昔話
その頃、ニーナは回復師の処に来ていた。
「あら ニーナ! 七色草で止血するなんて凄いわね。良く見つけられたわ。
ハイポーションの材料で 3日ぐらいで完治するわよ。このままでも まぁ~今日もお酒を飲むのであれば回復しておいた方がいいわね。どうする。治療しておく」
「彼と同じ事を言うのね。自殺志願者と
何でも海が見たくて山を越えて来たって言っていたけど 見た感じ強そうに見えないのよね。持っていた武器も見た事が無い剣だし、服装も庶民の物だったわ。とても 冒険者に見えないし 何者なのかしら」
「名前は、何て言っていたの」
「“ カイト ” って 言っていたと思うな」
彼女が知る限りの情報をニーナに教えると
「そんな感じで 自分の事を “ 俺 ” って 言っていたわ」
興奮気味でニーナに聞いてきた。
「カイトさんは、まだ 冒険者ギルドにいらっしゃるの」
「もしかして レビィの知り合いだったりして」
「とんでもない。話もしたことが無いわ。遠くの方から見れるだけでも感激していたくらいよ。
教師不在の時なんてカイトさんが教壇に立って 治療の事やら 魔法薬やら 色々と教わった記憶があるけど誰1人として教論を聞いていないで カイトさんを見つめていたわ。
回復系で 王立学園で彼よりも優れている人なんていないと思う。教師ですらカイトさんから教わっていたわ。特に魔法陣学なんて話を始めたら 終わりが見えないほどに説明してくれたけど理解が不能だった記憶が在るわ」
「そんな凄い人が どうして こんな辺ぴな街に来たのかしら 可笑しくない」
「普通に海を見に来ただけだったりして それにしても可笑しいわね。確か、お嬢様2人の護衛も兼ねていると思うから あの方々も近くにいるのかしら?」
「お嬢様って?」
「国王陛下の第4皇女ミリィーナ・ギルガイア様とバロンフォード領のテレスティア・バロンフォード様も御一緒なのかしら そうなると第3王子のケビンコーテナ様とトリスティング様もいらっしゃるのかしら」
美男美女とは、彼等みたいなことを言うのよね。
「レビィ、彼は騎士なのか?」
「カイトさんの存在自体が不明よ。王立学園では、生徒だったと思うけど 色々な場面で見かけたわ。
不思議が多いい人だったわ。何処の街に訪れても彼を知らない街が無かったくらいよ。彼女達の引率で地方の査察も行っていたみたいだし、商人や騎士に至るまでカイトさんに話をしてきていたと聞いた事が在るわ。
別の意味でカイトさんが凄い事が分かるかしら」
「レビィの興奮状態で十分理解した。それでカイトは剣士なのか」
「分からない。剣も魔法も体術も扱えると思う。回復に関してなら言うまでも無いけど
ミリィーナ様やテレスティア様達に魔法を教えている処を何度か、遠くの方から見かけた事が在るわ。
1番凄かったのは、全校生徒の半分くらいが彼等の練習風景を見に来ていたこともあったわ。あの時の練習風景で1番驚いたことがあったのよ。テレスティア様の右腕が切られてしまったのに練習が終われば元通りになっていて 普通に腕を回していたわ。
カイトさんの回復だと思うけど 意味が理解できなかったわ」
「そんな彼が ここの冒険者ギルドにいるのだけど会って見る」
レビィの鼻から血が流れ出すとニーナがあたふためいた。
「レビィ、鼻から血が流れ出てきているわよ。そんなにも興奮する事なの」
「王立学園では、雲の上の存在よ。話も出来ないくらいの存在が 今まさに目の前にいるのよ。興奮が収まらないわ。
ニーナでも目の前にSランクの冒険者がいたら興奮するでしょう」
「この国唯一のシエルジート・トリノさんが目の前に現れたら 私でもレビィと同じになるかもしれないけど まず、こんな辺ぴな街に訪れる事も無いわね。
さっさと私を治療して会いに行って見る」
レビィの鼻から噴水の様に血が溢れ出した途端に貧血で倒れてしまった。その後、意識を取り戻した彼女を担いでカイトの前まで来たのだが
「誰ですか。その女性は、回復師に見てもらった方がよろしいかと思いますが」
「アンタねぇ~~ アンタの先輩でしょう。覚えていないの!」
「烏合の衆の1人だったら記憶にも残されておりません。多分、会話もしたことが無いと思いますが 俺の記憶の中に彼女の気配も感じませんね」
顔をしみじみと見ると
「俺の経論を聞きに来ていた1人ですか。そんな類でしょう。
誰かが来たみたいです。スペースを開けてください」
ニーナにメイプル、シルビアは、理解が出来ないのであった。当然、レビィも
光の中から豪華な鎧をまとって姿を現したのは、男性であった。
「この国に雇われている。異世界人ですか。
先程、サーチ魔法で調べてから来たのですか。俺は関係が無いから退散しても構いませんよね。異世界人君」
カイトの目の前で片膝を付いて地に伏せると
「お久しぶりです。カイト様、1度 国王と謁見してもらえませんか。他国の色々な情報をお教え願いたい。と 思っておられます」
「カイトさんに “ 様 ” を使ってはいけません。機嫌を損ねるから学園でも教師ですら “ カイトか、カイトさん ” と 呼ばれていたくらいです。
カイトさんにカイト様と言った時点で会話が終わるわ」
「良く、俺の事を御存じで それで ここで消滅してみますか。それとも次元の隙間に飛ばして差し上げる事も可能ですよ。どちらがお好みで」
カイトの体内魔力が錬成しはじめると 豪華な鎧を着ている男性の顔が段々と青白くなってきて




