治療
街が見えてくるまでタケシ達が走っている。街の城壁が見えてきた途端に 走る速度が落ちてくるとカイトに聞いてくる。
「なぁ~ カイト! やつらの処に行くのか」
「盗賊は、金を貯める習性があるから頂きに行ってくる。盗賊団と言うくらいだ、相当に溜め込んでいるのかもしれないし、美味しいおまけが付いて来るかもしれないからな
その辺りは、行って見ないと分からない」
「どうして そんなにも盗賊を憎む」
「俺は、10歳までに2度も奴等に捕まり、皆殺しをして逃げだした事が在る。それからかな! 称号に盗賊殺しや殺人鬼が付いて 彼等を殺す事でも経験値が得られるようになった。
まぁ~ こんな称号など持たない方がいいぞ。普通に人を殺しても魔物を殺す感覚と変わらなくなってしまう。から」
カイトの強さが少し垣間見えた処で城壁を通り過ぎた処で 街の中にニーナとシルビアが歩いているのが見えた。
タケシ達3人は、息を切らしながら街中に逃げ込んでくると ニーナたちも気が付くのであった。
「カイト、何か あったのか」
「盗賊に追われたのです。逃げ出してきただけです。タケシ達も同様で」
「タケシ? タケシ、マナ、タアルか? 大きくなったな 冒険者にでも成りに来たのか」
「姉ちゃんみたいな冒険者に成って 少しでも孤児院にお金を入れたくて半年前に訪れて 姉ちゃんを探したけど見つからないし、草原や森の中をうろつくだけで盗賊達に目を付けられるし、何とか凌いできたけど 今日あたりが限界だった処をカイトに救われた。
もう 金も無くなり、精神も保てなくなっていた。狩りをしても何も捕まえられなくなるし、どん底まで落ちてしまう処だった。そんな時、カイトの平和そうな顔を見たら やたらと憎たらしくなって喧嘩腰になってしまって あの時は、本当に済まん。カイト! 姉ちゃんとも会えた」
「気にしてない。それに 俺達は、当分 仲間に成ったのだろう。違うのか」
「本当に半年もの間、俺達を面倒見てくれるのか」
「俺が教えるのは、3週間ぐらいで普通に生活が出来る程度になるだけだ。その先は、自分達だけで切り開けば、多分 冒険者ランクも上がると思う。
俺は、当分の間 Fランクのままでいい。冒険者ランクに興味が無い」
「だったら どうして 冒険者に成った」
「この2人に聞いてくれ、俺を無理やり 街に引き入れて冒険者登録までさせた張本人だ。
俺は、海を見た事が無かったから冬になる前には、帰ってきたかったのに何故か、冒険者にさせられてしまった」
場が悪くなると ニーナとシルビアが逃げ出そうとしている処にカイトが彼女たちの腰を持って引き留める。
「あの時は、自殺志願者だと思ってだなぁ~ 本当に済まなかった」
「 ・・・ 」
「俺は、そんな風に見られていたのか。だったら タケシ達にメシと酒を奢ってやれよ。今日は、稼いだのだろう。昨日、あれだけ言い張ったのだから」
「ま、任せろ メシも酒も好きなだけ食べさせてやるとも」
「ニーナ、そんな事をしてしまうとお金が」
「大丈夫よ。また 明日から稼げば 何とかなるわ」
「今日は、特別料理をネネさんに頼んであるから タケシ達の分まで用意してもらえるぞ。よかったな」
「本当かよ。ニーナ姉ちゃん ゴチになります。けど 高いのだろう」
「そりゃ~高いと思うぜ。宿賃の3倍くらいはするだろうなぁ~ それを3人分か、今夜の食事代だけでも とんでもない位の贅沢になるだろうよ。
さすが1流冒険者にでもなると 懐も温かいのだなぁ~」
カイトがニーナを見つめると苦笑いで答えていた。シルビアは、撃沈して沈みかけている。冒険者ギルドに立ち寄ってから 宿屋に戻る事となるのだが
冒険者ギルドに入ると多くのケガ人が倒れており、ケガの治療をしているのであった。そんな中、レビィも魔力が切れてしまい懸命にケガ人の治療に専念していた。
どうも 王都からの残党がこの街付近まで流れてきていて多くの冒険者達がその対応に回されたみたいだ。その為に冒険者ギルドに多くのケガ人を運び入れてケガの治療を行っている事が判明した。
「カイト君、回復師なのでしょう。彼等を治療してあげて指名依頼を出すから」
分かっている事だが
「ケガ人は、ここだけですか。他にもいるのですか」
周りを見渡すと数名のみが大きなケガをしているだけで命の別状が無い事が判明すると冒険者ギルドのフロアー全体にエリア確定して エリアヒールを掛けただけで止血のみを行うのであった。
「動ける者は、この場から立ち上がり、帰るなり、酒場で酒でも飲んでいてください。止血を行いましたので後で確認だけでも済まします。
それで」
呆気に取られてしまっていた。手際の良さに
回復師の部屋に行くと更に惨い状態の者達がベットに寝かされており、多くの人達がケガ人の治療に当たっている処に ここでもエリアヒールを掛けて止血のみを行うと1人1人のケガの具合を見ながら 魔法薬を併用して治療を行う。ものの5分程度で治療が終わり
「彼等は、血液が不足しておりますので立ち上がれません。3日ほど寝かせておいてください。それで十分です。
フロアーに戻ります」
帰り際にレビィの肩に手を添えると魔力欠乏症でフラフラだった彼女が息を吹き返していた。カイトが魔力を補充したのだ。
「レビィさん、魔力を補充しました。動いて働いてください」
自分自身のステータスを見ると魔力値が元に戻っており、驚きながらカイトの方を見ると既に部屋を出ており 他のケガ人の処に向かっていた。
カイトの優しい言葉に 不思議と力が漲って来て活力まで沸き立つのであった。




