Sランク
翌日、王都の冒険者ギルドに来ていた。カイトが
カイトが冒険者ギルドに入ると2階から走る音が聞こえてくると階段で足を滑らせたのか、落ちてきた。ギルドマスターが いつもの事みたいで職員も近寄らない。
「イタタァ~! 良く来た。カイト! お前のギルドカードだ」
そこに 昨日まで行われた。学園の野営訓練で一緒だった。新人冒険者のジンが顔を出した。
「よぅ! カイト、時間通りだな」
「僕は、あなた様に名乗りましたか」
「カイトの事を聞いて回ったら 生徒達が色々と教えてくれたぞ。人気者なのだな」
「カイト、受け取れ お前のギルドカードを」
木の箱に入っている。カードが受付カウンターの上に出されると それだけで受付嬢に職員、それとジン達も驚くのであった。
カイトが木の箱を開ける。そこには、ミスリルの板があり Sランクの称号が刻まれていた。カイトが横に向き直す。
「あなた様のランクは」
「俺か、Eランクから Dランクに上がったばかりだ」
学園の野営訓練に付き合っただけでランクが上がるなんて思わなかった。
「お借りする事は出来ますか」
カイトが右手を出す。受け取り、左手にSランクのギルドカードを持つと不思議と名前が切り替わり、内容まで切り替わるのであった。
「おめでとうございます。あなた様は、今日より Sランク冒険者の仲間入りです。
ジン・イークスさま。これからは、その様に名乗られた方がいいかと思われます。今回の野営訓練での討伐された物まで差しだしますので 今後もこの国の為に頑張ってください」
左手に持っている。ギルドカードをジンに手渡す。それを受け取った。ジンが目を丸くして驚くのであった。その場にいる。ギルドマスターに職員達も同じ状態だった。
「まてまてまてまて そんな簡単にギルドカードを切り替える事など出来るものなのか」
「このギルドカードも 一種の魔道具なので簡単に書き換えなど出来てしまう物です。中の仕組みを把握すれば済む事です。
因みに僕のギルドカードは、永久欠番にしましたので今後一切、ランクが上がる事ができなくなりました。安心して 冒険者稼業に努める事ができます」
新人冒険者に受付嬢、それと職員達まで ギルドマスターを見るも
「そんな事は、お前達でも知っている事だろう。国王の許可が下りないと書き換えが出来ない事を それに暗号も必要になっている筈だ。その番号も書かなければ、書き換えなど出来ないし、誰にでもできる代物でもない事くらいは、知っているだろうに」
ギルドマスターが動揺している最中に 受付嬢に職員も把握が出来ていたのだが さすがに目の前で行われてしまうと疑いたくもなる。
「ギルドカードの中に 手紙が入っております。今日の昼頃に “ 王城に来い ” と書かれておりますので出向いてやってください。
多くのSランク冒険者に 僕の姉まで待っていると思います」
その場にパトリットお嬢様が顔を出す事は無いかな 多分!
受付でカイト達が話をしていると 冒険者ギルドの扉が開き、騎士が鎧まで着込んでSランクカードを持っている者を捕獲しに来るのであった。カイトの前まで来ると片膝を付いて
「カイト様、Sランク昇格、おめでとうございます。国王陛下がお待ちかねです。我々と同行してもらえませんか」
その場に居合わせた。冒険者に職員達も驚く事しか出来ないのであったのだが
「すいません。僕は、Dランクです。ジン・イークスさまがSランク昇格を遂げましたので 彼を連れて行ってください。国王陛下も彼を望んでいるのでしょう」
カイトが自分のカードを騎士に見せると驚いて カードを受け取ると職員を呼び、確認まで行うのであった。やむやむ、ジンが連行されて行った。
「それでは、新人冒険者講習を始めて貰えませんか。邪魔者がいなくなったので」
「ちょっとまて 彼等がここに来る事は分かっていたのか、貴様は」
「王城から数十名の騎士が出て来る事は、サーチ魔法で確認済みです。まだ 僕の事を諦めていないみたいです。困ったものです。
たかが12歳の子供に興味など無いと思うのですが」
カイトのボヤキも彼等の耳に入らず、聞き流してしまうほどに驚くのであった。
その後、講習もすんなりと終わり、昼から実技に移るのだが ここでも頭を悩ますのであった。本来であれば、職員が対応する処なのだが 相手がカイトと解ると職員では到底無理な事だと理解ができた。
今現在、一番身近でSランク昇格に近いとされている。ガランダ・ワークスが緊急呼び出しで呼び出される羽目になった。ただ事で無い事を理解して仲間達まで呼び出されるのであった。
何も知らないカイトは、訓練場でのんびりと昼食を食べている。ミルクを肩に乗せて そのミルクもカイトが外に出て来る事を見ると否や 上空からカイトの肩に止まり、餌を食べ始めるのであった。
カイトが昼寝をしはじめるとミルクも翼を広げて日差しをカイトに当たらないようにして首元に自分の首を持って行って寝息を聞きながら寝てしまう有り様だった。ミルクも甘い一時を邪魔されたくないのか、威圧を撒き散らしながら寝息を漏らして寝ている。
近くでは、遠くからカイトが見て取れるのだが近寄る事も出来ないでいる者たちが居た。小さいといえどもドラゴンである。音速で飛び回り、平気で炎も吹くし、イーナスに習ったのか。雷魔法まで使う有り様だ。そんなミルクがカイトを守るみたいに上に乗っていれば、近寄る事も出来ないのであった。
目覚めるとミルクも目覚め、翼をバタバタしはじめると冒険者達が近付いて来るもミルクが睨みつけて威圧を飛ばしただけで それ以上に近寄れなくなるのであった。
「ミルク、守っていてくれたのか。ありがとう」
カイトの言葉を聞いて “ キュィ~ン ” と 鳴いたと思ったら 空に飛びあがり、大空に飛んで行ってしまった。