ダンジョン
ダンジョンに来てみれば、いつも威張っていた見張りの人が カイトさん達を見た途端に子猫みたいに甘えた口調で会話をしてきて驚いた。
「カイトさん、あの見張りの人と知り合いなのですか」
「いや、昨日 少し会話した程度だよ。大方、イーナスの事を知ったのだろう。ロダンスウォール国とウィストリア教国の戦争にでも成ったら困るのは、ウィストリア教国の方だから」
「戦争にでもなれば、魔法を撃ち放題だし おもしろうそうね。それにミルクもミントも暴れても誰からも文句を言われないで済むわ」
『それは、願っても無い事だ。魂の解放が可能だろう』
「また 訳も分からない事を言いだすわね。ガウェインは」
「カイトさん達は、戦争にでも成ったら戦場に向かわれるのですか」
「もう ダンジョン内だよ。目の前に面白い生き物が来た。
“ ウットドール ” 樹の魔物を意味しているのか?」
「彼等は特に枝で攻撃して来たり、蔦を絡めてきて拘束してから攻撃をしてきます。気を付けてください」
ニーナが説明をしている最中に カイトのエアーカッターで簡単に切断されて 樹の切れ端が落ちているのであった。説明をしていながら 簡単に倒してしまうとニーナの方が驚くのであった。
「どうして そんなにも簡単に倒す事が出来るのですか。カイトさん」
樹に切れ端部分に魔法陣を展開させて回収すると ここでもニーナが驚く。
「い・いま、魔物が落とした処が光りましたよ。何をしたのですか」
「普通だろう。回収しただけだ」
カイトが回収したものを見る。と
「これか、工房で使っているな! 火起こしの火種として 良く燃えると言っていたな」
「え? カイトさんって 仕事をしているのですか。冒険者で無くて」
「俺って これでも一様、学生だよ。殆ど言っていないけど 工房は、武器作成を教わっている」
「そうね。私が色々と連れまわすから 学園に行く事も無くなってきているわね。最近じゃ~」
「そうだよ。今回だって イーナスが頭にきて 国を飛び出したのが原因だからな」
今度は、2体 カイト達の方に来るが 簡単に倒されて光と共に回収されてしまい。普通に会話をしながらダンジョン内を歩いている。
「え? それが原因で? え! いま、ウットドールが2体、来ませんでしたか」
「そうか、イーナスみた」
「所詮、ゴミよ」
この2人にとっては、ゴミ扱いなの どれだけ強いのかしら? その後も会話をしながら簡単に討伐されて行き、ケガ人が居ても簡単に治療してしまうし、私が見て来た冒険者達が可愛く見えてしまう。
そんな中、カイトさんがダンジョン内の壁を見て
「この壁って ミスリル鉱石に黒曜石、魔鉱石、それと石が土で作られているみたいだ。おもしろい仕組みだな
少しくらい拝借しても問題が無いよな」
「え? カイトさんは、見ただけで分かるのですか」
「武器を作る際に いろいろな鉱石を使うから勝手に覚えてしまうだけだ。それに鑑定も持っているからね」
「ニーナ、忘れていない。私達の目的」
「魔物を討伐して 魔石の回収で無いのですか」
「言ってなかったかしら 私達の目的は、ダンジョン内で取れる。鉱石や薬草であって ゴミに興味が無いわ。
だから 魔石は、あなたに全て差し上げます。取り分として受け取って頂戴」
カイトさんが壁を触ると何かが出てきた。そして 段々と壁の色まで変わり出している。
「あら、あら、カイトが遊び始めてしまったわ。この階層が無くならなければいいわ。生き埋めもおもしろそうだけど」
「イーナスさん、冗談言わないでください」
「あら 本当の事よ。昔、カイトが鉱石や宝石集めで 山が無くなったわ。その時は、悔しがっていたわね。貴重な薬草までダメにして」
「そうなんですか。カイトさん」
「そんな事もあったね。その後、別の山で見つかったから良かったよ。程々って言葉をその時に教わった」
この2人って 何歳なのかしら 私よりも年上よね。薬草の知識や鉱石の知識まで持っているみたいだし、そう言えば 先程、カイトさんが学生だと教えてくれていたけど この世界にも学校があるのね。興味が湧くわ。
「2人って 何歳なのですか。イーナスさんは仕事もしていると聞いたのですが」
「私が17歳で カイトが13歳よ。それが何か?」
前世の私よりも知識が豊富で 私よりも年下なの! 今の私って 18歳で喜んでいたのに
カイトさんを見てみれば、壁に大きな穴を開けてしまい。壁向こうの通路まで出てしまっているし、あれ?
人が逆さまに歩いている。どうして?
「このダンジョンって おもしろい構造をしていると思ったら正解だった」
何を1人で納得しているの 私にも教えてほしい。
「カイトさん、私にも分かるように説明して」
「何を」
「このダンジョンの事を」
「聞いたら 面白くなくなるよ。それでもいいの」
「そもそもダンジョンって 何なの?」
「富と名声を簡単に手に入れられる場所といわれているね。真実は、魂の回収であって その魂の振り分けにも使われているみたい。
真実は、神のみぞ知る。って 処かな」
「だったら このダンジョンって 何階層まで存在しているの」
「知らな~い。それこそ、作った人に聞いてくれ 俺にもそこまで分からない。あえて言うのであれば、このダンジョンは、5つの箱で構成されているみたいだ。
その証拠に このダンジョンに入ってきた時から 可笑しいと思ったのが正方形で構成されている事と重力が均一にされている。それに人の足音も面白い。前面から聞こえてくる。
そもそもが迷路に成っているにも拘らず、入り口と出口がある事が不思議に思わないか。どうして 誰も壁を壊して通り過ぎる事をしない。安易に考えて行動をしているみたいだし、時間の無駄も考えられる。入口の天井に穴を開ければ、この迷路から簡単に出る事が出来るというのに 人間の思考をおもしろく実現しているみたいだな
勉強になる」
「どうして そんなにも簡単に分かってしまうの? それも魔法なの?」
「この場合は、サーチ魔法だと壁の反射で全てを見通す事が出来ないけど 感知魔法や構造上の感知まで使えば簡単に見える。構造感知の魔法を持っている奴を探す方が大変だと思うけど
武器作成を覚えれば、誰にでも簡単に手に入る。スキルだ。ニーナも覚えて置いて損はないぞ」
カイトさんは、本当に魔物に興味が無いみたい。ダンジョンに入って来てから会話しかしていない。私は、