衝撃
この前の食事会にならないために今回は、1枚のみにした。
翌日、朝食を出して皆が席について食べ始めると
「お姉さま、僕は行ってきます。1週間後に父さん達と帰ってきます」
珍しく、カイトの両腕にミスリルの腕輪をしていた。
「そう、寂しくなるけど 実験が旨く言ったらカイト君の武器として十分に役立つのよね」
ミスリルの腕輪は、浮遊魔法が発動するのであった。ただし、1メートルほどにしか浮き上がらない。
その頃、パトリットとクララが頭を抱えて部屋の中に入ってきた。2日酔いである。カイトが2人に状態異常回復ポーションを目の前に出す。
「これをお飲みください。2日酔いが収まります。僕が作った、ポーションです」
何の躊躇も無く飲み干した。途端に2人が回復するのであった。それを見ていた男達2人が驚きの顔で眺めていた。
「カイト、それは何のポーションだ。2日酔いに効くポーションなど存在していない筈だぞ」
「状態異常回復ポーションです。父さんにもたまに飲んでおりますが ダメだったのですか」
大人達3人が驚きの顔をしている最中にカイトが部屋から出て行った。
「後の事は、頼みます。話に捕まると今日中に村に到着が出来なくなってしまいますので」
「そう、玄関まで見送るわ」
朝から玄関先で抱き合うのであった。カイトを堪能するかのように そして カイトが浮遊して走り始めた頃にフレイヤ家たちが姿を現したが そこにカイトの存在が もう無かった。
「カイトは部屋に行ったのか。荷物もあるからな」
「せっかく、カイトさんと知り合えたのに」
イーナスが街の屋根の上を指さす。
「カイト君なら今現在、屋根の上を走っているわ。あなた達にも見えるでしょう」
物凄い速さで走っているのだが衝撃で屋根に傷付かないように加減していた。その後、カイトが見えなくなると衝撃音が聞こえて見えなくなるのであった。
あら、あら、本気で走ってしまったら昼頃には付くのでなくて イーナスがそんな事を思っていると領主とパトリットがイーナスの前までやってきた。
「イーナスよ、あれは軍事利用に役立たないか」
「どうして カイトがあれほどにも早く走れる。秘密があるのか」
その後、彼等から質問攻めを受けるも
「朝食が冷めてしまいますわ。食事を食べ終わってからに致しましょう」
軽く流してしまい。部屋に戻ると暑い熱が冷めるみたいに食事が終わるのを大人しく食事を済ますのであった。お茶を飲みながら話を進める。
「分かる、範囲でお教えします。
あれは、浮遊魔法のブレスレットの試し運転の為に行いました」
イーナスが分かる範囲で答えて行く。それでも
「あと、何年かかる。その試作段階が」
「分かりません。開いている時間で作りますし、カイト君の事だから他の事もやりたい年頃ですからね。何年かかるのでしょう」
「それでは、答えになっていないで無いか」
「それは、仕方が無い事です。クララお嬢様の護衛も含まれておりますので 個人の魔力量まで把握する時間もありませんし、どの位の魔力量を使うかも分からない時点です。
まだ 始まったばかりなので今日、明日には無理だと思います」
「それも興味があるが カイトの戦闘レベルは、どの位なのか。教えてくれ」
「他人のあなたにどうしてお答えしないといけないのですか。まだ 10歳になったばかりの子供のレベルを近所の子供と変わりませんよ。そんな処です」
私も知らないのよ。教えてくれないし、本当 大人って面倒くさい。
「それもそうなのだが彼のスキルも知りたいと思っている。答えて貰えないか。無理な事を言っていると言う事も分かっている。個人情報は命に係わるから仲間内でも明かさない。
それでも彼は、勇者クラスまで上り詰めていないか」
テスカトルの言葉に領主も思うのであった。
「第3王子の勇者疑惑か」
「仲間内の鑑定持ちが調べたら 称号に勇者と成っていたみたいです。それはそれほどに思わないのですが彼の場合は、また 違う意味があるような意味合いがあると思うのです。それを教えて貰えないかと思いまして」
「スキル欄は、見せて貰えませんでしたが 称号は、村人の子供。です」
「因みにイーナスの称号も教えてくれ」
「私の称号は、学生、優等生、です」
本当の事など言える訳が無いでしょ。カイト君から武器を引き継いだら賢者になっているなんて 魔力量だって馬鹿みたいに跳ね上がるし、私の方が知りたいくらいよ。
不思議と2人が納得した。第3者の誘導が入ったのだろう。その後は、多くの会話をしていくのであった。
その頃、カイトは木々の上を疾走していた。小枝を足場にさらに加速していると1つの集団がカイトのサーチに引っ掛かった。
あれは、父さん達か。誰かと戦闘中かな?
Cランク冒険者3名とDランク冒険者4名、そして騎士の4名が盗賊と戦闘の最中に1人の騎士が カイトが木々の上を疾走しているのを見て トリノクライム・ゴアボイアに教えるのであった。
「トリノさま、カイト君が追い付いて此方に来ます」
周りを見渡すとカイトの姿が捉えられて 指示を与える。
「カイトが此方にやってくる。衝撃に耐えろ」
騎士たちが盾で領主と奥様を守ると意味も出来ない。冒険者達が狼狽えるのであった。その直後、集団の中に1人の子供が不思議と空中に横になって止まって見えた途端に衝撃波が飛んでくるも冒険者達には、結界を張って衝撃を回避したが何も知らない。盗賊達は、一溜りも無く無残に吹き飛ばされて行った。
その後、冒険者達に騎士にも回復魔法を行ってから両親の下に来る。
「とんだ災難でしたね。お父様」
「バギー、しっかりしろ。お前の顔が盗賊顔だったから こんな目に合ってしまってぇ~」
彼を抱きかかえた。途端に足元に魔法陣が展開されて状態異常を回復されて体力や傷も癒されるのであった。風が流れたと思った瞬間に盗賊達が傷だらけになって多くの血を流し始めると その血を求めて多くの魔物や魔獣達が近付いて来るのであった。
「トビーさん、場所を移動しましょう。魔物や魔獣が襲い掛かってきます」
「カイト君が言っている事は、本当の事なのでしょう。
おい、冒険者達。逃げるぞ、魔物や魔獣が襲ってくるそうだ。死にたくない奴は、村付近まで逃げろ」
意味も理解できない冒険者達は何も気にしていなかったが 風魔法の使い手の彼女がサーチ魔法で付近を調べると物凄い勢いで魔物が向かっている事を感知した。
「あの騎士が言っている事は本当の事よ。私達程度では一溜りも無い内に殺されてしまうわ。彼等には、悪いが 私達が助かる為に囮になって貰いましょう」
馬車を引き連れて逃げた。逃げ出した直後に何度かの魔物に襲われるもカイトの風魔法で難を逃れるのであった。先程の場所からは、悲鳴めいた声が聞こえてくる。
冒険者達が震えながらも懸命に走って村付近にまでやって来るのであった。