軟弱者
当然、カイト達が進学すれば イーナスとパトリットが卒業してしまう。今まで借りていた家も追い出されてしまって 女子寮に住むのだが そこでも異例のカイトまで女子寮に住む許可が下りてしまう。当然、多くの男性生徒からの訴えも聞こえて来るが女生徒からは、カイトが女子寮に住む事を喜ぶ女生徒が多くいた。
女子寮が変わった。カイトが住むようになって魔道具が多く使われて浴室などが特にそうだった。蛇口を捻れば、暖かいお湯が出て来たり、今までなかったシャワーまで完備されてしまう。浴場も常に適温で維持されており、廊下も今迄、薄暗かった筈が今では、昼間と変わらない明るさに変わるし、冬の時期だというのに春を思わせるほどに温かく 廊下で寝る物まで現れると自然と窓が開き、外気の寒い風が廊下を寒空に変えてしまう場面もあった。
食事も今迄は、硬いパンにスープとサラダ、それと肉が出て来るものだったのが 今では、街で食べる物よりも美味しい料理が並べられて食べ放題にまでなる始末である。生活面までもが180度、変わってしまった。
そんなある朝、女生徒が食堂に来てみれば、裸の男女が挿入したまま気を失って机の上で寝かされている。当然、周りが五月蠅くなると目覚めるのだが自分達が裸で挿入状態だったために痙攣をおこして一物を抜けなくなってしまい。そのまま、教師に引き渡すのであった。
当然、カイトの噂を聞いて女性教師も女子寮に住むようになったが街で1人暮らしをするよりも寮での暮らしを満足が行き、出て行く事も出来なくなってしまうのであった。それどころか、今回の事件である。さすがに学園長も処分に困るかと思いきや簡単に切り捨ててしまった。
今迄なら 貴族からみだと思い、うやむやにしてきた処を貴族の子供でも容赦なく退学処分にしてしまうのである。当然、街にも噂が拡がり、2人がどうなったなど知る由も無い。
イーナスお姉さまはと言うとパトリットお嬢様と冒険者に成ったみたいだ。未だに第1王子との縁談に進展が無いみたいで学園を卒業と共にAランクの称号を貰い、国からの依頼に冒険者ギルドからの依頼を熟しながら生活を送っているみたいだ。時たま、カイトの部屋に入りびたりになる事もあるが女生徒達からすると憧れの先輩が一緒に住む事に反対するものも現れず、それ処か 多くの事を学べるみたいで歓迎されていた。
クララ以上にカイトに甘える。イーナスを見た生徒達も羨ましい顔でカイトの仕草を見詰めていた。と 言う。
2学年になり、学園が終わると武術、魔法、魔法学を行わないといけなくなるのだが
「クララお嬢様は、何に入られますか」
「私は、魔法学の中の魔法薬に興味があります。回復系の魔法なら学園で教われますが魔法薬を学びたいです。カイトさんに少しでも近づきたいと思っておりますわ」
「わかりました。その様に手続きをしておきます」
「カイトさんは、どうするのですか」
「僕は何も学ぶ事もありませんので クララお嬢様に付いて行きます」
「そうよねぇ~カイトさんは、大抵の事は出来てしまいますものね。学園の授業など遊びみたいなものなのでしょう」
「学園内には、多くの本があります。十分に参考になります」
隣りの席で聞いていた。獣王国 テレスティーナ・テラ・ブルガリア第1王女が話の最中に入ってきた。自分が王女である事を内緒にしていた。学園内のある1部とカイトのみが知っていた。魔道具で隠蔽させて それと取り巻きの2人である。貴族令嬢の2人である。
それと騎士見習いとして10名程も学園内で剣術を教わっている。
「クララは、魔法薬を専攻するの」
「その積もり、テレスは何にするの 私と同じ処に入らない」
「カイトさんも魔法薬を専攻するのかしら」
「僕ですか。僕はクララお嬢様の護衛ですのでお供しますが それが何か」
「なら 私も魔法薬に入りますわ。国に帰ってから役立ちそうですので」
「カイト、私達3人の手続きも頼む」
「わかりました。レオニカさま」
この方は、レオニカ・ブルーガ、もう1人の付き人も双子の妹でパレス・ブルーガであった。彼女達は、武道に馴れ親しんでいた。その為に言葉使いが荒い。
「貴様は、もう少し武術を学んだ方がいいのでないのか。そんな事でクララを守れるのか」
何も気にする事も無く、本を開き読み始めるのであった。それが気に喰わないのか、何かとちょっかいを掛けてくるようにもなっていた。レオニカが
「何か、勘違いしていない。レオニカ! カイトさんは、今以上に強くなってしまっても困りますわ。現にパトリットお姉さまに剣術を教えていたし、イーナスさまと魔法も学んでいたのよ。
学園の授業関係なら 2人に指導もしていたわ。私も分からない処があれば、未だに教わっているもの」
「待てよ。そいつは、学年の50番以内にも名が乗っていない。クズだろうが どうしてそんな奴に勉強を教える事ができる。大体、今だって何の本を読んでいるか、分かったモノで無いだろう」
彼女達は、2学年から獣王国からの転校性である。大体の察しは付いているが 今はいいだろう。
「声が大きいですよ。2学年からだから知らないだけで 半年前までこの学園も酷かったのです。今では自由になりましたが ある1部を覗いて」
「済まん、気性の性で声が大きく成ってしまう。それでも可笑しいだろう」
「カイトさん、レオニカに本の内容を見せて貰える」
カイトがページを拡げたままの状態で レオニカに手渡すと中を見ても理解不能であった。数式と古代文字で書かれており、意味不明であった。
「大事に扱ってください。学園長と私物です。学園内の図書室に無い本をお借りしてきました。魔法陣学のテキストです」
「待てよ。魔法陣学は3学年から教わる学問だろうが どうして貴様が読んでいる」
それに何なのだ。こんな文字など見た事も無いぞ。
「その本1冊で屋敷が買えるほどにも貴重な本です。あとで学園長に誤っておきます。他人に持たせてしまったと」
「ごめんなさいね。カイトさん、私からも学園長に頭を下げますわ」
震えた手でカイトに本を戻してきた。