回復
「何これ、こんな生物が存在するの カイト」
巨大タコが海中の底を歩いて上陸しようとしていた。8本の足と長い触手を持っている。漁師たち、ならではの言い方で海坊主と言われており、海の漁師に嫌われていた。多くの船を沈没させて多くの漁師を食べてきたからである。
「ルージュ、この剣でアイツの足を切り落として 最後に頭と胴体を切り離せば、勇者と言われるかもしれないぞ。あれなら 暴れても誰からも文句が言われないと思う」
カイトが自分自身のアイテムボックスの中から1本の剣を取り出して ルージュに手渡す。
「僕が勇者なんて 呼ばれてもいいのかな」
「人間なんて単純な生き物だ。見た目だけなら男の子に見えるぞ」
「何と言っても貧パイだもんね。ルージュは、私みたいな胸に成らないと旦さんに抱いてもらえないわよ」
その間も多くの者たちがカイト達を見てくるものの マルデュークを鑑定しようものなら目が毒に侵されて死に至るのであった。ルージュを鑑定すれば、両目が鋭い刃で切られてしまうし むやみやたらに鑑定をしなくなっていた。カイト達を それでも数人の人達が目だけが毒に侵されたり、目を中心に鋭い刃で頭まで切られて倒れ込むのであった。
「何もそこまでしなくても!」
「人の噂など 何処からか広まるものなのです。旦さんみたいに冒険者ならまだしも私なんて 冥界王なんて付いているのよ。イヤよ」
「だったら カイトの嫁にでも書き換えればいいだろう。容易いだろう。マルなら」
途端にマルデュークの顔が赤くなって 自分のステータスを書き換えるのであった。同時に胸を押し付けるようにカイトにくっつきだしてきた。
冗談で言ったつもりが本気になってしまった。
その間も船に乗り上げて 海坊主の姿が海面の上に出て来ると体長が と言うより、頭の部分だけでも3メートルを超えており、足の長さが10メートルを超えていた。触手に関してなら15メートルを超えて 大きな目で動く物を探すのであった。
カイト達にとっては、普通の速さでも 一般の人達から見たら突然に消えたかのように見えており、船を足場にしている足を簡単に切り落としてしまっていた。漁師や一般の人達が見守る最中に たったそれだけの事でも歓声が上がり、2本目を切った頃には、海坊主もまた ルージュを捕まえようと触手を伸ばすものの捕まえる事も出来ない内に海の中にある足までも切り落とされてしまっていた。
なんだかんだと8本もある足の内、5本も切られてしまっており、触手も1本切られてしまっていた。逃げ出そうとしている処で胴体が海面上に出てきた処で ルージュの剣が光ったかと思われた瞬間には、丸い頭が海面上に浮いており、ルージュに蹴り飛ばされて船着き場に転がされてしまった。何が起きたのか分からない内に目だけが動き回り、人間たちが目の前にいるのに丸い頭のみになっていた。海坊主には何もできないのであった。
カイトがミントを使って海坊主の足を1本、取りにいかせて陸地で ミスリルで串を作り出して ファイアウォールで塩を振りかけて焼き始める。その匂いに釣られるかのように路地裏で隠れていた者達が姿を露にしていた。旨そうな匂いで彼等の口からは、止めど無く涎が溢れ出てきており、カイト達が美味しそうに食していると溜まらなくなった子供がカイトの裾を掴んで無言の眼差しで見詰める。口から出てきた言葉が
「・・ガッ・ウッ・・・ジョ・・」だった。彼女の喉が潰されており、何も話す事が出来ないのであった。そんな彼女の首に手を添えると呪文を唱えてから魔力を浸透させて発動までした処で声を発生できる機関と食道が通常に戻るのであった。口の中まで確認した処で
「食べるか」
「うん!」
自分の声に驚きを隠せないで大粒の涙を流しながらカイトに抱き付いてしまった。マルデュークもミントも目に留まるが何も言わないで海坊主を丸かじりしている。
「何人だ」
「17名です」
子供達に食事を与えると港の住人から 何やら見たくない物を見る目で彼等を見つめるのであった。そんな最中に海坊主を倒してしまった。ルージュがカイトの側までやってくると住人の1人に彼等の側に近寄るなとルージュの手を持って行かせないようにした処で 家の壁に衝突する勢いで蹴り飛ばされており
「何をする。やはり、ここもクズしかいない。集まりだな! アンタ等、死んだ方が人の為になると思うぞ」
「ルージュ、ダメだぞ。彼等がいないと冒険者や兵士にお金を支払ってもらえなくなる。彼等は、金を払って安全を手に入れている連中だ。その為、何をしても問題が無いし、何をされても文句も言わない連中だ。真横で人が死んでも見向きもしないで通り過ぎてしまう人達だ。
ルージュを称えて 金を生み出そうとでも思ったのかもしれないな! どうする。今なら あちら側にでも簡単に行けるぞ」
「バカな事を言わないでよ。カイト! あんな死んだ目の方になんか、行きたくもない。僕はもっと 色々と見てみたいと思っている。こんな港町で終わらせるものですか」
そんな簡単に離れてくれないか!
あんたに抱かれるまで 絶対に離れないから!
「そんな事を言っていると この街の女神様に潰されてしまうぞ。貴様等」
「「「そうだ。そうだ」」」
「それに兵士までもが貴様等を捕まえて 奴隷落ちも考えられるからな」
この街の兵士がカイト達の真横を通り過ぎようとした処で
「この者どもを監禁しろ、街の治安を悪化させるかもしれないのだぞ。捕まえて牢屋に連れて行けよ。兵士」




