赤きドラゴン
その頃、冒険者ギルド内で魔獣が出没したと懸念して イーナスとパトリットが緊急に呼び出されていた。3メートルを超えた霜降り牛が大軍で押し寄せてきていると情報が入ったから溜まったものでない。
肉や部位は、高値で売れるのだが討伐ともなれば、死人の1人や2人など当たり前のように殺して行ってしまうほどに凶暴で手が付けられない。並みの冒険者では、当て上げ状態でもあった。それに乗じてワイバーンの襲撃やドラゴンなども引き連れて来るから 更に質が悪く、Aランク冒険者以上が呼び出されていたのだが
たまたま、Sランク冒険者がいたのだが瀕死の状態で 戦闘処で無かった。ドラゴンを討伐依頼で失敗をしてしまい。多額な謝罪金を払っていたのだ。ランクが上がり、失敗をすれば 命を落とす事も増えてくるものだと思い知ったみたいだ。それでも国が認めた冒険者なので 国の管轄にも入ってしまう。その為、謝罪金は自己負担でもケガの治療のみが免除されるのであった。それだけでも大助かりである。
どれほどの費用が掛かったとしても国が冒険者を助け出すからである。当然、イーナスとパトリットには、そんな後ろ盾がある訳も無く、それでもカイトから貰った。薬があり、大抵のケガや病から命を何度も守って貰っていた。どれほどの大きなケガもイーナスの魔法で治療してもらえる事から 不死身のパトリットの名が売れ出すのであった。
「クララお嬢様、買い物に行ってまいります。夕方には、寮の方にお帰り下さい。全ての準備をしておきます」
「テレスティーナ達と帰るから安心して 今更、彼等も襲ってはこないでしょう」
カイトがその場から消えるとテレスティーナ達が驚くのであった。生徒達からすると何時もの光景なだけに何も驚く事でも無くなっていた。既に免疫が出来上がってしまっていたのだ。
「クララ、カイトさんが消えてしまわれたわ。何処に行ったの?」
「ここからだと数キロ離れた。草原にでも行ったのかしら 今晩の夕食が楽しみよ」
当然の様に 女生徒達も夕食を楽しくなったのであった。厨房内で聞いていた。学園長も然り、
その頃、王城内でも霜降り牛が襲撃をしてくると一報が届いており、多くの兵士が駆り出される準備をしていた。そんな事とは露知らずに イーナス達もまた 草原に転移してきており、魔獣が争った足跡だけが残されているだけで残骸が何1つとして見つけられないのであった。
「本当にここで合っているのでしょう。イーナス」
「その様に聞いております。地面に痕跡も残されている処を見た限りですが」
2人が話し合っている最中に ドラゴンブレスが遠くの方から迫って来るものの イーナスの結界でダメージを受ける事も無く、サーチ魔法を展開させると ドラゴンと戦っている人物を発見した。
「フレイアお嬢様、カイト君がドラゴンと戦闘中なのでお手伝いに行ってまいります。この辺りの魔物なら フレイアお嬢様、1人でも問題がありませんね。
危なく成ったら帰ってきますので頑張ってください」
イーナスが浮遊して 空を飛んで行ってしまうと
「本当にあの兄弟だけが規格外よ。私にも少しは、力を分け値てもいいと思うのだけど」
そんな事を思っている最中も 多くの魔物がパトリットを襲うも端から切り刻んでいき、カイト達が帰って来る頃には、魔物の血が湖の成るほどにまで戦闘を繰り返し行っていた。
戦闘中に突然に 足元に魔法陣が展開されて状態異常回復魔法で回復をされて魔力まで回復してしまうと辺り一面に風の刃が降り注ぎ、森共々 切り刻まれてしまい。地形まで変化してしまっていた。
カイトとイーナスの風攻撃を受けてしまい。魔物でなくても溜まったものでない。当たり一面が血の海に変わるが それも一瞬で 瞬き程度で全てがカイトとイーナスのアイテムバックに収納されてしまうのであった。血の一滴すら残されないで
