昔の知り合い
「何か、勘違いをしておりませんか。カイトさんに至っては、この国のお客様で在って 我々がどうこうできる存在でありません。文句があるのであれば、国王陛下に時期談判してください。
この御方は、ギルガイア国とトラベスタ国の友好条約を成し得た御方です。多くの話し合いの中の1人で我々もカイトさんに色々と教わる機会を作ってくれた偉大な御方なのです。そんな彼を捕まえるなど在り得ません。
寧ろ、あなた方を捕まえた方が国王陛下から感謝の言葉が貰えるかもしれませんね」
兵士からの言葉を聞き入れた。街人達が その場から消え始める。
「もしかして 俺を護衛してくれた。兵士のカンデッタ・ロベルトさんでした。よね。記憶が曖昧ですいません」
鑑定を見てからの発言だったのだが
「カンデッタ・ロベルトです。鑑定を持っている。あなた様なら そんな言い回しなど不要です。お久しぶりです。カイトさん」
カイト達を取り囲んでいた住民が ソコソコと姿が消え始めた。部が悪いかとでも思ったのか、自分の立場が悪くなると逃げ出してしまうのであった。
「1本、取られたわね。旦さん」
「もしかして カイトさんの奥様ですか」
「ま・・・」
カイトが言う前にマルデュークが前に出てきて カンデッタの手を持って頬を赤く染めた。
「マルと言いますの もう御会いする事もないと思いますが旦さん共々、よろしくお願いします」
「不思議な女性ですね。カイトさんの好みが解りません。もう1人の方も奥様なのですか」
「この貧パイは、捨てて置いていいわ。欲しければ差し上げます」
カンデッタが何かを言う前に
「マル姐さん、カイトだって僕を 同行する事を認めたでしょう。邪険にしないでよ」
「女性の方かと思っていたのですが男性だったのですか。先程の剣捌き、お見事でした。見惚れてしまい加勢にも入れませんでした。
やはり、カイトさんから直に教わったのですか。それとも 何処かの流派の出ですか」
今迄、褒められた事もなかった。ルージュは、顔を赤くして翻弄している。
「コイツのは、自己流だ。形や言葉使いは、男の振りをしているだけで中身は、女だから適当にあしらってくれ甘やかすとダメになるかもしれない、使えなければ捨てるかも知れない。
そんな程度の奴だ。人間界の常識を知らない奴だから! 彼女はいるのか、カンデッタさんは! この際だから マルも付けて渡すぞ。コイツは、胸も大きければ尻もデカイ。使い込めばいい働きをするかもしれないしな! どうだ」
「そ・そんな カイトさんの奥方を2人も貰えませんよ」
「ちょっと 旦さん。貧パイならまだしも私まで捨てるお積もり、この世界全ての生き物を殺すわよ」
「僕が必要な物は、カイトだけだよ。他の奴の処になど行きたくない」
「冗談に決まっているだろう。もう少し、常識的冗談も身に付けろ 2人とも!」
「今、僕の事を奥さんと言ってくれたよね。カンデッタさん」
「違うのですか。それは、すみませんでした。俺は、てっきり奥様だと思っておりました」
「そこは、訂正してくれ コイツの同行は認めたが女で無い事は確かだ。これ以上に女を作りたくない。今現在でも マルを入れて5人もいるのだから 俺の歳で可笑しいだろう」
まぁ! その内の4人が精霊獣だし、マルデュークは厄災認定されてしまっているし、そこに来て邪神は無いよな
「15歳の若さで既に5人も奥様候補がいるのですか。羨ましい」
「カンデッタさん、そこは奥様候補で無くて奥様よ。間違えないでください」
怒り心頭のマルデュークを見た途端に背中に汗が滲み始める。話を切り替えた。
「処でカイトさんは、海を見たのですか。まだなら 俺がご案内しますが」
「海は凄いな 経験値の宝庫だな! 陸地では考えられないほどの経験値が手に入る。魚を1匹倒した程度で」
「また また 御冗談を! 海王生物でも倒さない限り、経験値など手に入りませんよ。まさか ・・・」
額から 大粒の汗が噴き出して1人で納得する。
「先程から気になっていたのだが貝の殻はどうしている。海では、多くの色々な貝が取れているみたいなのだが処分に困っているのであ
れば、俺が引き取ろう」
「あれも中身を食べる分には、美味しく頂けるのですが あの殻は戴けません。何とも言えない異臭を漂わせて街の外に捨ててありますが どうしたものかと思う次第です。
カイトさんが引き取って 何をするのですか」
「何が出来上がるかなど俺にも分からない。けど おもしろい物が出来上がる事を期待したいな! そんな処だ」
「凡人の俺には、理解不能です。ご案内いたします。俺に付いて来てください」
彼に付いて行く最中にマルデュークが心配そうに尋ねてきた。
「旦さん、あんな物に利用価値など有るのですか?」
「ゴミの中に利用価値が案外転がっている物だ。何もしないで金が稼げれば、楽が出来る」
「そんな物なのですか。ゴミの中に」
来た方向とは、違う道を森と海の狭間に位置する方向に歩き始める。




