本物の賢者に
カイト達が街に戻ると いつもと同じ光景で賑いを見せていた。街に戻る前に牧場によってミルクを貰う代わりに霜降り牛を渡す。
「いつも済まないな カイト! 今回もミルクでいいのか。それと卵だったな!
見た事も無いほどのいい肉みたいだな 何の肉だ」
「ちょっと取れすぎてしまって 困っているのです。この後で肉屋にも寄って行く予定でして 因みに霜降り牛です」
途端に青い顔になって ブルブルと震えあがってしまった。
「どうか、されましたか」
「霜降り牛って 3メートルを超えた。魔獣だろう」
「そうですね。先頭を走ってきた、数匹を倒したら雪崩しきに全滅してくれました。後は、頭を潰せばいいだけです」
後ろでパトリットがそんな簡単に倒せるなら 誰でも同じ事をしているって って!そんな顔でカイトを見詰めている。
手に入った、ミルクを器の中に入れて 白いドラゴンに出してあげると首をかしげながら カイトに勧められるまま、ミルクを一舐めした途端に器の中のミルクが無くなるまで飲み干してしまった。満足するとイーナスの肩の上に止まり、周りを見渡してから肩の上で寝始めてしまった。
「カイト、イーナスさまの肩の上にいるのって やっぱり、ドラゴンなのか」
「そうですよ。やはり、街中に連れて行く事は辞めた方がいいですかね」
「その反対だ、民衆が拝みだすぞ。賢者の肩の上に白い鳥で無くて 白いドラゴンが乗っているだけでも伝説の賢者様以上だと と言われて国も黙っていられなくなると思う。
今でも十分に何も言えないと思うが この国の貴族連中程度ならな」
「問題が無いわよ。イーナスの後ろ盾には、私達 フレイア伯爵が付いているのだから それに私とも姉妹に正式に成れた事だしな」
「これで私がカイト君のお嫁さんにもなる事が可能になったわ。多分、子供を作る事ができないかもしれないけど 私はそれでもいいと思っているし、他のお嫁さんを嫁がせて作らせれば問題が無いわ」
「ちょっと待て それって 私でも可能だよな!」
カイトが “ パン パン ” と 手を叩き、
「膨らんだ処、すみませんが街に戻りましょう。この後、肉屋と冒険者ギルドにも立ち寄りたいので さすがに昨日からのパトリットお嬢様の荷物を未だに出せない状態なので
イーナスお姉さまも同じ状態でしょう。僕と同等の量を持っているのですから」
カイトも苦労しそうだな! この2人が相手だと
「それもそうね。冒険者ギルドに行く前に 肉屋から行きましょう。何を検索されてもいいように」
その場からカイト達が消えるとイーナスの転移だと思い。いつもの光景だと何の疑いも上がらないのであった。何の苦も無く転移してくると牧場主と話をしていたと思った瞬間、目の前に肉屋の親父の顔を見て パトリットと親父さんが驚くのであった。
「いつも言っているだろう。簡単に転移するなよ。私の小さな心臓でも耐えられるように前もって言ってくれ頼むよ。2人とも」
「パトリットお嬢様の言うとおりだ。心臓に悪すぎる。お願いしますだぁ~賢者様」
「親父さん、霜降り牛がある。何頭、欲しい」
「カイトと知り合ってから 俺の寿命が縮む一方だ。肉屋としてなら儲かっているのだがな
3頭分でいい、時間がある時に取りに来てくれ」
俺に幾ら払わせるつもりだ。霜降り牛だって 1頭でも金貨数百枚の値が付くと言うのに
「いや、5頭にしてくれ貴族連中に高値で売ってやる。儲かった分から孤児院に肉の差し入れや孤児達にも肉を食べさせてやれるな それでどうだ」
「その辺りの算段は任せます。孤児院の方もいつも通りにお願いしますね」
いつも通りに冷蔵庫、一杯になるまで肉のみを入れると肉屋の親父さんの顔が青白くなるのであった。肉が解体されており、切り分ければいいだけの状態で置かれているのであった。
肉屋の裏口から出てみると そこで鍛冶屋の女将さんが待ち構えていた。
「やっぱり、カイトだったね。店に顔を出したら 奥の方で話をしている姿が見えたから きっといい肉が手に入ったと睨んで待っていたのだけど 当たりみたいだね。
家にも寄って行ってくれるか」
この女将さんは、カイトが教わっている。鍛冶職人の女将さんでパトリットお嬢様の紹介で武器や防具を製作段階から色々と教わっていた。毎週日曜日になると通うようにもなっていた。
「冒険者ギルドに立ち寄って帰り際に立ち寄ろうかと思っておりました」
「そうかい、そうかい、だったら肉を買わないで酒を買って 家で待っていればいいのだね」
「今日の肉は、滅多に手に入らないと思いますので気合を入れて仕事をしてください。旨い酒と肴が待っておりますので」
「わかったわ。あのボンクラ共に仕事を指せればいいのだべ、任せな! 今日の酒の為に仕事を指せておくだ」
少し訛りが入ってきている。今日も荒れそうだ。
「何だ、カイトの知り合いか」
カイトと扉の前で話をしていると扉を開いて パトリットとイーナスが顔を出しただけでも驚いたのに イーナスの肩の上に白いドラゴンが乗っていただけで イーナスを拝みだしてしまった。両膝を地面につけて
「おばさま、辞めてくださいよ。何時もみたいにして」
「イーナスさまが本物の賢者様に成られたのですね。それも白いドラゴンを従者にする処が凄すぎます」
「もう カイト君の狙いって これだったのね。もしかして 街中でも同じ事が起きるの」
「イヒヒヒヒ! ナイスだ。カイト! イーナスの困った顔が観れた。から」
「今の内よ。フレイアお嬢様がそんな事を言っていられるのも あなたの場合は、国民すべてが膝間付く事をしたのだから 私にも出来なかった事をお1人でやり遂げてしまったのよ。
私は、何も手を出していないからね。今回は」
「それに関してなら 僕も無関係です。冒険者ギルドにも属していないのでギルドカードも持っておりません。何の証拠も無いと思います」
「何を言っているのだ。2人とも」
この時点で忘れてしまっていたが 最弱の魔王を討伐した事を