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ループ! 神にまで上り詰めた男が 次の世界で何を望む。  作者: 御剣 大河
第1章  影の勇者と糞女神
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 再生


「悪いわね。フレイアお嬢様、昨日の取り分がミルクの餌になってしまって」


「そんな事は、どうでもいいのだが それよりもカイト、その足にヒビが入ったぞ。そろそろ食べ頃だろう。違うのか」


「良く見れば、この足って魔力で伸び縮みをするみたいですね。武器にも使えないかな 今度、作ってみよう。

 そうですね。味見をしてみましょうか」


 錬成空間の中に取り込んで冷却魔法で冷やしてから 手で持てる熱さにして殻を割って1口、口の中に入れると弾力は申し分なかったのだが味が何も付いておらず、それ処か 嚙み切る事も出来ないのであった。肉質が固すぎて食べる事を拒むかのように見受けられると


「ダメぇ~噛み切れないわ。硬すぎるわ。何がいけなかったのかしら」


「まだ7本もあるから 3本、切り取っても走行には問題が無いでしょう。どうします」


 パトリットが獣王国の連中を見ると死の淵にいるみたいな顔で此方を見ている事が分かった。目の前でドラゴンがオークキングの腸を食べていて 私達3人が不味いからと言って もう3本の足も切って確かめたいなどと思っているのだから 彼等からすると恐怖でしかないのだろう。


「それ以上は、辞めてやれないか。彼等が可哀そうだ。彼等の顔をよく見てみろ 

 私達に対して恐怖しているぞ。あきらかに」


 イーナスとカイトが彼等の方向を見ただけでも ビックと震えだしてしまう有り様だった。口にビック・スモール・タランチュラの足の部分を口に咥えたまま振り向く。


 お腹も膨らむとミルクもイーナスの肩に乗って眠り付いてしまった。まだ 生まれたばかりだからか、体力が無かったのであろうと思ってか、襟巻みたいに長い首をイーナスの首に巻き付けて寝てしまうのであった。


「どうです。イーナスお姉さま、気分を変えて今晩の主食は、陸ガニってどうですか。パトリットお嬢様もカニ味噌で一杯ってのもアリだと思いませんか。


 ドラゴンの巣穴に龍泉酒が湧いておりましたので1滴も漏らさないで持って帰ってきましたよ。伯爵さまも呼んで美味しい酒と美味しい食事も手に入れば、問題が無いかと思いますが如何な物でしょう」


「カイト君、私は カニクリームコロッケを食べたいわ」


「カニ味噌で一杯も悪くないよな! それと龍泉酒か、いい組み合わせだ。

 やっぱり、カイトがいるだけでも食事がおもしろくていかん。聖王国のボンクラに嫁ぐより、カイトの方が何倍もいい思いをさせてくれるのでないのか。


 色々な意味で」


 イーナスがパトリットを睨み返すと その殺気を受けてタジタジになるのであった。戦乙女も賢者には勝てない。カイトが絡んでくると本人も自覚しているのであった。


「カ・カイト、陸ガニを探し出せ。狩り取って帰るぞ。

 今度こそは、走ってだぞ。私は、お前達と違うのだから 私のペースに合わせろ、いいな!」


「もう フレイアお嬢様は、我儘なのだから これだから貴族のお嬢様は、」


 どっちがわがままだ、どっちが 簡単に転移で飛ばされてみろ、生きた心地がしないわ。


 イーナスが杖に乗って浮遊しはじめるとカイトが走り始めた途端に姿が見えなくなってしまう。谷には、足場を作って置いて通り過ぎていた。


「フレイアお嬢様、急いでください。カイト君に置いて行かれますよ」


 イーナスが空を飛んで道標をするのだが それでもパトリットも尋常で無いほどの走りをするのであったが それでもカイトに追いつくどころか、置いて行かれるのであった。方角が分かっていても谷を越えて 山を越えて向かってくる魔物や魔獣に気を取られる事も無く走り抜けると見た事も無いほどの広い湖が山の頂上付近から見たが それも束の間で そのまま地面に落ちてしまうもカイトの錬成空間で助けられた。


 既に狩り取った後の陸ガニが目の前で寝そべっていた。それも見た事も無いほどの大きな陸ガニが討伐されており、今まさに茹で上げている最中であった。


 獣王国の冒険者達は、カイトが消えた事までは解っても何処に行ったかまでは、理解ができないでいて イーナスが浮遊した時点で驚き、パトリットの走りを見えた時点で何処に向かって走り始めたのかも分からないでいた。その場には、喰い残された。オークキングの死骸だけが残されているのみであった。その匂いを嗅ぎつけて魔物に魔獣達が集まり出している事も理解できた。


「不味いわ。このオークの匂いを嗅ぎつけて 魔物に魔獣が集まり出しているわ。私のサーチ魔法の内が赤い点が多く見えるようになってきた。


 ドラゴンも討伐されているとみて間違いが無いわね」


「けど ガーナァーニャン、大きな谷があったニャン」


「空を飛べる。魔物には無意味だし、森狼などにも迂回して此方に向かってきているわ。時期にここも魔物や魔獣の戦場に変わるのが目に見えているわ」


「私の相棒に乗って こんな時の男達など何の役に持たないから ガーナァー、それにニーナ、誘導も頼むわ」


「蟲ニャンの足がもう生えているニャン。凄いニャン」


「うそ! 信じられない」


 どんな魔法を使えば、魔獣の足の再生速度を上げられるのよ。エルフの私でも知らない事を平然と行えるなんて 戦乙女に賢者だけでも 恐怖対象だったのに あの少年こそが1番の厄介ごとで無いのかしら 私達が恐れていた魔王も彼の前では試作段階の武器の調整になるなんて 誰が信じると言うのかしら勘弁してもらいたいわ。


 そうか、あの女がシラフ様に引導を渡した。女だった訳だ。逆らわない方が好さそうだ。


 ハイエルフの連中でも頭を悩ますのでないかしら 魔法神の申し子が舞い降りて来たと言ったら あんなにも簡単に魔法を扱える人間が それも2人も現れてしまったらエルフの存在など消し飛んでしまうわ。


 それに伝承の通りになってしまったわ。白い鳥を携えて賢者が舞い降りるだろう。世界が亡ぶとき、この地上を元の姿に変える事が可能な賢者が本当に現れるなんて 信じられないわ。


 やはり、異世界からの賢者も普通の賢者だったって事よね。未だに信じられないけど ロダンスウォール国の賢者には、近い内に挨拶に行った方がいいのかもしれない。獣王国を通さなくてもエルフ国として彼等とも仲良くさせてもらえる事を祈るわ。


 本当に 今回の討伐は、疲れた。家に帰って眠りたい。深く、深く、







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