海の神獣様
「お前達は、何をしていた。私1人に戦わせて」
「カイト君とおしゃべりをしておりました。そうね、隕石を1つ、落とした程度ですか」
クララ達は、隕石の意味を理解できなかったが パトリットの言葉を聞いて理解できた。
「隕石だと 夜空に煌めく星々の1つを落としてしまったのか。イーナス」
また 大それた魔法を放ちやがって 街がどんな被害に陥るとおもっている。街の方向を見ると何の被害にもなっておらず、来た時と変わらないのである。そばにカイトがいる事を理解した。
クララ達にとっては、夜空に煌めく星々の方が驚くのであった。あれを落とせる物なのかと思っていた。ただ単に星々の間を融解している岩を落とした程度なのだが 余りにも大げさに言うものだから おもしろがってそのままにするのであった。
「問題がありませんわ。海の藻屑に変わって海の底に沈んで行ってしまわれましたわ」
勝手に納得する。イーナス
「そんなんでいいのか。カイト! お前の姉は」
「おもしろいから いいと思いますよ。この際だから王城の真上にも落としてみます。大きな山が出来上がりますよ」
カイトの冗談をパトリットとクララ達4人は、冗談に取るほどの余裕が無くなっていた。
「それも面白そうね」
と 言いながらイーナスが右手を上に挙げただけで騒ぎ出すのであった。
「ちょ・ちょっと待て イーナス! それは、私でも庇いきれん」
「イーナス様、それだけはお辞めください。学園のみんなが」
その後、テレスティーナにパレスと続くが レオニカは静かに意識が遠のくのであった。イーナスと言えば、普通に欠伸をして終わるのであった。
「どうかした。私が撃つとでも思ったの あの街には、フレイア家族が住んでいるからそんな事はしないわよ。住んでいなければ撃ってみたいけど 地上に落としたらどれほどの被害が出るか見てみたいわね。
そう、思うでしょう。カイト君も」
「計算が可能なので興味もありません。帝都の国が半壊程度です」
ちょっと待て 帝都と言ったらロダンスウォール国の10倍の広さの誇るほどに広大な土地を所有する国だぞ。それが半壊するのか、それ程にも威力がある魔法なのか
遊び程度で使われでもしたら 私の心臓が持たん。
「お姉さま、ギルドカードを貸してもらえます」
「いいわよ」
カイトに手渡すとカードが光り輝くとイーナスに手渡した。
「カイト、何をした」
カイトがパトリットに手を差し出すとパトリットが自分自身のギルドカードをカイトに渡す。そして またしても光り輝き、パトリットの下に戻って来るのであった。
「だから 何をしたのだ。貴様は」
「この領域の主の討伐をパトリットお嬢様に移し替えただけです。このギルドカードも魔道具の1種なので簡単に書き替えも可能です。
不思議そうな顔をしておりますが」
「カイト君、ありがとう。
フレイアお嬢様なら問題が無いわね。この前も魔王を討伐して 今度は、海の主の討伐。この海に面している国々が黙っていないわね。大変ですよ。これから」
「ちょっと待て そもそも、この複雑な暗号文を解読が可能なのか」
「魔法陣の解読から比べれば、天と地ほどの開きがあります。それだけに簡単に行えると言えます。それだけです」
そうだった。コイツなら簡単に解読も可能だった。自分で魔道具も作り出してしまうぐらいに頭の回転が良すぎたな はぁ~何か、疲れたァ~
「それで イーナスが先程、街に戻ると言っていたが それでいいのか」
カイトがサーチ魔法を展開させると隣の国辺りの沖合に顔なじみの連中の存在を感じ取る。
「少々、行きたい処がありますがよろしいですか。転移で移動します。
パトリットお嬢様のスピードでは、今日中に帰って来れなくなりますので」
クララの方を見ると首が縦に振って合図してきた。
「好きにしてくれ、ただし上空にしてくれ 状況確認をしたい」
「わかりました」と声が聞こえた途端に景色が変わらなく、陸地も見えない場所に移動するのであった。青い空と青い海しか存在していない場所に
「カイト、こんな処にきたが何も無いのでないか」
「時期に浮上してきます。待っていてください」
「あら 大変、お土産を持ってくることを忘れたわ」
浮上してくるって ま・まさか!
「カイトさん、ここに浮上してくる物って 何?」
クララが聞いてきた。こんな海の真ん中で生きていける人など存在すら知らないのであった。
「時期に海の神獣様が浮上してくるよ。僕の感知魔法を感じ取ったと思うから」
カイト達の真下に今迄は、青かった海が突然に黒くて大きなものの影が映し出してきた。それを上空から見ていた。クララにテレスティーナにパレスも同様に驚きを隠せないのであった。レオニカは、静かに意識が無い。
「ま・まさか、海の中に街が存在しているのですか。カイトさん」
大きなウミガメの甲羅部分に街が出来上がっており、多くの人が見て取れるのであった。その中で1人の男性が此方に向かって手を振っているのが見えた。
近くに寄ってみると
「やっぱり、カイトか! 神獣様が急に浮上するから 何か、と 村人連中もびっくりしていたぞ。
村長に挨拶してくれ、それと肉があったら少し分けてくれ、あとは何でもいい」
レオニカは、人の話し声で気が付き、白い板から降りて地上を堪能するも途端に地面が滑り出して海にドボンと滑って落ちてしまうのであった。訳も分からない内に海の中にいて驚くのであった。が イーナスが浮遊させてカメの甲羅部分の安全な場所まで連れてくる。と
「勝手に降りる事は構わないけど 状況確認を怠った報いよ」
「すいませんでした。イーナス様、それでここは 何処なのですか」
「カイト君の話を聞いていなかったの ここは、神獣様の甲羅の上の村よ。海人達の村」
陸地に住む、テレスティーナ達にとっては、海人など神話の物語程度の話で合って 彼等と会話ができること自体が夢物語の存在であった。
その彼等が目の前にいて 自分達と同じ言葉で会話をしていること自体が不思議な光景でもあった。