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ループ! 神にまで上り詰めた男が 次の世界で何を望む。  作者: 御剣 大河
第1章  影の勇者と糞女神
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 陸ガニ


 地面に着地をするとパトリットが光り輝き収まるのであった。


「ありがとう。カイト、気が利くな」


「どういたしまして パトリットお嬢様」


「懐かしいなぁ~ 昔は、良くお父様に連れられて来ていたものだ」


 パトリットが昔を思い出している最中、カイトとイーナスが湖の上を歩き始めると彼等に付いて行こうとして湖に落ちてしまいズブヌレになるのであった。


「そうでした。パトリットお嬢様は、水の上を歩く事が出来ませんでしたね。とんだ、失礼を致しました」


 何なのだ。この2人は何の躊躇いもなく、水の上に立っているなんて これも魔法なのか、


 カイトが錬成空間を作り出すとパトリットを錬成空間に入れてしまい。服や体に付着している水を取り除き、乾燥まで行うとそのままの状態で湖の中心部分までやって来るのであった。


 パトリット、初めての体験だった。湖の上に立つという事が


「この辺りで どうですか。イーナスお姉さま」


「そうね。いいんじゃないかしら、エサをバラ撒いて カイト君」


 何を言っているのか。理解が出来ないのであった。


 カイトが何かの塊みたいな物をアイテムバックから取り出すと その塊の周りを風が渦を巻き始めて絡み取って行くと辺り一面に何かが撒き散らすこと数分で多くの魚達が集まり出した。それを見た、イーナスが杖を空に挙げたと思った瞬間、雷がそこかしこに落ちてきて 餌に飛びついていた魚諸共、気を失うのであった。


 それを見た。カイトがもう1つの錬成空間で魚のみを入れて行き、手作業で内臓のみを取り出して身と頭をアイテムボックスにしまい、内臓を何かの容器の中に入れて行った。


「イーナス、カイトは何をしているのだ。魚の内臓など食べる事も出来ないのだぞ。どうして」


「あれは、次の餌と畑の肥料にするみたいよ。野菜にも栄養が必要だとかと言っていたわ」


「野菜など地面に種を植えれば勝手に育つもので無いのか。違うのか」


「違う物みたいね。その証拠にクララお嬢様も好き嫌い無く、野菜を食べるようになったでしょう。最近では」


「そうだった。カイトの料理は、肉だけでなく、野菜も美味しかったな、不思議に思っていた」


 それにしてもカイトの手裁きが早すぎて何をしているのかも見えない。それにしても何匹の魚を持って帰る積りだ。カイトは


「妄想に耽っている処、悪いのだけど 狩は、単独それとも2人で行うの、どちらがお好みですか。フレイアお嬢様」


「何が起きるか分からないから2人で行動を共にしよう」


「あら、珍しい。戦乙女のあなた様から そんな事が聞けるなんて思いもしなかったわ。カイト君の影響かしら」


 顔を赤面して


「そうだよ。私も凡人だと思い知ったよ。カイトは本当に規格外すぎる」


「カイト君、フレイアお嬢様を陸地に降ろしてあげて」


 勝手に錬成空間が動き出すと陸地に到着するや否や自然と消滅してしまい。地面に立っていること自体が不思議に思えた。その間もカイトは、湖の中心部分で作業をしている。


「いいのか、カイトをあのままにして置いて」


「作業が終われば、勝手に湖の畔で薬草採取を行っているわ」


 昔から そんな感じだった。不思議なのよね。誰に教わった訳も無く、自然と覚えてしまい。食べれる物まで分かってしまったのが


 太陽が真上を過ぎる頃に湖に来てみれば、大きな丸い物体が宙に浮いており、中に陸ガニが茹でている最中であった。


「今回は、見つけるのも早かったわね。目立つ物を持っていて」


「ちょっと待てよ。あれって 陸ガニだろう。武器で切り付けても刃こぼれをする生き物の筈」


「あれも雷魔法で 一瞬で終るわ。それにいい出汁も取れるしね。料理の幅が広がるみたいよ。カイト君からすると」


「カイトからすると何でもかんでも料理の材料なのだな!」


「そうね。陸ガニの甲羅まで粉末にして畑に撒くほどだからね。何でもかんでも畑に撒いて美味しい野菜を育てているみたいね。本当に何処からそんな知識を持ってきたのかしら 私も知りたいくらいよ」


 理不尽すぎる知能の持ち主だと思い知った。パトリットだった。


 湖の湖畔で焚火をしており、何か得体の知れない物を焼いていた。見た途端に気が付く。


「あれって ドラゴンフライの尻尾の部分か? あれを何する積もりだ、カイトは」


「食べるに決まっているじゃない。羽とかは、素材として売れるから取って置くけど、それ以外は大体、食べるわね。私達は」


「あれも食すのか。本当に食べられるものなのか」


 先程まで さんざんと悪口を言っていた筈が一口、口の中に入れた途端に口の動きが良くなって1人で3本も平らげてしまった。それでもカイトの後ろに大きな陸ガニを見ると腹の納まりがまだみたいだった。


「今夜も伯爵様は、来られますかね。パトリットお嬢様」


「もういい加減、パトリットでいいわよ。カイトにイーナスも」


 2人がハモルみたいに


「「無理です。諦めてください」」


「本当に律儀よね。あなた達2人は、お父様も今夜も来ると思うわ。美味しい食材とお酒を飲みに」


 人の気配を感じ取れた。集団で3組ほどいる。こちらに向かっているように見受けられる。


「今夜は、カニコロッケとカニ味噌を使った料理にしましょう。魚もありますから今夜も贅沢な料理が作れそうです」


 イーナス達にも人の気配を感じ取れるところまでやってくると カイトの後ろに浮いていた。陸ガニが いつの間にか消えており、消えたと同時に集団が姿を現した。


「本当、なんだって 湖で陸ガニを見たんだ。それも見た事も無いほどの大きな陸ガニを」


「ダリアが言っている事は、本当よ。私達も見たけど逃げ出したわ。とてもじゃないけど勝てる自信が無かったわ」


 他のメンバーも頷く。


「あながち、嘘を付いている訳でもなさそうだ。その証拠に多くの足跡が残されているみたいだな」


 集団のみんなが地面を見ると多くの穴が開いており、陸ガニが移動した事を促すのであった。


「この穴の大きさから推測すると体長だけでも3メートルを超えているな! このメンバーでも勝てないかもしれないな」


「無理なら足の2~3本を奪ったら逃げるとするか」


「おい、何か 甘い匂いがしないか。誰かがいるのかもしれないぞ。警戒しろ」


 1人の呼び越えに集団が森の中で散会した。集団のリーダーらしき者がカイト達の前までやってくると それ以外の者達が森の中に潜むのであった。






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