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ループ! 神にまで上り詰めた男が 次の世界で何を望む。  作者: 御剣 大河
第1章  影の勇者と糞女神
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 小麦のパン


 カイトが朝食の準備をしている。この女子寮の管理者も厨房内に入って来てカイトの手伝いをするのであった。


「おはようございます。サティさま」


「今日の朝食は、何を作って貰えるのかしら」


「昨日、陸鳥の卵を多く発見できました。ので スクランブルエッグを作りたいと思っております。バターも作ってありますので十分かと思います。それとパンとスープにサラダです。

 昨日の晩も多く食べられましたので 朝食を控えめにしておきます」


 陸鳥とは、空を飛べない鳥の事である。バターも街近くの牧場から大量にミルクを買ってからバターを作ったのであった。それ以外にも生クリームや粉末にしてミルクも作ってある。本当に手が込んだ事を多くしていた。


 パンが焼きあがる頃に パンの香りで生徒達も目覚めるのであった。小麦の焼ける甘い香りが寮内に拡がると自然と彼女達のお腹が空いて腹時計が教えてくれるのだ。クララもそんな中の1人である。


 今では、自然と起きる事ができるようになった。前までは、姉達と生活をしていた為に食べるパンが無くなると言う事も無かったのだが この女子寮では、別物である。カイトが毎朝、パンを焼いてくれているので その香りだけでも朝から食堂内の前に渋滞ができるほどにまで混雑しているのである。


 当然、パンが無くなれば それ以外の物を食べるしかないのだが 殆どの食材も終わっており、残りカスを食べて学園の昼食まで辛抱するしかない。そこでもカイトの食事を食べる事ができなければ、夕飯まで辛抱するしかない。


 今日は珍しく、早起きをした。クララであった。相ベアのテレスティーナ・テラ・ブルガリアを起こすのであった。


「テレスティーナ、起きて 食堂に行くわよ。パンが無くなってしまうわ」


「街から仕入れた。パンでしょう」


「違うわよ。カイトさんが毎日、焼き上げてくれているの 昨日から準備して 朝から美味しいパンを焼いてくれるのよ。私の分は、別にあるけどテレスティーナの分は無いのよ。この寮に来てから1度も食べていないのでしょう」


 カイトが焼き上げたパンと聞いた途端に目覚めが早かった。一瞬で着替えがおわり、食堂に走って行くものの既に渋滞しているのであった。寮長のサティが整理券を配っていた。並ぶ事ができるのは、50名迄で残りの者達は、席で待機である。自分の番が呼ばれるまでパンが残っている事を待ち望んで見守るのであった。


「テレスティーナ、何番だった」


「138番よ」


「微妙ね。もしかしたら目の前で無くなるわよ」


 パンの事である。食堂に走ってきている彼女達も自分に渡された整理券を見てガッカリとするのであった。150番以降だった為に


「この女子寮って 300名程いるのでしょう」


「そうね。パンを毎日、600個 用意しているわ。それでも150番以降は、食べる事ができなくなるのよ。前の順番の人達が多く持っていくから 1人、2個の配列を守らない人が多いいから仕方が無いのだけど


 1度でも食べてしまうと病みつきになるのよ。その証拠に朝食の時間になったわ」


 何も知らされていない。レオニカとパレスが食堂に来ると渋滞の意味も分からないで整理券を渡されて席に向かうのであった。


「クララ、この整理券て 何か、意味があるの?」


「この寮に来てから パンの焼ける甘い香りで目覚めるのだけど1度も食べた事が無いのよね」


「レオニカ、パレス、その番号が100番以内なら確実にパンを食べる事ができるわ。この寮で暗黙となっている事よ」


「テレスティーナさまは、何番なんですか」


「微妙な138番よ」


「その番号でも微妙なのかよ。どれだけ食い意地が張っているのだ、この女子寮の連中は」


「レオニカ、あなたも1度でも食べればわかるわ。その意味が」


 そんな会話をしているとクララの前に今日の朝食を持ってカイトが現れて 食事を並べて行く、それを目の当たりにしたテレスティーナ達の腹が鳴く事を理解できる。どの様な家柄でも朝からの食事で無い豪勢な料理が並べられていた。


「今回は、陸鳥の卵からできた。スクランブルエッグを作りました。バターも近くの牧場で仕入れましたので問題がありません。野菜も手作りを用意いたしました。どうぞ、召し上がってみてください。

 クララお嬢様」


「カイトさん、テレスティーナ達にパンを食べさせてやりたいの 無いかしら」


「僕の一存で決められません。彼女達に聞いてください」


 殺気が飛んで来て その場で撃沈してしまう。


 それでもテレスティーナは、1本だけだったが手に入れる事ができた。それを3等分にして食べた途端に更に多くのパンを食べたいと思うようになってしまっていた。


「何なのだ。このパンは、口の中いっぱいに小麦とバターの香りが拡がって ハーモニーを醸しだしているではないか。これが 本当にパンなのか」


「私達が食べていた。パン! が 小麦を固めただけみたいだ」


 レオニカとパレスが思い思いに感想を述べているとイーナスとパトリットが普段着で無く、仕事着で姿を現しただけだったが それだけでも女性達から歓喜の声が上がるのであった。







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