婚約者が2人もできた。
2日が過ぎて3日目の昼頃に食事を取っていると珍客が現れた。この国の国王で在り、それを警護する者と見張り達である。それと疾風の怪鳥の面々が姿を現す。トリノ達一同が国王を守るようにしてカイトの席に付いた。冒険者の中には、国王の姿を知る者も無く、ガイア・ギルガーガを知っている者がいて遠巻きに眺めているだけであった。
「久方ぶりだ、カイトよ。息災であったか」
この様な状態でもタケシ達は、無言で食事に夢中で在った。
「こんな処にいてもいいのか。暇なおっさん、だな!」
あえて国王と言わなくてもカイトの意思を知ってか、警護の連中も何も言わないのであった。
ギルバートがカイトの顔を見て思い出した。
「思い出した。君がカイトだったのか。姫さん達は、元気にしていますか」
「知らん。アイツ等と縁も切れた。晴れて自由の身だ」
「だったら 私の ・・・ 」
「その先を言ったら 別の国に移るからな!
どうせ 今頃はミナの知り合いが王城に知らせを送っているだろうよ」
国王と宰相がミナを見るとタジタジの状態になっている。
「それで何か、用か。トリノのおっさんには、言って置いた筈だが」
場が悪い事に何も知らない。ニーナが カイト達が話をしている最中に乗り込んでくるとあろう事か、国王の頭を叩こうとして ガイア・ギルガーガに止められてしまった。
「何をするのよ。おっさん」
無言でニーナの腕をへし折り、首を持って鷲掴みにする。
「死罪で構わないよな! 小娘」
さすがのタケシ達も食事処で無い事が理解する。心配そうな眼差しでカイトに尋ねるも
「カイト!」
「シルビアさん、ニーナさんを助けなくていいのですか。あなたのお仲間が死にますよ」
「無茶、言わないでよ。ニーナの首を持っている御方は、この国のガイア様なのよ。この街の冒険者が束で戦っても勝てる訳が無いわ。ニーナが何をしたのかも理解できないのよ。
教えてよ。カイト」
「その女は、タケシの初恋の相手だ。この際だから付き合わせろよ。出来るのだろう、おっさんなら」
国王を見るとニヤリと笑みが零れて
「それならば、ワシからも頼みがある。シエルジート・トリノを貴族にしたいと思っておる。其方の了解が得れば成っても良いと言っておってな ・・・ 」
カイトがトリノを見ると 見ただけだが
「分かりました。何でも言ってください。師匠の指示に従います。ただし、この国にいる間位は、この俺にも稽古してください。1ヶ月に1度でいいから
それ位はしてもらわないと納得できません」
「答えが出たな」
安易に答えが返ってくると夕月とミナが割り込んできた。
「なら 私がカイトの嫁に成る事も可能だよな」
「ズルいわ。夕月! 私が先に言いたかった。のに」
「今は、ミントがいるからお前達は不要だ」
今迄、気配にも入らなかった。ミントが! 気配を出しただけで警戒態勢を取り出すもカイトの後ろから姿を露にした。
「師匠、この国では警戒態勢Sの魔獣ですよ。この街程度なら半日も掛からないで全滅してしまいます」
「俺のいた国では、当たり前のように討伐していたぞ」
嘘だけど 構わないよな!
「それで回答がどうなったのかな」
「わかった。我がフェイタス・トラベスタの名において タケシとニーナの結婚を認める。但し、タケシと別れた際には死罪とする。どうせだ、シルビアも付けるとするか。
そんな答えで構わないか。カイトよ」
ニーナとシルビアがカイトの話、相手の素性を知ると驚愕するのと同時に婚約者が決まってしまった。それも寄りによって年下のタケシであるのであった。ブリキのおもちゃみたいにタケシもカイトを見る。
「良かったな! タケシ、一遍に2人も嫁が出来たな、嫌なら振っても構わないぞ。当然、2人ともその場で死罪になってしまうが な! 問題が無いだろう。どうせ 男の方が先に死ぬから
御2人さんから意見を聞いておくか」
ニーナは首を絞められており、返答が出来ない状態でシルビアは自滅の意味で何を言わないでいた。ニーナの足元には、水溜りに成って 気を失う寸前で占められており、生きる寸前の灯であった。
地獄の苦痛を味わいながらモガキ苦しんでいた。そんな処を
「おい!」
カイトの一言で解放される。床に倒れるように水溜りに座り込むと片腕の痛さが実感しだした時に床に魔法陣が展開されて折れてしまった腕が完治したのであった。
初めてカイトの凄さを実感する。
「それで姉ちゃんは、タケシの嫁でも構わないのか」
「タケシの実力を知りたい。今の私に付いてこれるか、知りたい。
この数日、何をしていたのかも知りたいし」
「経験不足のコイツ等が姉ちゃんに勝てるとでも思っているのか。それともタケシが勝ったら諦めて嫁にでもなるのか」
「私に勝てるって言うのなら勝ってみなさい。私だって遊んでいた訳で無いわ。望む処よ」




