無茶ぶり
「残念ですね。結界の方が勝っていたみたいだ。隕石でも落としてみますか。
“ 夜空に煌めく、星々よ。我が願いを聞き入れたなら ”」
「ちょ・ちょっと待て 君は、何を仕様としている」
「詠唱の最中に話しかける事は、魔力に影響が出る事は知っていると思うのですが」
膨大な魔力がカイトの中から消えると 雷神を放った後だった為に雲が空一面に覆いかぶさっていたが その雲を一瞬で吹き飛ばすほどの隕石が舞い降りてきた。轟音と共に
咄嗟にイーナスが学園全てを結界で守るとカイトも女性を抱きかかえて校舎付近まで逃げ出して衝撃結界を施して被害を最小限まで行うのであった。不思議と地面に触れる事も無く、辺り一面が揺れる事も無かったが 大きな隕石が訓練場一面に浮いて轟々と燃えていた。
全ての炎を消し飛ばして 完全氷結で火を消してから 不要な土や鉄を削り落としてからアイテムボックスにしまうのであった。
「僕が詠唱を行っている際は、話しかけないでください。今回は、イーナスお姉さまが校舎全体に結界を施して 僕も衝撃結界に防音結界に土壌まで固める事をしてしまいました。本来なら もっと ・・・」
イーナスが空から舞い降りて来るわ。廊下を走ってパトリットが来るわ。大変な事態にまでなるのであった。が
女性教官は、大量の尿と便を撒き散らしながら 気を失うのであった。その為、カイトの状態異常回復魔法で意識を取り戻した時点で自分の置かれている現象を目にした途端に カイトの生活魔法のクリーンで綺麗さっぱりと消え去るのであった。
「証拠隠蔽です。誰も見ておりません」
「相変らず、あくどい事を考えるわね。カイトも 彼女が気を失っている最中に行えばいい事を」
「どの様に捉えて貰っても構いません。今回は、やり過ぎてしまいました。王城から騎士が向かっております。
パトリットお嬢様、よろしくお願いいたします」
「分かったわよ。カイト!」
「何でしょう。お嬢様」
「貸1つだからな いつか、何処かで返してもらうからな」
「それに見合うだけの貸を返させてもらいます」
「今回の事も私の行いで言って置くわ。カイト君も程々にしてよ」
「ありがとうございます。イーナスお姉さま」
「私は、毎日の行いの中に朝の目覚めの際に唇にキスでいいわ。それと一緒に寝る事を要求するわ」
相変らず、無茶ぶりが好きな人だ。
「分かりました。甘い言葉で起こすようにします。イーナスお姉さま」
上目目線でカイトを見るも カイトに効く訳も無く、普通に答えるのであった。
「もう、カイト君には私の魅力が通じないわ。普通の人には十分すぎるほどに通じるのに」
「パトリットお嬢様、もう少しで騎士の方々が来ます。よろしくお願いします」
「分かったわ。余り、イーナスを甘えさせないでよ。アンタが学園にいるだけでも イーナスがソワソワしているのだから」
こんな状態だと自分の婚約者まで殺しかねないわね。王族だし
「甘えている最中、すいませんが イーナスさん、今は カイト君は試験の最中です。控えて貰えませんか」
「あら 先程までお漏らしをしていた方の言葉とは、思えませんが」
イーナスの言葉に撃沈してしまうと何も言い返せなくなってしまった。
「姉さん、僕が学園に入学しなくてもいいのですか。村に帰ってもいいのですか」
カイトの右腕にぶら下がっている。ブレスレットを見るや否や
「カイト君、君は 薬師の資格を持っているのですか」
「それが何か、学園に来る前に手に入れただけです」
手に触って見たかったが イーナスの睨む目がそれを指せて貰えないのであった。もし カイトの手を触ろうものなら魔法の1激を受けてしまうと思ってか
「最後は、実技ですか」
「それは、無理でしょう。彼も私と同じ状態で気を失っております。同じ症状で」
少し離れた場所で男性が倒れていた。同じように尿と便を垂らして カイトの指が鳴ると “ パチィン ”
「カイト君、君は無詠唱魔法も使えるのですか」
「何を言っているの 私の魔法は、カイト君に教わった物なのよ。当たり前じゃない」
驚愕な目でカイトを見るも
「それは、イーナスお姉さまが 才能があったからです。僕の魔法など魔法陣で大きく見せているにすぎません。し、補助系が得意なのも事実です。
姉様の攻撃魔法の方が羨ましいと思いますよ」
カイトの言葉に頬を染めていると 1人の男性が近付いて来た。
「シーナ、先程のあれも魔法なのか。あの岩山を何処に行った」
男性が近付いて来た途端に 異様な臭いがした。
彼女の名は、シーナ・クライム 26歳で独身 教師補佐の称号を持っていた。どの様な教科も全て熟せるとなっていた。
「さっさと着替えてきなさい。臭うわよ。カイト君は私が引き留めて会話をして長引かせておくわ」
「済まん、恩にきる」
走り去ってしまった。汁を垂らしながら
「イーナスさんも教室に戻った方がいいわよ」
「私がいた方がいいと思いますよ。今回も結界を施して全校舎を回避したのですから」
そんな事までしていたの その割には、魔力量が減っていないと思われるのに さすが国が認めた。賢者って処かしら
「もしかして 先程の方が僕の試験官ですか。相当、手を抜かないと死んでしまいますね」
「ちょっと待って 彼は、あ~見えてもAランク冒険者で次期Sランク冒険者とまで言われている人なのよ。どうして そんな彼に向かって そんな事を言えるの 君は」
「だって 彼って フレイアお嬢様よりも弱いでしょう。見たら分かるわ。この鑑定眼鏡で見てもレベルが149となっていた時点で無理ね。最低でも200を超えなければ、カイト君の相手にもならないわ」
「君は、その若さで200を超えているのか。それと どうして 君を鑑定しても名前しか出て来ない」
「隠蔽で隠しているからです。先程から何度も僕を鑑定している事は、理解しておりました。
称号もスキルも魔法も消してあります。責めて僕よりも鑑定も隠蔽もレベルが上で無ければ見る事も不可能でしょう」
何かを悩み出して 出した答えが
「せめてレベルだけでも教えて貰えないかしら」
「無理です。ある程度の計算で使える魔法まで理解されてしまいます。先程も言いましたが補助系が得意です。それ以外に言う積りもありません」
イーナスの顔がニヤケテいた。その為、嘘を付いているのだと思ったが タダ単にカイトに甘えたがっているようにも見て取れてしまうのであった。
「君も大変なのだな こんな姉を持って」
「とんでもない。僕の大切な人です」
「カイト君、そこの大切な女性って 女性でしょう」
「僕は、イーナスお姉さま以外に女性を知りませんが 強調しないとイケなかったのですか」
イーナスの手を持っただけで イーナスの頬が染まり
この子も苦労しているのね。イーナスさまが戦場に立てば、騎士に冒険者までもが震えあがってしまうほどの魔獣もイーナスを見た途端に魔獣ですら イーナスさまに震えあがって逃げ出すと言われている御方を齢10歳にして 掌で転がしているのかしら これなら魔法も口も上手くなるわね。
毎日の事なのでしょう。パトリットお嬢様もそのような事を口走っていたわね。