任が解かれる。
この日の学園での授業が終わり、放課後も残って専門的な事を習いたい生徒は、魔法学部へ。剣や魔法を習いたい生徒は、兵士学部へ。何もしなくても学園は何も言わない。
当然、カイトの処には 2ヵ所から誘われているが興味もなかった為に断っている。そんな中、クララが魔法学部内の薬学に興味を示して テレスティーナ達と共に扉のドアを叩いた。その間、カイトが廊下で待つと多くの生徒達がカイトを見て挨拶してきたが ここでも興味が無いのか、無視である。
その仕草が女性達にとっては、・・・
1番偉そうな女性が キョロキョロと何かを探している。
「クララ嬢がここにいるって事は、カイトは! カイトは来ていないのか」
「カイトさんは、興味が無く。廊下でお待ちしております」
部屋の扉を開いて カイトに抱き付こうとするものの逃げ出す。
「どうして逃げだす。この魔法学部で1番偉い私から」
カイトが全身を見て 彼女のステータスまで確認すると溜息の後に
「興味が無いもので ここで待たせてもらいます」
「イーナスは、この魔法学部出身なのだぞ。私は、お前もイーナスと共に多くの魔法陣や魔法の開発をしてくれるものだと思っていたのに どうして 私からの誘いを断る」
「先程も言いましたが 興味もありません」
「貴様は薬師だろう。生徒に薬師を教えたいと思わないのか」
「そもそも、僕はクララさまの護衛であって学園の事などに何も興味が無いのです。それと ここでも自問も時間の無駄です。部屋の中で クララ様方にお教えしてやってください。
僕は、ここで本を読んでお待ちしております」
その後、感知魔法でクララ達が苦い水を作っている事を確認すると意味不明であった。大事そうにカイトに見せつけて来るものの 何がいいのかも分からないのであった。
「1つ、お伺いをしてもよろしいですか」
「何かしら カイトさん」
「その苦い水に 何か、意図が存在するのですか」
「何を言っているの 私が初めて作った。ポーションよ」
「何か、勘違いをされておりますが それは、苦い水であってポーションではありません。何の効能も見いだせない物です。
あっ! 伯爵さまの2日酔いの薬にでもするのですか」
2日酔いに効くかもしれないが その後、下痢が続くぞ。それはそれで使い道が在るのかもしれないな、今度、誰かに使ってみよう。
何も起きる事も無く、1週間の無駄の時間が流れて野外訓練に出て来るのであった。森の奥深くでは、何やら蠢いていた。
当日を迎える。この日の生徒が50名、5人の班が10組で計3回も行われるみたいだ。新人冒険者30名とBランク冒険者が1組、Aランク冒険者が2組、それと飛び入りでパトリットとイーナスが同行している。シーナさんの食事より、カイトの方がいいと言うだけでパトリットが参加するが イーナスは、カイトの側を離れたくないとの理由らしい。
先週の王城、呼び出しで
パトリットはSランクに成ったが イーナスは、断固として断ったみたいだ。それだったらカイトの護衛の任を解いてくれと進言したらしい。今更、クララを虐める奴など現れないだろうと言ったのだ。それで今回の野外訓練を最後に護衛の任が解かれる。
それに対して 猛反発したのが女子寮の彼女達だ。今までの裕福な暮らしから一転して本来のあるべき姿に変わってしまい。シーナさんの食事で風呂掃除にトイレ掃除と順番制になってしまい。男子寮と大して変わらない風景になってしまっていた。
カイトがいる時は、全てを魔法で行っていた為に何の苦も無く、簡単に済ませる事ができたが これからは自分達で行わなければいけなくなるのであった。それでもクララやテレスティーナ達に順番が回って来る事も無く、平穏な暮らしをするのであった。さすが 伯爵家に王族と行った処か、
カイトはというと普通の男子に戻り、男子寮での暮らしをするのである。男子寮の男どもが 女子寮みたいにカイトがすべて行ってくれるものだと思っていたみたいだが普通に順番を守るのであった。食事も出された物を食べて お風呂も順番を守り、今までの窮屈な生活から自由が手に入るのであった。
女子寮から男子寮に変わっただけで何も困る事も無く、何も気にする事も無く 堂々と男子寮に入って来てカイトのベットで深い眠りに付くのであった。それでも何人かの男子生徒がカイトの部屋の前で黒焦げになっている事も今更である。
王都でカイトがいる限り、イーナスが付きまとうのであった。パトリットをそっちのけにしてでも そんなパトリットも堂々と男子寮に入って来て カイトの前に座り、なんだかんだと注文を付けて来るが ここが男子寮だと言って断るのであった。
カイトの部屋は、女子寮でも物置部屋を使っていたのだが 男子寮でも同じで物置部屋を使用している。寮の中で頑丈な場所を使用している。ラボを出すのに最低限の高さを確保しないといけないという事と空間を拡げるにしても それなりに強度も必要になるからである。それが無ければ、必要以上に魔力の消費が必要不可欠であった。為である。
野外訓練の翌日には、新人講習を受けて晴れて冒険者の仲間入りができる事となった。それでも討伐以来の冒険者で無くて 無難な薬草採取の冒険者をしていく予定である。何かとパトリットが文句を言ってきそうなのだが ここは、マイペースのカイトの事で何とでもいい訳をして逃げるのであろう。