驚き
教室に1人の老人が入って来るとあろう事か、カイトの隣りの席に座り出す。生徒達も見慣れており、何も言わないがテレスティーナ達にとっては、学園に来た時に1番最初に挨拶をした人物がカイトの隣に座って驚くのであった。
「どうして レオニカ嬢が私の本を持っているのですかな、それは カイトさんにお貸しした本ですが」
緊張のあまり、本を落としてしまうが 学園長がいると言う事で魔法陣を展開させて浮遊させるとカイトの下に戻ってきた。その様な行為もクララは見慣れているのだが テレスティーナ達にとっては、驚くほかなかった。その様に魔法が使われるなど考えもしなかったからである。
魔法は、基本 攻撃魔法が当たり前の時代に補助系の魔法など覚えようともしてこない国だった為に理解できなかったが目の前で目の当たりに見てしまうと感心してしまうのであった。
「もしかして 私がいるから魔法陣を展開させたのですか。カイトさん」
「すいませんでした。学園長からお借りした本を勝手に他人に持たせてしまって」
「それは構いませんよ。それでカイトさんの展開を聞きたい。何が間違っているのですか」
「僕が思うに この作者は、鑑定スキルを持っていなかったのでしょう。古代文字の連立は問題が無いのですが ・・・ 」
「あの2人は、ほっておいて問題が無いわ。先生も何も言わないから」
「そうでなくてだな! どうして 学園長が教室にいる。可笑しいだろう」
「3か月前までなら この場にイーナスさまも入って魔法陣学を研磨していたわ。大体が学園長さまが教わる感じで」
「それ程にも頭がいいのであれば、学年トップも夢で無いだろう。どうして」
「興味が無いからです。学園で教わる事ないから カイトさんにとっては、苦痛かもしれません」
「だったら どうして 学園にいる」
「レオニカ、あなたも察しなさい。少しは、頭で考えてみれば分かる事でしょう」
「私の護衛として入学したのですが 1か月余りで学園の仕来りまで変えてしまって 今現在です」
「仕来りって 身分の格差を言っているのか。そんな事は、当たり前の事だろう。平民共は、国の管轄内で大人しくしていればいいだけだ。嫌なら国から出て行って他の国に移動すれば済む事だ」
「もし、そんな事を国民の皆様に言ってしまって 皆様が出て行かれたら国がやっていけなくなりますが 如何いたします。当然、分かっていると思いますが 対案の兵士も減りますよ。家族と共に別の国に移動します。
国は、領民の皆様方に守られているから 貴族で居られるし、国も成立できるのです。そこの処を間違えている方が多くいるから国が傾いた時に限って彼等を武骨に扱って滅ぶ事もあるのです。
レオニカさまは、滅びの国をお創りになるのですか」
クララの話を聞いていて納得できない部分もあったが理解ができた。が
「私達、獣王国にとっては 武力こそが第1だ。物事を武力の強さで解決する。当然、国王も武力で王にまでのし上がってきている。だから 私にも権利があるのかも知れない」
「だったら 魔法薬を学ぶより、剣術を学んだ方がいいのでなくて 色々な分野が在るわよ。護衛ならカイトさんに任せて置いて大丈夫よ。
それに その気性だと場の雰囲気に付いてこれませんわ。カイトさんみたいな方々がいる場ですもの」
「どうして カイトさんみたいな方と言われるのですか。クララ」
「薬師を目指す方々がいる現場で学問を学ぶのです。私やテレスティーナ達にとっては、基礎から教わりますがカイトさんには、ここでも苦痛かもしれないからです。
既に薬師の資格を持っているから」
衝撃の事を聞いて3人が固まる。既に学園内では、当たり前の事となっているのだが3人は、初めて知った事でもあるし、学園内の順位もカイトがトップである事を理解していた。その為、順位も自然と下がる。が あくまでも順位なので
どの国でもそうなのだが 薬師の資格を持っているだけでも貴族に成る事も可能で店も開く際には、国からの免除で簡単に通ってしまうのであった。それが カイトみたいに3桁台ともなれば、国の管轄に入るのが当たり前となっているのだが ・・・
彼女達も4桁台くらいだと思っていたが 3桁と聞いて更に驚いてしまっていた。学生の身分で取れる称号でもなかったからである。
「薬師で3桁と言ったら 国で言えば、宰相クラスだぞ。それこそ、学園で学ぶ事など何も無いだろう」
「それを先程から述べているのです。苦痛でしかないと」
「そこ、静かにしろ! 授業はとっくに始まっているのだぞ」
カイトと学園長には、何も言わない。言葉が理解不能だったために 意味も理解できない事を話し合っていた。
「クララお嬢様、昼から学園の外に行ってきます。学園から出ないでください」
サーチ魔法で所在は分かるのだが
「今日も食材ですか」
「そんな処です。肉の調達も必要になる前に仕入れておきます。それと芽吹きの時期なので確認もしておきます」
「久しぶりにデザートも食べたいわ。カイトさん」
「わかりました。街で足らない物を調達してきます。他には」
「そうだ。カイトさん。私と妻も今夜の晩餐に参加しても構いませんか。妻が豪く、カイトさんを気に入りまして 食事に参加したいと言っておりました。
どうでしょう」
「くれぐれも女風呂を覗かないで下さいよ。彼女達も女性です」
「もし、そんな事でもしたら妻の摂関が待っているので そんなにも恐ろしい事を言わないで欲しいです」
カイトと学園長の話に自分も参加したいと思っていたみたいだ。カイトの料理は、学園内でも有名に成っており 女生徒たちが噂するほどにまで拡がっていた。
「僕は、この辺りで退室いたします」
カイトが教室から出て行くと学園長もそれにならって出て行かれた途端に教師の緊張も和らいだ。その都度、強い眼差しで見られていた為に緊張の糸が切れた瞬間でもあった。
深い溜息の後に仕切り成して 授業が始まるのであった。カイトはと言うと厨房に言って料理の手伝いに行くのであった。女生徒ばかりに美味しい物を食べさせるなと男子生徒からの非難が多くあった為に昼食の手伝いと言う銘木で料理を振舞う事になってしまったのだが ここでも女生徒たちが大半を食べる事となって男子生徒に回る事も無く、食べ尽くされるのであった。