「さすが パトリットお嬢様、素晴らしい戦いぶりでした」
カイトとイーナスが浮遊している。
「そんな態度で言われても嬉しくないわ。さっさと地上に降りてきなさいよ」
「それも面倒そうです。イーナスお姉さま、街に帰りませんか」
カイトの言葉を聞いてサーチ魔法を展開させてみると軍隊が此方に向かってくる事を確認ができるとパトリットを連れて街付近まで転移してしまった。
その後、彼等は 3日3晩もの間、野営をして帰って来るのであった。何も襲ってこないのであった。全てをパトリットが狩り取ってしまい。
「どうして 急に転移したのよ。イーナス、それともカイトか」
2人とも平気で転移するから 私の気持ちになってみろ、溜まったもので無いのだぞ。
「多分、1万ほどの軍隊が目の前までやってきておりました。上空からも見えませんでしたので まだ 遠くの方に居りますが逃げた方がいいと思って」
「大方、霜降り牛に目が眩んだ貴族が金にモノを言わせて 彼等を向かわせたのでしょう。全てをカイト君に狩り取られた後だと言うのに 可哀そうな人達」
「それで カイト、霜降り牛は 何頭いた」
「86頭です。半分ほど 持って帰りますか」
「はぁ~ それを短時間で討伐したのか。それとドラゴンもだろう」
「ドラゴンの方は、大分 ケガをしておりましたので簡単に仕留める事ができました。肉や内臓に問題がありませんが 多くの鱗や皮が破かれており、1度 完全回復をしてから皮を剥ぎ取ろうかと思う次第です」
そうだった。この2人に常識など皆無だった。
「そう言えば、パトリットお嬢様 鎧を新調されてみてはいかがですか。今回の赤きドラゴンを使えば、今迄で最高な素材で作り直せますが如何いたします。
武具の作成も練習の成果が出てきております。いい頃合いかと思いまして」
コイツの事だ。またしても とんでもない物を私に着させるつもりだろう。今の皮鎧もどの様な魔物に攻撃を受けても傷の1つも付かないと言っていい代物を 今度は、赤きドラゴンだと国宝級処で無いのでないのか。イーナスの賢者のローブ以上だったらどうする積もりだ。私に何をさせようと企む。
疑いの目でカイトを見詰めると
「僕の練習台に成って貰うだけです。って!」
「カイト君、赤きドラゴンって もしかして レットドラゴンの事でないかしら 昔から冒険者ギルド内に張られていて 少し前にSランク冒険者の方々が逃げ帰って来て 今頃は、治療をしている最中だと思うわよ」
「って事は、そいつのネグラには 金銀財宝が眠っているってことか。攫いに行こうぜ。イーナス」
「それもいいわね。それでも 明日にしましょう。今晩は、最高級食材が手に入ったから カイト君の手料理が食べたいわ。街で酒を買い占めて寮に向かいましょう。
いいでしょう。フレイアお嬢様」
既にパトリットの口から大量の涎が零れ落ちていた。
「それでは、どちらの肉がお好みで」
返答を聞くまでも無く、既に決まっていたみたいだ。両方を食べる気満々であった。
イーナスとパトリットが冒険者ギルドに向かわずに酒屋に向かった時点で影達が王城に赴くと それを聞きつけた。国王陛下と宰相が普段着に着替えて こそこそと王城を後にした。行き先を誰に話さないで学園内の女子寮に向かうのであった。フレイア伯爵は、普通に馬車で乗り込んでくるのである。
その馬車が女子寮に向かうのが見えると学園にいる女生徒までもが急いで寮に戻るのであった。今回の食材がとんでもない事を知らせているからである。今迄にも何度も行われてきたので 彼女達も身に付いてしまっていた。そうなると男子生徒たちが黙っていないのだが 何も言えないのも男子生徒でもあった。