幼馴染
「ねぇ~パルムさん、カイトが帰って来ないのだけど」
「カイトには、カイトの仕事が在るの あなたも寝なさい。リリスさんならとっくに寝ているわよ。酒に負けて」
大股開きでいびきをかいて寝ていた。静かな夜を迎えるのであった。1人を除いて
翌朝、目覚める。庭に出てみるとカイトが馬に餌と水を与えていた。それと同時にブラッシングまで行っていると馬の顔がとても穏やかに見えた。
「カイト、おはよう」
「良く寝れたか、カノン」
「カイトって 朝が早いのね」
「元々が農民だからな 朝はやる事が多くて困るよ。家のバカな両親が何もしないから大変なんだよ」
馬の樋爪の裏側まで掃除をしはじめる。
「カイトって もう仕事をしているの?」
「殆どが書類作成で終わっている。色々と情報が飛び込んでくるから適材適所に送らないといけない。勘弁してもらいたいよ。子供の俺に仕事を振り過ぎだ」
「カイトって 不思議? 今も私の前にいるのに 何を考えているのか、分からない」
「学園生活を謳歌してくれ認可が下りた」
カノンの前にサインが入っている。書類を渡すと目を疑うのであった。
「大事に持っておけよ。この書類を学園に提出すれば、晴れて学園に入学が出来る」
そこには、国王のサインと学園長のサインが記載されていた。
「最低でも この2人とは、会見を行うから覚悟してくれ まぁ~特に気にする事も無い。爺ぃ~と婆ぁ~だ」
今日も長い1日になりそうだと背伸びをしていると我に返った、カノンが
「ちょっと待ってよ。昨日の今日でどうして こんなにも簡単に認可が下りるのよ。可笑しいでしょう」
「転移魔法を併用させれば問題が無いと思うが 違うのか?俺は、普通に使っているぞ」
カノンと話をしながらも多くの念話が届くのであった。それを受け答えて指示を与えるのであった。
「まぁ~気にするな! その内になれる」
馬の毛づくろいが終わる頃に幼馴染のガツが顔を出す。
「腹でも減ったか、ガツ! 孤児院の中で飯でも食って来いよ」
「俺を治療してくれたんだってな 悪かったな!」
「気にするな! 久し振りに粗チンも拝めたから許すよ」
顔を赤くして下を向く 仲間たちがクスクスと笑うのであった。彼等の後にカノンも孤児院の中で食事を勧めるのであった。
異世界人の男性の滝川龍平は、何の気もしないままに この世界の朝食を食している最中、もう1人の女性がカイトと話をしたくて壁に隠れていた。
「何か、用でもあるのか。異世界人のグレン・コーディネリアさん」
物陰から出てくると
「私は名乗った覚えがないが」
「勝手に鑑定で グレン・コーディネリアさんを見させてもらった」
「それは、魔法と言うヤツか」
「そうだね。それで 何?」
「私は、どうして この世界にこれたのだ。前世で死んだはずだ」
「そんな事は、俺に聞かれても分からない。君をこの世界に連れてきた神にでも聞いてくれ、もし 話が出来る事が在ったら伝えてくれ 俺の処に一々、異世界人を送るなと それと俺を普通の人間に戻してくれ と 伝えてくれ」
「君は、普通でないのか」
「能力が在り過ぎる」
「どんな能力なのだい?」
「ごめん、それは言えない。死を招くから」
「言えないのであれば聞かない。それで 私はこれからどうなる」
「もう1人の男性にも言える事だが 国の管轄に入って貰えると助かります。当然、それに見合うだけの報酬を払いますが強制でありません。お好きな方を取って貰って構いません。
もう1つは、俺から離れて好きなように生活をしてもらって構いません。最低限度の事は、冒険者ギルドで教わると思いますので その後で構いませんからお教え願えると助かります」
「私があなたの配下に入る事は、可能か」
「俺は、あと3年でこの仕事から解放してもらえる。その後は、農民をする予定だ。
他の奴を紹介してやる。好きな処に行ったらいい」
「君とでは、無理なのか」
「多分、1年と持たないで廃人になってしまうよ。人間の脳が付いてこれないみたい だから」
「意味が解らない」
カイトが手を差し出すと
「俺の手を掴んで」
「私に何か、するのか?」
カイトの手を掴んだだけで情報が流れ込んでくるのであった。この世界のありとあらゆる情報が流れ込んできて念話もその中に含まれていた。その都度、多くの者達に指示を与えて行くのであった。彼女と会話をしながらも並列思考のお陰で10数人と会話をしながらも彼女と会話をしていたのだ。
カイトが手を離すと元の世界に戻って来れた。周りを確認していると
「どう!」
「あなた様は、何者なのですか。本当に人間?」
「俺って バケモノだろう。わかっている」
異世界人なら理解が出来るかと思ったが やはり無理か、これが最後だな
「それで」
「私も駒の1つに成れるように努力します」
「いい判断だ。バロンフォード領に滞在するといいだろう」
先々に役に立つかも その後、教会を出ようとすると冒険者に止められた。
「ここにカイトがいると聞いてきたのだが」
「カイトにお客さんだよ。冒険者に知り合いなんていたのかい。アンタ!」
「俺がカイトだけど 初めて見る顔だね」
「冒険者ギルドからの指名依頼だ。小鬼の情報が欲しい」
地面に現在位置、洞穴情報、推定数を述べると理解したみたいで森の中に消えた。