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紫微垣の試練⑤――文曲の祠

 フォマルハウトは最後に北落師門について話してくれた。光の壁が相手の攻撃を跳ね返す。相手の殺気は赤い刃になって、相手自身に襲いかかる。それが10秒間続き、心身共に大ダメージを与えられる。

 だが、もし相手が10秒間を耐え抜いたら、星鏡が剣に戻るまではさらに10秒かかる。その間、他の秘剣が発動できない。

「使い方に気をつけろ、諸刃の剣だからな」

 そう言い残して、フォマルハウトは姿を消した。消える間際に「弁当のことは、カノープスに謝っておいてくれ」と言っていたのは気になるが……。


「シリウスー!」

 気が付くと、禄存の祠の前に倒れていた。

「あれ、俺、どうしたんだ?」

「祠から急に出てきたと思ったら倒れ込んで…心配したわ」

 ミラとスピカが潤んだ瞳で言う。

「…北落師門の見取り稽古をしたんだ」

「え!? じゃあ秘剣をマスターしたの?」

「いや、まだ自分で使ったわけじゃない」

 秘剣を自分で受け、どういう技かまざまざと見た。奥義と呼ぶにふさわしい破壊力だった。あとは自分で使えるよう練習するのみだ。

「いてっ!」

 シリウスは腹を抑える。

「どうしたの? どこかけがしたの?」

 ミラが天漢癒の腕輪を出し、シリウスの腹をめくった。しかし、どこもけがはしていない。

「どうもなっていないよ」

「霊体のフォマルハウトとの戦いだったから、やられたのは神経じゃないかしら?」

 スピカが銀の腕輪を取り出し、シリウスの腹に手を当てて治療を始める。

(…シリウスのおなかの素肌に触わっちゃった…)

 いつもこの役目はミラだった。今回だけは自分の役目となり、少しだけ嬉しい…というより優越感に似た感情を抱いた。


 次は文曲の祠だ。この祠はスピカの家の裏にあり、見慣れたものである。祠の前に来ると、3人は何が来るか構えた。しかし、特に何も起きないし、何かが襲撃してくる気配もない。

「スピカ、この祠は何か秘密とかないのか?」

「うーん、別に聞いたことはないけど……」

 幼い頃は、この祠の周りできょうだいや友達と遊んだ。神社の境内で遊ぶ感覚である。が、その時から特に変わったことはなかった。

「何か秘密があるようには見えないけどなあ……」

 ミラは祠の社を触ってみる。

「ミラ、あまり触らないのよ。神聖なものなんだから…」

 スピカがたしなめる。しかし、ミラの手が祠の屋根に触れた時、「ガコッ」という音がした。

「な、何?」

 ミラは思わず後ずさってシリウスにしがみつく。スピカはそれを横目でにらみつつ、祠に近づいた。

「これ……」

 祠の後ろの地面に黒い箇所がある。隙間だった。

 シリウスが指を入れて上に上げると、地下通路への入り口が現れた。薄暗いが、階段が続いている。

「…行ってみるか」

 3人は階段を降り始めた。


 案の定、中は真っ暗だった。

「まさかこんな地下通路があるなんて……」

 スピカも初めて知ったようだ。とりあえずたいまつを灯して先に進む。

「ん?」

 ガサガサという音がする。何だろう? シリウスがたいまつを高く掲げて奥を見ると…

「なっ!?」

 地面一面に、さそりがうじゃうじゃといた。

「きゃああああ!!」

「いやあああああああああ!!」

 ミラとスピカは元来た道を一目散に逃げ出した。シリウスは後ずさりしつつ退却した。


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