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カノープスの昔語り②――魔剣・コラプサーの秘密

 西の村――東の都と中つ都の、さらに西にある小さい村だ。

 ここには都で落ちぶれた者、犯罪者となり逃げてきた者、身よりがなく流れてくる者が集まる。略奪や殺人が日常茶飯事にある無法地帯だ。その村にある唯一の祠――天狼の祠のそばにある屋敷では、アルタイルが配下に八つ当たりをしていた。

「ぎゃああ!!」

「どこに逃げようっていうんだ!?」

 八つ当たりという言葉すら生ぬるい。アルタイルは、コラプサーで配下数人を一瞬にして切り刻んだ。何と――先のアルクトゥルスとの戦いで折れたはずの刀身が元に戻っている。

「ふん、こんなものでいいか」

 アルタイルがコラプサーを構える。黒い刀身に遺体がどんどん吸い込まれていった。

「これで元の強度に戻ったか」

 コラプサーは一層禍々しい光を放っている。この魔剣は、折れても独りでに再生し、人間の血肉を吸収して復活するのだ。その様子はまさに文字通りブラックホールである。

「ア、アルタイル様。奥様がお見えです」

 配下の1人がおそるおそる報告する。そこには、1歳になるであろう幼児を抱えた女性がいた。ふくよかな体だが、表情が疲れきっている。

「デネブ、どうした?」

「アルタイル、今日は帰ってこられるのかと思って……」

 遠慮がちに微笑むデネブに、するとアルタイルはコラプサーを床にたたきつけた。

「このクソ女が!! そのガキともども出て行け、目障りだ!!!」

 アルタイルの怒声が村じゅうに響いた。びくっと肩をすくめてデネブは出て行った。

「誰だ、あいつをここに入れたのは!?」

「わ、私です……」

 先ほどの女性が顔をひれ伏せながらおそるおそる言った。するとアルタイルはずかずかと近寄り、彼女の顔を強引に上げる。

「ひっ……」

「いい女だな……」

 潤んだ瞳につややかな唇。胸元が開いた服を着ている。アルタイルは彼女の胸元を強引に開いた。

「首領、今夜一緒に過ごさせましょう」

 別の女性――ベガが言った。ほおがうっすら赤みがかっている。

「私も一緒にベッドに入りますわ。その女と、あと2人を用意しています」

「お前はよく分かっているな……」

 先ほどの配下の女性は、命拾いしたと安堵した。今夜はアルタイルに抱かれることになるが、死ぬことを考えると何でもない。この村では、コラプサーの所有者こそが法なのだから……。


 同じ頃。カノープスはシリウスたちに魔剣・コラプサーについて話し始めていた。

「あの剣は、わしが修行を始めた頃には既に猛威を振るっていたと聞いておる」

 人間の欲望を具現化した暗黒の剣だという。多くの人の手をわたりながら人の血を吸い続け、かつ人間の怨嗟を受け続けた。その結果、刀身が太くなり、鋼鉄をかるがると切り裂く切れ味を持つようになった。そして一番やっかいなのは、刀身が折れても再生することだ。

「わしも以前、あの剣を持った者と戦ったことがあるが、おそらく完全に粉々にしない限り再生し続けるじゃろう」

「じゃあ今頃は……」

「再生しておるかもしれん」

 シリウスたちは息を飲んだ。もし今、襲撃されたらひとたまりもない。盗賊のことが詳しく聞けていないが、先に七星剣を作り、八の秘剣を習得すべきだ。

 カノープスは最後にこう提案した。

「明日、ここにまた来なさい。紫微垣になるための最後の試練をしよう」


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