな祠の前に立った。

「ここは?」

「輔星の祠っていうらしい。剣を作り終えた時に『武曲の祠の裏に来い』ってメッセージを受け取った」

「え? 誰から?」

「すぐに分かるさ」

 すると、輔星の祠からゆらゆらと白いものが現れた。

「ゆ、幽霊!?」

「きゃああ!!」

 スピカとミラが悲鳴を上げる。が、

「フォマルハウトの霊体を見たろうが。今更ビビるなって」

 と冷静に突っ込む。そ、それもそうねとスピカは妙に納得した。その幽霊は初老の小柄な女性のようだ。

《よく来たね、シリウス》

 少女たちは身構える。が、シリウスは不動のままで答えた。

「あんたがアルコルか」

《そうとも、僕は初代紫微垣・アルコル》

 スピカは目をぱちくりさせた。え、男性? しかもこの人が初代紫微垣!?

《ははっ、顔や体格が女性に見えるからびっくりしたでしょう? 僕は男性だよ》

 スピカとミラに微笑む。幽霊というのに怖さはなく、むしろ温かさを感じる。しかし、シリウスは緊張した面持ちを崩さない。

「メッセージを送ったのはあんたか。ということは、ここが最後の試練の場所なんだな」

《そうた。君が作ったその七星剣に、魂を入れる。そしてそれが、八の秘剣・北落師門を習得することにもなる》


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