進化の末
「クララって 凄い人達と知り合いなのね。私達の国では、神話の物語の人達よ」
「私だって初めてよ。神獣様を見る事も初めてなのに」
「神獣様って あの神獣様?」
テレスティーナが未だに 未知との遭遇に期待で 一杯で何も聞いていなかった。それが神獣の言葉を聞いた途端に現実に引き戻されるのであった。
「何処、何処にいるの 神獣様に1度でいいから御会いしたいと思っていたの 私」
「テレスティーナが立っている場所が 神獣様の背中部分よ」
衝撃的な事を聞いて 3人の声が木霊する。
その直後、カメの甲羅に生活魔法のクリーン魔法が掛けられて綺麗になると 次に状態異常回復魔法で回復を行ってカメの頭部分の前に3枚に卸された。内臓も含めて数本部分を落としていくと美味しそうに大きな口を拡げて食べ始めるのであった。それを見たさに海人連中も集まり出す。
何も言わないが彼の所業に拝む者まで現れるのであった。
「さてと 私も下りようかしら」
「ちょっとまて もしか知っていて ここに降りなかったのか」
「だって 靴の裏が汚れてしまうでしょう。カイト君は、私の為に神獣様の汚れを取ってくれているのだから」
たった、それだけの為だけに この街全体に魔法を使ったというのかと思う。5人であった。その反面、此処の住人連中の考えは違った。神獣様が綺麗になって健康状態まで良好に成ってくれること自体が嬉しいのであった。
ミルクは、神獣の気配の中にいて未だにイーナスの肩の上で震えていた。
「ミルク、神獣様は、生き物すべてを守る御方なのよ。あなたの事も見守ってくれるわ」
優しい言葉を投げかけるとミルクの全身が光り輝き、神獣の加護を頂くのであった。
「あなたもこれで 神獣様の加護かになったわ。元気よく羽ばたきなさい」
ミルクは、思った。この人達といれば、私の存在価値が示される。と 大空に舞い上がると今迄の風景がいつもと変わるのであった。世界の中心に自分の存在価値を示す事ができるのだと感じ取れるのであった。
クララ達4人は、恨めしそうにミルクを見上げた。そんなにも簡単に神獣様の加護を頂いた事を
「あなた達には、無理よ。フレイアお嬢様ですら加護を持っていないし、私も持っていないわ。ミルクは、もしかしたら 神獣に成れるだけの価値があるのかもしれないわね。
カイト君なら分かるかもしれないけど 先の未来までは見えないと思うわ」
「どうして カイトさんなら分かるのですか。イーナスさま」
「内緒よ、内緒」
それ以来、イーナスさまは何も教えてくれなかった。カイトさんって 本当に何者なの?
その後、多くの人達を引き連れて イーナスさまの下にカイトさんが現れると
「お姉さま、肉 持っている」
「フレイアお嬢様、全て差し上げてもいいでしょうか」
「好きにしてくれ、私には不要だ」
村の中心部分の場所に移動すると広い場所があった。村人連中が周りに集まっている最中にイーナスさまが肉を出していく度に歓声が上がるが段々と青白い顔になって来る。当然、私達も同様である。数がとんでもない程に狩り取られていたのだ。普通の冒険者の数十倍の魔物の死体を持っていて 違う場所では、カイトさんが木材を大量に積み上げて行った。
不思議な光景が目に入った。彼等と出会った頃は、水をかく ヒレやエラが見えていたのに太陽に当たっているだけで見えなくなってしまい。普通の人と区別ができなくなってしまっていた。
これも後から カイトさんに聞いた事なんだけど 彼等は、水の中で生活をしている際は、水の中でも呼吸ができるが陸地に上がる事がそんなにも長時間が無理だと教えてくれた。ある程度、全身を水に浸さないと皮がボロボロと剝がれていってしまうらしい。私達がお風呂に長時間はいると肌がふやける状態と同じだと教えて貰えた。
不思議と納得ができた。本当にカイトさんは、何でも知っている人だと関心ができる。
この村の村長がカイトの前までやって来る。
「カイトよ。本当にこんな物でいいのか。海の底のゴミみたいなもので 前回に言われていたからかき集めてきたが」
それは、滅多に出回らない。赤色や黄色や青色をしている。海の宝石の珊瑚礁だった。それに真珠も多く持ってきていた。
「僕達みたいな地上の人間からすると海の底に生えている。生き物など手に入りませんからね。高値で売れるのです。
そうだ、水龍の肉も置いて行きましょうか。あれだけ大きいと食べきれないもので」
カイトの脳裏に
『アヤツの肝があっただろう。ワシに半分くれ、小童』
目の前に肝が落ちると被り付いた途端に 全身が赤く染まると少し大きく成るのであった。成長した。神獣が
『数千年ぶりに進化したぞ。我が身体が 小童』
『また 遊びに来るからよろしくな! 爺さん』
『もしや 主は、まぁ~良いか。好きに呼び出せ、いつでも駆け付ける』
神獣が “ ガァ~ ” と 鳴き声を上げただけで海人連中が拝みだすのであった。
「そろそろ、時間だな!」
「おっ! そうじゃった。これを渡すのを忘れる処じゃった」
青くて透き通る。水の宝珠をカイトに手渡す。と
「これは、僕が持つよりも姉さんの杖に嵌め込んだ方がいいね」
ミルクが何かを銜えて イーナスの処までやってきた。
「あら、ミルクも風の宝珠を何処からか銜えて持ってきたみたいね」
自然と手から離れるとイーナスの杖に引き寄せられるように杖の中に消えて 新たなる模様を生み出して新しい杖へと生まれ変わった。
「お姉さまの杖も進化したみたいだね」
それと同様にイーナスのローブにも変化が訪れた。
「あら やだわ。私のローブも水色と黄緑色が加わってしまったわ。目立つ色になってしまったわね」
パトリットが一人でゲラゲラと笑い出した。
「私1人だけが バケモノ近くまで変化していて イーナスの変化が無い事が不満だったのだ。これでカイトが制作した鎧と剣を持てるよな!
カイトよ」
「そうですね。ここだったら 被害も最小限になるでしょうから 装着させて安定まで持ち込んでみますか。パトリットお嬢様」
返事を聞かずに全裸にして 全ての鎧を聞かせて上空に挙げてしまうと突風と共に舞い降りてきた。
「カイト。剣だ、剣も寄越せ」
元々、持っていた。魔剣と聖剣を彼女まえに出してやると聖剣を掴み、抜き去ると鞘を捨て去るも腰に戻って装着するのであった。同時に魔剣も抜かれ、外側に浮遊しているのであった。が ここまでは良かったのだが威圧と殺気が入り乱れて暴走をしてしまうのであった。
その暴走が水面下で行われている最中、