雷神
パトリットが自分の意思で走り始めた事を理解したカイトは、何もしないのであった。その時になったら分かる事なので
「あら、いけない。ミルクを忘れてきてしまったわ」
と 気が付くも既にカイトの肩の上に転移して連れてこられていた。突然の周りの景色が変わっており、驚かせられてしまった。ミルクであった。森の上を優雅に飛んでいる最中にイーナスの気配が消えて 森に潜んでいる。魔物や魔獣の気配までも消えていなくなり、心細く成った途端に景色が変わって いつの間にか、カイトの肩の上に移動させられて驚くのであった。
カイトがサーチ魔法を展開させると地上付近に海の底を移動する魔物がいた。大型の海坊主だった。海面から見ていれば分かるように頭部分が出てきており、漁師たちがそれが原因で騒いでいたのであった。
「ちょっと地上に降りてきます。騒動の原因がわかりました」
カイトが地上スレスレまで降りてくると 漁師のおじさん達がカイトの存在に気が付くと何処かで見た事がある程度に思い出せないのであった。
「海坊主の足を2本貰っても構いませんか」
「何を言っている。兄ちゃん、さっさと逃げだせ、あんなバケモノなど誰が勝てるという」
まだ 思い出せないでいた。何処かであった記憶があるのだが 誰だったかな! 何か、大事な事を忘れているようだ。
海坊主の足が2本、海面から出てきて船を足場に上体を海から出した途端に大きな丸い物体が出てきた途端に頭部分が水面に落ちてしまい。足のみがウヨウヨと独りでに動き出すのであった。海坊主の頭部分が地上に転がると足の長い部分高が無くなる状態で横たわる状態で地上に持ち上げられるのであった。
「後は、お好きなように料理してやってください。もし使い道に困るようなら 帰りにでも貰っていきますの そのままにしておいてください」
カイトの姿が消える。何処を見渡しても見つからないのであった。何が起きたのかも分からない内に 海坊主が地上に転がっていた。不思議な光景でもあった。
カイトが元の位置に転移で姿を現す。
「待たせた。行こうか、地上の問題が解決した」
テレスティーナが不思議に思って カイトに聞いて来る。
「カイトさんは、何の為に討伐をしているのですか」
「僕ですか。美味しい物を作って美味しく頂くためですよ。それが不思議ですか、それが食べる事ができない物は狩り取りません。興味が無い。
その辺りは、冒険者の方々のお仕事なのでしょう」
「それでは、街の治安が」
カイトとの話が勝手に終わると白い板きれが動き出した。海面を走りだした途端に水しぶきを上げて走り出すと後ろに丸い虹の枠が出来上がり進行方向を示すかのように走り始めた。
「テレスティーナ、後ろを見てごらん。虹ができているわ」
テレスティーナとパレスが後ろを振り向くと雨上がりに出来る虹が私達を包むように出来上がっているのを見て感激するのであった。
「クララ、どうして 虹が出来上がっているの? 空にできる虹が」
「確か、光の当て具合で ナンチャラカンチャラって授業で習った記憶があるわね。あまり覚えていないわ」
「分からないわよ。そんな言い方をされても」
「あはは~! 私も余り記憶が無いわ。
陸地から大分、離れたから そろそろ、カイトさんの戦場場所よ。レオニス、あなたも戦うのでしょう。覚悟を決めなさいよ。パトリットお姉さまでも相手に成らない相手が出て来るわ」
更に沖の方で大きな魚が飛びあがると
「カイトさん、今日は あれが食べたいです。確か、生でも食べれましたよね」
黒光をしている。大きな魚が飛びあがると瞬時に光の槍が出来上がり、飛び出した。魚の身体を貫通した途端に目の前に転移で運ばれてくると錬成空間の中でビクビクしていた。
「さすがは、クララお嬢様 お目が高い。クロマグロの18メートルものです。滅多に手に入りません」
テレスティーナ達は、何が起きたのかも分からないでいた。海の生物とは、陸地と違ってこれほどまでにも大きな物が存在している事すら知らなかったのである。
カイトがアイテムボックスの中から 魔物や魔獣の血を海に流し込むと海面上に穴を開けて深さ30メートルほどまで血を流しいれて海面が血の海に変えた途端に空に飛びあがり、青い海と赤い海が真下に見える状態に広がっていた。
「この高さなら 魚を見る事ができるでしょう」
「クララ、魚って?」
「カイトさんにとっては、魚でも私達にとっては、海王生物達の事よ。ある一定の領域を超えると魚の大きさが変わって 私達、人間が踏み込んでいい場所で無くなるのよ。地上でも森の奥深くに潜ると私達の知らない。魔物や魔獣が存在しているでしょう。
それと同じで カイトさん曰く、魚で十分だとでも思っているみたい」
クララ達には、結界内で守られているから 外の様子までは理解ができなかったがカイトの立っている場所では、威圧と殺気が入り乱れて人が立っていられる状態で無かった。
クララは、何度か体験しているから知っていたが結界の外がとんでもない事になっている事を
『誰だ、我が領域で好き勝手に暴れようとするものは、許さんぞ』
クララの乗っている結界に体当たりしてくる者やカイトに片手で殴り飛ばされる者たちを眺めながら観察していると
「そろそろ、潮時ですね。この辺りで終わりにしますが 何か、ご注文はありますか。
クララお嬢様」
テレスティーナとパレスは抱き合って震えているし、レオニスに至っては 口から泡を吹いて気を失っていた。クララにとっては、キャ! キャ! と嬉しいみたいで喜んでいた。何がおもしろいのやら
「やっちゃて カイトさん! テレスティーナにパレス、ここからが本番よ。カイトさんの魔法の1部を見る事ができるわ。カイトさんやイーナス様が どれだけ規格外かが分かるわ」
カイトの指が “ パッチン ” と 鳴り響くと空が青いにも関わらず、光の粒子が集まって来て辺り一面に雷神の雨が降り注ぐのであった。陸地から見えている者達にとっては、神々の怒りとして噂されていた。
フレイア伯爵が王城から海の沖を見ると金色に光るのを見て
「今夜も酒と肴で 酒が旨くなりそうだ」と呟いた。
それとは正反対に国王陛下と宰相の口からは、大量の涎が出ていたという。カイトの料理を1度でも食べてしまうと病み付きになってしまい。また 食べたくなるのだがフレイア伯爵が存在している以上、食べに行く事を許さなかったのである。まだ 見ぬ、食材と料理を食べたい一心で涎が大量に出てしまうのであった。