神の雫
その後も肉と皮に素材が積み上がって行き、倉庫一面がカイトの持ち込みだけでいっぱいになってしまった。部屋の中を風が通り過ぎると全ての匂いまでもが綺麗さっぱりと消えており、カップとポットが出てきて 一息入れる処でイーナス達が部屋の中に入って来るのであった。
「これらすべてを買取で構わないのか」
イーナス達が部屋の中に入って来ると召喚魔法陣を展開させる。と バットスライム達が魔法陣の中に消えるのであった。
「肉以外は、お願いできますか。それとお金を先払いで欲しいです。村から出て来る際には、村人の方々から野菜を分けて貰いましたので問題が無かったのですが
この街から王都に向かうまでの野菜が不足しておりまして調達をしたいと思います。金貨10枚ほどで構いませんので残りは、全て献上します。お願いします」
その場から 肉のみが消えるが それでもとんでもない程の素材が残るのであった。肉が積み上がっている場所にまたしても違う素材を出されて 更なる驚愕が目にするのであった。
国が指定する。最悪な魔獣の毛皮や皮が無造作に置かれてしまい。素材までもが所々に乱雑に積み上がるのであった。
「魔物や魔獣の内臓は、持って帰ります。村の肥料にすると魔物や魔獣が近寄って来なくなりますし、土の栄養分にもなりますので野菜の育ちも良くなるのです。
それ以外の素材は、全て置いて行きますのでご自由に御使い下さい」
さすがのイーナスも驚くしか出来ないのであった。無傷で殺傷させるなど無理だと判断したのである。完全にお手上げ状態であった。
「フレイアお嬢様、カイト君にお金を支払ってもらえませんか。残りの素材は、全て献上でお願いします。
それでいいのよね。カイト君」
「それで構いません。僕は、素材を調達できれば、問題がありませんので」
食べれる野草に水野菜も手に入ったし、多くの薬草の素材も手に入った。こんな事ばかりしていると外に出れなくなってしまいそうだ。
この日の内にカイトには、金貨10枚が支払われて 後日、イーナスの口座には とんでもない金額が支払われるのであった。それを知ったのは、随分と先の事である。
夕方と言う事もあってか、売れ残り商品ばかりが目に付くも端から全てを買い取って行く、10数件の屋台から全ての野菜を買い取っても金貨1枚にも満たさなかった。その後も調味料の買い出しと多くの素材まで買いあさって 家路に向かうのであった。
家に着いても夕飯の仕込みをしながら 今後の移動をする際の食事の仕込みも熟しながら下味を付けて カメの中に入れるのであった。いつもなら肉のみだったが 今回は、魚も大量に手に入ったお陰で薬草付けを作る事ができ、街という事もあってか。村に無い、調味料が多く手に入り 味の違う仕込みが出来るのであった。
その後、ムニエルを作りながら フライも作り、焼き魚も焼いて行く。村の時などでは川魚だったから目にする事も無かった大きな魚も手に入り、刺身で食べてみると口の中でトロケル美味しさを醸し出すのであった。
それには、メイドに執事も同じみたいで初めての体験だったみたいだ。味見をしながらも検証を行い、今晩の夕飯が出来上がって来るのであった。
その頃になると伯爵さま家族も集まり出してきて 薬師の師匠も奥様を連れてきて席について待ちわびている。カイトがワゴンを押して中に入ってきた。皆の前に出していくのだが 何が出されたのかも分からないのであった。見えなかったのだ、その証拠に香りだけが部屋中に漂っている。
「どうぞ、召し上がって下さい。食事をお持ちして」
「ちょっと待ってくれ カイトよ。この器の中に何も入っていないぞ。何を召し上がれと言っている」
カイトが水菜の切れ端を舞い上げると器の中に舞い降りる。不思議と器の中心部分で浮いているように見えた。
「勝手に “ 神の雫 ” と 名づけました。見えないスープです。十分に味わいのある出来上がりだと思います」
カイトに勧められてスプーンを皿の中に入れると波紋ができる事を確認してから 掬い上げて口の中に入れる。それだけでも口の中に食材の香りが鼻から抜けて口の中に美味しさが残るも喉を通り、胃に入る事まで理解できた。スプーン1杯のスープを飲んだだけで目から涙が溢れ出てきた。感激を身体で十分に理解するのであった。
イーナスのみが自信満々で皆の顔色を見ながら自慢したいみたいであった。その後、器まで舐めまわすとカイトがスープのお代わりを持ってくると今夜もまた お酒を飲む事を忘れそうになるのであった。花を盛り付けてあるみたいに刺身を盛り付けて出した時など 誰1人として手を出さないでいるとイーナスが食べ始めると飾りだと思われていたみたいで 食べ出した途端に口が止まる事を忘れるみたいに 激しい動きが始まり、止まる事も無く、最後のデザートまで食べ尽くしてしまっていた。
当然、自分の身体がどの様な姿になっているかなど知る由も無く、下を向いた時に激動な下半身になっているのは、言うまでも無い。その後、メイドや執事に連れられてベットに寝かされるまでどの様に運ばれたのかも分からないで朝を迎えるのであった。
翌朝になると昨日の出来事が嘘みたいにお腹の膨らみが綺麗さっぱりと無くなっており、返ってお腹が空き始めるのであった。