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ループ! 神にまで上り詰めた男が 次の世界で何を望む。  作者: 御剣 大河
第1章  影の勇者と糞女神
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 味見役


 翌朝になり、厨房に薬師のガード・トロワがやって来るのであった。


「お忙しい処すいませんが 薬師のガードさまがお越しくださいました。カイトさん どういたしましょう」


「わかりました。もう少しお待ちいただいてもらえませんか。手が離せないので」


「待合室でお待ちいただきます。お茶もお出ししておきます」


「お願いします」


 少しの間を置いて カイトが姿を現す。扉を叩いて中に入る。


「師匠、奥様、おはようございます。何か、御用ですか」


「こんなおいぼれを師匠と呼んでくれて嬉しいです。カイトさん


 本来ならば、昨日の内に紹介したかったのですが 余りにも美味しすぎる食事に自分自身を忘れてしまい。紹介を遅れてしまってすいませんでした。

 我妻のレオ・トロワと申します。領民の出です。私も同様です」


「初めまして カイト・ゴアボイアさん。紹介をされた、レオ・トロワと申します。今後とも主人の事をよろしくお願いします」


「こんな子供に頭を下げないでください。この屋敷だってお姉さまの物だし、貴族の位だって 新しいお母様の子供が継ぎます。成人するまでは、貴族の子供ですが今だけです。


 それに僕の道を示してくださったのも師匠のお陰なので感謝しているのです」


「この人から頭のいい子供だと聞いていたのだけど 本当にカイトさんは、何か 習ったりしているの」


「何も習った事など有りません。武器の扱い程度なら父に教わった程度です。それ以外は、部屋で本を読んでいます」


「やっぱり、カイトさんも冒険者を憧れるのかしら」


 意図が見えない。


「そうですね。学園を卒業したら 薬草採取の冒険者に成る予定です」


「薬草などで生活ができるの」


 旦那を見るも首を横に振るのであった。そこにカイトが瓶を1本出した時点で ガードの目の色が変わった。


「これは、魔獣の1部ですが十分にお金になると思います」


 それ以外にも多くの種類の瓶を取り出すと額から汗が吹きだしてきて これ1本でも持っていれば、多くの薬を作り出せる物ばかりであった。


「もしかして カイトさんは、その年齢で解体も可能なのですか」


「師匠に教わった。錬成空間を併用したら更に 解体が簡単になりました。大助かりです」


「あなたにとっては、魔法も道具の1つなのですね」


「まだ 朝食を作っている最中なので この辺りで戻ってもよろしいですか。伯爵さまも起き始めましたので」


「妻に料理の手解きを教えて貰えませんか。興味を持たれたみたいで」


 何も教えられないのだよな! 殆どを魔法で行っているから味見だけなんだよな!


「それは構いませんが 他言無用でお願いできますか。人に教えるほどの調理工程で無いもので」


 調理場に繰るも多くの丸い物体が浮いており、何かを作っている最中でメイド達もまた お茶を飲んで寛いでいる。


「この椅子に座って待っていてください。皆様方にお出しする料理の味見をしてもらいます。気になる点がありましたらお教え願いたい」


「ちょっと待ってください。私にも手伝いを指せて貰えませんか」


「料理の大半が錬成空間で僕が思い描いた通りに作り出してしまうので それ程の工程も無いのです。火力や水圧も魔法で行うので最後の味覚だけです。


 その味覚も僕1人での判断だけでなく、彼等にも協力してもらっております。食事の準備も兼ねております」


「奥様、私達も同じ気持ちだったのですが 何もする事が無いのです。代わりに味覚だけは真剣にお答えください。その答えからカイトさんが答えを導き出しますので 彼を見ていれば何もする事が無くなります」


 黄色い球体から 何かが鉄板の上に並べられるかのように並ぶとオーブンの中に入れられると気温が急激に上がり、数分でパンが出来上がって行く、それを何度か繰り返すだけで スープも作り置きを温めるだけなのだが香りだけでお腹が減っている事を理解が出来た。その後も多くの食材が皿の上に並べられていき、その都度、都度、真上に浮いている空間から皿の上に舞い降りて来るだけであった。


 その繰り返しを行うだけで綺麗に盛り付けも終わり、メイド達の朝食が出来上がるのであった。


「奥様、ここからが私達の仕事です。イーナス様に恥を欠かせないために料理を堪能してください。そして 気になる点をカイトさんに教えてやってください」


 その後もカイトの手が止まる事も無く、焼き物を作りだしたり、揚げ物を作り出すも出来上がると魔法陣の中に消えていく。その工程もカイトが観ているだけで何もしない。全て魔法で行ってしまっている。


 肉を切るにしても野菜を切るにしても魔法で行っており、本当に何も道具も使わないし、完璧に均一に切り出してしまって 見ているだけでも十分に勉強になるのであった。そんな中、


「カイトさん、このフライですが香り草のバジルを振りかけるといいと思いますが如何ですか」


「そうですね。それも考えたのですが クララお嬢様が 野菜がお嫌いな物で脇にクレソンを添えてみたのです。それと共に口の中に入れてください。魚の味が引き立って美味しさを増しますので


 サンドイッチなどには、返ってバジルの方が香りも引きだってバターとの相性がいいのかもしれません。ありがとうございます。これからも色々とお教えください」


「本当だ。このクレソンは肉料理に合う物だと思っておりましたが 筋が少ないのですね。どうしてですか」


「本来のクレソンは、川岸に咲いているのですが これは、湖の水面に咲いていたのです。多分、何の支障も無く育ったから 香りも控えめで味のみが独特な香りを醸し出しているのかもしれません。


 鑑定で調べてもクレソンとしてでしか、出て来なかったもので その様な答えをしました。本来の名が在れば、お教え願いたい。葉の模様とか、茎の感じも良く似ているので気にもしませんでした」


「私からも答えは、同じです。私の鑑定でもクレソンとして出てきているので間違いが無いかと思いますが このようなクレソンもあるのですね。これなら ソースにもなりやすいですね。筋が少ないから手間を省けて料理の幅が広がるってモノね。

 私の出来る事って 料理しかないのです。それ以外の事は、殆ど何も出来なくて困ってしまいます」






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