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東の都・悪友たちのと再会

 東の都は、1時間ほど歩くと見えてきた。高台から平野部を見下ろすと、黄昏にもかかわらず町がキラキラと輝いている。

「不思議ー、なんでこんなに明るいんだろう?」

 ミラが目を輝かせる。東の都に来たのは初めてなのだ。

「東の都は夜もなかなか眠らないのよ」

 スピカが言った。北の町は田舎なので、夜になると住民は皆寝る。都では夜も店が開いていて、遅くまでにぎやかなのだ。

 とりあえず都心部に行ってみることにした。


「すっごおい」

 人の多さがである。もう夜なのに大勢の人が歩いている。

「夜はお酒が飲める店が多いらしいわ」

 確かに、あちらこちらの店で酒を酌み交わす様子が見て取れる。中には、屋外にテーブルを出して酒や料理を提供している所もある。

「未成年だからアルコールはダメよ」

 スピカが優等生らしく釘を刺す。

「いや、酒には興味ないし。それよりどんなつまみを出しているのかが知りたい」

 酒はせいぜい料理酒を使うくらいだとブツブツ言うシリウス。

(この人、ホント主夫みたいね)

 スピカは心中苦笑する。そんなところもかわいいと思うようになってしまった。

「それにしても、この中からベテルギウスとリゲルを探すのって大変だよ?」

 ミラがきょろきょろと辺りを見回す。人混みはさることながら騒々しいため、どこをどう探せばいいのか見当もつかない。

「まあ、今日は遅いし、宿で作戦を考えるか……」

 シリウスが首を左に向けたそのとき――


 ハッ


 と、30メートル先の人だかりにいる人物2人と目が合った。つり目でとんがった赤髪の少年と、垂れ目でおとなしそうな青い髪の少年――。

「いた!」

「え!?」

 スピカとミラが聞き返すいとまもなく、シリウスは来た道を駆け戻った。


 ベテルギウスは急に走り出し、リゲルは訳が分からないままついていく。

「ど、どうしたんだよ、ベテルギウス」

「シリウスがいたんだよ!!」

「そんな馬鹿な!?」

「いいから来い!!」

 悪童2人は夜の都を走りに走り、大きな建物の裏通りに入った。

「あーもう、どういうことだよ。あいつがここにいるなんて!!」

 ベテルギウスは、近くにあった桶を蹴っ飛ばした。壁に当たった桶はたがが外れてバラバラになる。

「くそったれ!! 金はもう底をついたし、スリをしてもたいして入ってねえし、散々だ!!」

 苛立つベテルギウスを、リゲルはなだめようとするが

「触るんじゃねえ! 目障りだ!!」

 と八つ当たりを始めた。

「そ、そんなこと言わないでくれよ」

「そもそもてめえが間抜けだから、俺がこんな目に遭うんだ!!」

 ――事がうまく運ばないときは責任転嫁か。相変わらずだな、ベテルギウス。

 2人は、上空から降ってきた声にハッとした。家の屋根に、見覚えのある人影があったのだ。月明かりが照らしたその姿は……。

「シリウス!!」

 屋根から飛び降り、2人に対峙した。

「北辰の祠では世話になったな。今日は熨斗のしつけて返してやるよ」

 シリウスは、水色の星鏡が鈍く光る七星剣を構えた。


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