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リゲルはどこに?

 慟哭した後、シリウスはスピカがいれてくれたお茶を飲み、落ち着きを取り戻した。

「すまない、取り乱してしまって…」

「ううん」

 スピカは子供をあやすような優しい表情で首を振る。

「ところでさ、リゲルはどこにいっちゃったのかな?」

 ミラが呟いた。ベテルギウスの亡骸だけがあり、リゲルのものはない。死んでいるのか生きているのかも分からない。

「役人によると、遺品の中にポラリスがなかった。おそらくリゲルがベテルギウスを殺して持ち去ったんだろう」

 そうなると、さらに厄介である。これまでは直情型のベテルギウスが行動を牽引していただろう。そのためある程度は行動が予測しやすかった。しかし、リゲル1人となると話が違ってくる。彼は頭が良く、見つからないように身分を詐称するなりしかねない。

「どうするか…」

 とシリウスが呟いたとたん、建物が揺れた。地震である。

「きゃっ!」

 ミラとスピカは壁やベッドにつかまる。シリウスは足を踏ん張って何とか持ちこたえた。1分間ほど揺れると治まったが

「一刻の猶予もないな。早くリゲルを見つけないと」


 その日も3人でリゲルを探し回ったが、見つからなかった。役場には「ベテルギウスを殺した可能性のある少年」として風貌を伝え、同じく捜索する形になった。しかし、手がかりがない。

 青い髪は珍しい方だからすぐに見つかりそうなものである。が、髪を隠していたら探すのはまず難しい。役場の方でも人員を増員して捜索しているようだが、しっぽをつかめずにいた。

 そうこうしているうちに夕方になってしまった。仕方なく、シリウスたちは宿へ向かった。

「今日も収穫なしか……」

 シリウスの顔に焦りが出ている。このままでは取り返しのつかないことが起きるのではないか…。そうこうしているうちに、ふと3人は森のようなところに迷い込んでいることに気付いた。

「あれ? ここどこ? 見たことあるような……」

 ミラがきょろきょろと辺りを見回す。シリウスはその声でハッとした。

「昴の祠?」

 昨日は長い階段を登ってきたが、知らないうちに別の道から続いていた境内に入り込んでいたのだ。

「ねえ、あれ……」

 スピカが祠を指さす。カタカタと震えているのが分かった。

「!!」

 シリウスもミラも顔が青ざめた。そこには――青白い姿の老婦人、子供連れの家族、馬、漁師のような男性…と、大勢の人や動物が数珠つなぎになって並んでいた。

「そんな…」

「まさか明日、この人たち全員が…」

 シリウスは、このままではミラとスピカが精神崩壊を起こすと判断し、彼女たちの肩を抱きかかえて逃げ出した。


 這々(ほうほう)の体で宿に帰ってきた3人だが、ミラとスピカは震えが止まらない。

「大丈夫か?」

 シリウスは彼女たちの肩に毛布をかけると、すぐにお湯を沸かしてお茶をいれる。心を安定させるハーブティーだ。2人は飲むと安心したのか、やがて顔に生気を取り戻した。

「…明日、あんな大勢の人が死ぬのかな」

 ミラがぼそっと言った。声にいつもの明るさがない。

「起こることを変えることはできないのかしら…」

 スピカも元気のない声だ。

「何か、何か方法はないのか!!」

 シリウスが机を叩いた。彼は無愛想だが、声を荒げたり物に当たったりすることはない性格だ。そのシリウスが焦っている。このままでは……。

「失礼します」

 ドアをノックする音がした。宿屋の女性スタッフである。

「ろうそくがそろそろなくなると思い、交換に伺いました」

 部屋の隅にある灯りが消えていた。スタッフは「取り込み中かしら?」と察し、ろうそくを変えて火をつけ、そそくさと出ていった。すると、その火に蛾などの虫がよってきた。

 それを見て、スピカはハッとした。

「こちらからリゲルを探すんじゃなくて、リゲルをおびきよせることはできないかしら?」

「おびきよせる?」

 目から鱗だ。シリウスにはその発想がなかった。

「でも先輩、どうやって?」

 ミラが首をかしげる。相手は人間で虫や動物とは違う。まんまと引っかかるか……。しかしスピカは目を輝かせて言った。

「シリウス、リゲルのこと教えて。好きなもの、得意なこと、苦手なものとか」


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