ファンクラブ
「クララ、カイトさんは 何時もこの時間になるといなくなるけど 何処に行かれるの?」
「厨房に行って 料理を作っているわ。私達の女子寮の料理も殆ど、カイトさんの手作りよ。今晩は、デザートも催促したから作ってくれると思う」
レオニカは、見た事も無い朝食を何度もお代わりをしてお腹が膨れるほどに食べていた。誰が作ったかもしれないで
「もしかして カイトさんって女子寮に住んでいるの?」
その言葉に対して レオニカも納得が出来ないのであった。男子生徒が どうして 女子寮に住めるのかを
「アイツは、男だろう。追い出すべきだ」
その言葉に対して 男性達が笑顔に変わる処、女性達からの殺気を感じ取ると言葉が小さくなるのであった。
「クララ、どうして 女達から殺気を浴びてしまう。のだ」
「レオニカは、風呂掃除やトイレ掃除をやりたいと思う」
「それは、その様な物を雇い入れれば済む事だろう」
「そのお金は、誰が払うのかしらレオニカが払ってくれれば、済む事だけど どう! そうなれば、カイトさんを追い出せるし、女子寮に設置してある。魔道具も無くなるかもしれないけど それも仕方が無いわね。
基本、自分達で全てを行わなければいけない処を全て カイトさんに任せているのだから 洗濯も自分で出来るのレオニカは」
それに関しては、教師も賛成するのであった。男子寮が変わるのであれば、自分も住みたいとまで思うのである。
「それに男子寮を見てくればわかるわ。元は同じ建物だったのに 今では、外装が同じで中が違っているから カイトさんが全てを作り直してしまったの それも魔道具まで使って」
テレスティーナ達は、夕方に男子寮を見てみると驚いてしまっていた。外装が同じでも中が古ぼけており、人が住める状態で無いと判断した。本当に女子寮もこんな状態だったのかと思うのであった。
昼食の時間となると女生徒達が走って食堂に向かう。それを追いかけるみたいに男子生徒も走り出す。が 順番制なのでクララ以外の生徒は、順番に並ぶがクララのみが席に着くとカイトが一通り、料理を持ってクララの目の前に並ばせる。それを優雅に食べるだけである。
食事が終わるまで カイトの姿が消えるが厨房内で大体がおしゃべりをして時間を潰すのであった。
テレスティーナ達がクララの前までやってくると豪華な料理を見て 驚きを隠せないでいた。
「クララ、どうして お前の食事と私達の食事が違う」
可笑しすぎる。どうして
「否な事を言うわね。レオニカ! 私以外にも食べている方がいるでしょう。それに厨房内でも教師の皆様方も私と同じものを食べているわよ。
順番が早ければ、あなたも食べられるのよ。明日から頑張ってみれば この食堂内でも食べている方々がいるでしょう。私よりも量がとんでもない事になっている事でしょう」
レオニカとパレスが周りを見渡すと歓喜な声がそこかしこから聞こえてくるのであった。クララと同じ物を食べている連中である。食べられない者達の悔しさも目にするのであった。
「それは、肉なのか。見た事も無いものだが 何を使用している」
「私は、出された物を食すので考えた事も無かったけど、ワイバーンか、ブラックバードの類かしら タマにホロホロ鳥も出されているみたいよ。女子寮のみだけど
カイトさんにとっては、空を飛んでいる物すべてが鳥と判断するみたいね。海の生き物なんか、魚としてしか見ていないわ。1つ1つの物に名が付いているのですけど 気にしていないみたいだし、カイトさんに頼んで魚料理も食べたくなったわ。今度、お願いしてみようかしら」
「ちょっと待ってくれ、認識が可笑しいだろう。そもそも空を飛ぶ生き物など どうやって狩ると言う。海だって水の中にいる生き物なのだぞ。それこそ不可能だ。
それに名が挙がった生き物たちもAランク指定されている。魔獣で無いか。カイトとは、それ程にも強いというのか」
「強いかどうかなど考えた事もありませんが カイトさんのお姉さまも学園を卒業と共に冒険者に成った途端にAランク称号を頂いたみたいです。来年辺りでSランクの成るとかとパトリットお姉さまが教えてくれました。
それに去年の話ですが グリーンドラゴンを狩って来たみたいです。それも無傷であの肉だったら また食べたいですね。美味しく頂きました。本当にカイトさんは、料理の才もお持ちだから お婿の貰い手が止まないのよね。私もその候補の1人に入れて貰っておりますわ。
当然、カイトさんのファンクラブにも入っております。情報も彼女達に流しておりますわ」
「クララ、私を そのファンクラブに入れて貰えないかしら 私ももっと カイトさんを知りたくなりましたわ」
「テレスティーナさま、あなた御自身には既に婚約者がいるのですよ。もし そんな事がばれてしまって どの様な仕打ちを受けるか、心配ですのでおやめください」
「婚約など破断してしまえばいいわ。私もカイトさんの魅力に負けてしまったみたい」
「ごきげんよう。クララ! 相変らず、あなただけが特別扱いをされているみたいね」
「どうしたの エリザベス! 何か、あったの」
久し振りに学園に登校してくると腰に違和感を覚えた瞬間、
「こんな処で 第8王女が何をしている。第3王子共々、寝ていればいい物を」
カイトの声を聞いた途端に全身で震えあがってしまった。
「カイトさん、彼女だけでも許してあげて エリザベスも私の友達なの! だから 許して差し上げて」
席から立ち上がり、大きな声で彼女を守ろうとする。クララの反応を見て
「わかりました。お嬢様がそこまで考えているのであれば、今後 王族関係者の処分に関してまして保留にします。ただし、お嬢様に手を出した時点で限度枠を超えて行為を致しますが それでもよろしいですか」
「エリザベス、問題が無いわね。根回しもしなさいよ。今後のあなた達を守れないからね。私じゃ~」
「お嬢様、食器類をおさげしてもよろしいですか」
「お願い」
「デザートと紅茶です。今回は、リンゴの皮が残りましたのでアップルティーにしてみました」
辺り一面にリンゴの香りと甘い香りが通り過ぎた途端に 女生徒達から今晩の夕食の際に出して欲しいとの要望があり、承諾するのであった。カイトの仕事のみが増える一方である。