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七星剣の試練②

「君たち双子は変色しないか――」

 それはつまり――候補生として落第したことを意味する。双子は呆然とした。

「俺たち…不合格ですか…?」

「ここまで一緒にがんばってきたが、残念だ。だが、努力は無駄にはならない。これからの人生を、有意義なものにしてほしい」

 それだけ言うと、フォマルハウトは立ち上がった。

「1カ月間の猶予をあげよう。1カ月以内に身辺整理してここを去りなさい。いつまでもここにいると、君たちの人生に良い影響を及ぼさない」

 双子の候補生は、部屋を出て行く師匠を切ない表情で見つめていた。


 さて、ミアプラたちが帰ってきた日から遡ること数日。カノープスは早朝、北の町に着いた。もちろん、家族への食事は準備してきた。

「あの女……見ていろ」

 カノープスは何と――独自に紫微垣の試練に挑もうと思ったのだ。出発の前日夜に、フォマルハウトに試練の内容を聞いたので、おおよそは見当が付いている。もっとも、フォマルハウトは「本気か?」と驚いていたが、カノープスの真剣な目を見て、特別に許可したのだ。紫微垣を育成したい彼にとっては、万が一合格したら儲けものくらいにしか思っていなかっただろうが……。

 カノープスは次々と聖獣を撃破した。しかも、他の候補生が、フォマルハウトが作ったレプリカの七星剣を使って攻略していくのに対し、カノープスは持ち前の身体能力だけで倒している。

狼は拳によって一撃でのしてしまい、鮫は海面の岩場にぶつけて気絶させた。一角獣は角をつかんで背負い投げの要領で崖に落とし、蠍は毒のしっぽをかわしながら踏みつけた。鷲は長い木の枝を折った木刀でたたき落とし、熊はがっちりと組んでから投げ飛ばした。もはや阿修羅の如き戦いぶりであった。あっという間に六つの祠を攻略し、最後の破軍の祠である。


 瞑想をして作り方の啓示を受けなければならないが、カノープスは瞑想をしたことがない。

「まあ、いいや」

 とりあえず目を瞑る。特に何も浮かんでこない。1時間ほど経つが、思い浮かばない。そこで、フォマルハウトが持っていた七星剣を思い出してみた。星鏡が七つと金属。残り一つの星鏡はこの家屋のどこかにあるのだろうが、見当がつかない。

 そこでカノープスは、「とりあえず六つでやるか」と、材料を全て炉に投げ込む。すると、鋼の塊が溶け、中から何かが出てきた。星鏡だ。

「なるほど、考えたものだ。貪狼の祠の鋼に隠れていたのか」

 後は、フォマルハウトの剣を思い出しながら作り始めた。 


 その日の午後4時頃。カノープスが帰ってきた。

「よう」

 候補生の修行場に入るなり、カノープスは七星剣を見せた。

「な、何やってるのよ、あんた?」

 ミアプラが驚く。手短に七星剣の試練を受けてきたことを伝えると、

「はっ、ばっかじゃないの!? 修行していないヤツが受けても無意味よ!」とミアプラが吐き捨てる。一方、アヴィオールは

「すごいな、修行なしで、しかもこんな短時間で……」と感心している。

 候補生たちはその日に入り、1日かけて試練を受け、翌日帰ってくる。カノープスは半日でやってしまったのだ。

「ばかばかしいわ! そもそも七星剣を作ったって星鏡が……」

 その時である。

「カノープス…その剣…」

 アヴィオールが指さす。カノープスの七星剣の星鏡が――紫色に変化したのだ。

「どういうこと!? 色が変わったって……」

 ミアプラが嫉妬混じりに叫ぶと

「つまりはそういうことだ」

 と、父親のフォマルハウトが現れて言った。

「どんなに訓練をしても、紫微垣の素質がなければ星鏡の色は変わらない。逆に、素質があれば変わる。カノープスは、次代の紫微垣の候補者として選ばれたというわけだ」

 さらに付け加える。

「彼はたった一人で北の町に行き、七星剣を作る試練を乗り越えた。私も最初は驚いたけど、本当に受けて乗り越えたんだ。素晴らしいよ」


 こうして、カノープスは八穀の賄い係から紫微垣の候補生となったのだった――。


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