福与
「トビーさん、もう大丈夫です。彼等にも休憩をさせてやってください。この辺りまでくれば安心です」
「分かりました。カイト君」
騎士のトビーが仲間内と冒険者に指示を与えると安堵の顔で安心して休憩を取り出した。
「災難でしたね。お父様、もう 一安心です。周りに魔物の存在も感じられません」
「カイトが言うのであれば、そうなのだろう。また 魔道具作りか」
「相変らず、馬車という乗り物は揺れるのですね。お尻が痛くなりませんか」
「元々が荷馬車に屋根を付けただけだからな こんな物だろう」
「そうなのよ。私のお尻でも痛くてたまらないわ」
父さんの新しいお母さんは、福与かな 体系をしていた。少し、改造をした方がいいのかもしれない。出来上がるまで 新しい馬車が
「それで今度は、何を作っている。また 訳も分からないものか」
「最終的には、馬車を作りたいと思っております。馬が引く力を利用して」
「外の人達に温かい飲み物を出してきますね。喉も乾いているでしょう」
カイトが馬車から降りて外に行く。
「処でカイト君は、いつ 私達に合流したのですか。トリノ」
「先程の戦闘中に突然、姿が現れたと思った瞬間、突風と共に姿を現した。風魔法の一種なのだと思うが理解できない」
「イーナスさんといい、カイト君といい、あなた様の子供は、凄い人たちよね。私の子供も・・・」
新しいお母さんのお腹には、子供を身籠っていた。その為、村に戻っての出産をするのであった。
「普通で 普通でいい。何も特別な力を持って生まれて来なくてもいいから 元気な子を頼む。俺は、それだけを願う」
その頃、カイトは ワイバーンの骨から出汁を取っておいた。スープを温め直して彼等に配り歩いていた。彼等と言っても騎士の人達や冒険者の方々に そんな最中、
「おい、もしかして カイトか、元気にしているみたいだな」
彼は、カイトの父親が仕切っている。村の住人の子供であった。
「すいません。知りません。僕と同じ村出身ですか」
鑑定で名前は分かるが誰だかまでは 分からないのであった。
「ディアポロは、元気にしているのか。俺とコイツが村出身だ。分からなくて当たり前だよな! 年が離れすぎているから」
「ディアポロ兄さんとは、会話もしたことが無かったのでわかりません」
良く殴られていた事は覚えている。それだけだ、
「おい、コイツとイーナスには関わるな お前も奴隷家族の仲間に成りたいのか。あの家の住人だったという理由だけで冒険者から奴隷に落ちた奴が何人いると思っている。
Bランクまで上り詰めていたアイツが奴隷にまで落とされてしまったのだぞ。今では、性格まで変わってしまった」
そう、ペドロに言われるままにカイトを虐めていた。子供の家族一同が奴隷に落ちてしまうのであった。当然、中には冒険者をしている者や商人に成った者もいたのだが 独身だった彼等の大半が奴隷に落ちて天国から地獄に落ちてしまい。当の本人は、国外追放で難を逃れていた。
元々がイーナスとカイトは、村人連中から何も言われてこないし、いない者だと認識されていた為に迷惑を掛けなければ何も言われなかった。何をしていても
それでも村では、貧困が激しさを増してきた。裕福な村人と奴隷の村人で格差が出て来るのであった。奴隷家族の内の1家族が今迄は、裕福な暮らしから土地を取られてしまい。食事までままならなくなり、死ぬ事も許されない奴隷にまで落ちてしまうし、大半の子供まで裸同然の姿で仕事をするのであった。
そんな彼等の畑だけが毎年不作で 普通の家族達の畑は、カイトの手によって改良を行い。豊作が毎年、行うのであった。何を植えても豊作にしかならずにいた。
畑の面積もカイトの魔法で今では、数十倍にまで拡がってしまうし、魔物に魔獣も現れなくなるのであった。それもこれもカイトが生み出した。魔物除けのポーションのお陰であった。作るのに手間がかかるが命が助かると思えば安い物だと村人総出で取り組むようになって 今では、村の収入にまで成ってしまっていた。そのお金の1部が春秋の収穫祭でお酒に変わるのであった。
街から多くの酒を買い占めて村人たちに振舞われるようになった。今回もその酒を運ぶためにカイトの父親が冒険者まで雇って皆の為に運んでくるのであった。
翌日には、村を挙げての秋の収穫祭の準備に追われている最中、カイトは1人、部屋の中で大人しく魔法陣と睨めっこしながら研究していた。新しい魔法陣を作り出そうとしていた。
「理屈は、合っている筈だ。何が足りない」
この世界の理か、それとも違う意味合いか。どっちだ。この世界の知識も乏しい事を理由に諦めるしかなかった。筈だが まさかの近くに解明してくれるヒントが転がっていた。
「カイト君、収穫祭に行かないの」
「魔石に変わる。媒体が無いかと考えていたのです。物を浮かせるための魔力源が無いかと思いまして」
「また 難しい事を言って私にも分かるように説明してもらわないと分からないわ」
カイトが魔法陣を展開させて 中心部分を指す。
「この魔法陣の中心部分に魔石の代わりを探しているのだけど 見つからなくて魔力だけではキリが無いから困っておりまして 何か、知っておりますか」
「世界の何処かに宝珠と呼ばれる物がある事は、私の学園時代に習ったわ。その代わりと言う訳で無いけど 宝石を媒体にして仮の宝珠を作り出す事も可能だったはずよ。
確か、魔法陣があった筈だけど 私には、魔法陣の知識が無かったから作り出せないのよ。ごめんね。
カイト君!」
それだけ解ると この世界の知識の本を拡げるのであった。そこから導き出して答えを生み出した。