寄生茸
やっと アーミーアント(戦闘アリ)が お出ましだよ。コイツ等は、高値で売れる。何時も通りに首を切断で回収だな! 女を抱けるくらいの金も渡さないとイケないから大変だよ。人を使うって
アント(アリ)が1メートルくらいに対して アーミーアント(戦闘アリ)3メートルを超えており、結界を足場に瞬歩でカイトが動くたびにアーミーアントの首が地面に落とされるのであった。その脇をアント(アリ)が通り過ぎていくのである。
カイトは、その度に魔法陣を展開させて回収して回るのであった。この辺りも並列思考のたまものである。違う属性魔法を使いながら 多くの念話も届いて来るから戦闘に集中も出来ないのも事実である。
『カイト済まん、ミリィに聞かれてしまって』テレスティア・バロンフォード バロンフォード領の次女である。そして 誤ってきた彼がテレスティア・バロンフォードの婚約者で第3王子のケビンコーテナ・ギルガイア、ギルガイア国の第3王子で異母兄弟のミリィーナ・ギルガイア第4皇女で 愛称が “ ミリィ ” である。
ミリィーナ・ギルガイアの婚約者がシルフォード伯爵の息子で次期伯爵家を継ぐ、トリスティング・シルフォードであった。
『寝ているから大丈夫かと思った。本当にゴメン』
『カイト、私達の分を取っておきなさいよね。急いで走っているから』
『程々でいいから また パパに怒られてしまうわ。カイト』
『今度は、大丈夫よ。私の領土よ』
『ウフフ~ 楽しいぃ~子』
『カイト、状況はどうなっている』
『カイトさん、魔鏡がありました。未だに小鬼が続々と出てきております。
シャーマンは、1人で無く 3人おりますが如何いたします』
『戻って 俺達に合流して戦闘しろ』
『今現在、アントが500程、小鬼が300以上、未だに増えております。魔境が発見されました』
『俺の大好きな “ テレス ” 急いでくれ間に合わない』 嘘だけど
テレスは、顔を赤面しながら興奮して スピードが更に増した。
『そんな事を言ったら 本気にするわよ。テレスは、純情だから』
『カイトが2番目の旦那になってくれると僕も色々と助かるよ』
『頼む。これ以上にスピードを上げないでくれ 付いて行けない』
『なんか、焼けちゃうわね。私の2番目の旦那にもなってよ。カイト』
『カイトが2番目の旦那になる事なら反対しないぞ。俺も』
『魔境だと魔王が復活したのか。カイト』
「あら 大変。お嬢とお姫様が来るんだって」
「何! あの2人がこの街にまたやって来るのか。頼むから街を壊さないでくれよ。
庇い切れないぞ。ワシでも」
「婆さんでも そんな事が言えるようになったのだな! ガッハハ~~」
「酒の席だからと言って ミナギク様も冗談が言えるようになったのね」
「お・ま・え・らぁ・~~なぁ~!」
念話が途切れる事も無く、カイトの戦闘も終わりを見せないでいた。そんな最中、アーミーアント(戦闘アリ)の集団を抜けると そこには、更なる大きなクイーンエリザベス(女王蟻)が控えており、彼女の背中には、寄生茸が付いていた。
寄生茸の中には、液体が入っており 宿主が瀕死のケガをするとそれに乗じて液体を体内に流し込み回復をしてしまう厄介な代物なのだが 人間社会の中では、反対に劣化版のエリクサーと言われており 高値で売り買いがされているのであった。
当然、そんな物が付いている存在自体が厄災に認定されるほどにも強いのだが カイトがクイーンエリザベスの後ろに回り込み1ミリにも満たない部分を切り取って錬成空間の中にしまい込み、そのままアイテムボックスにしまった途端にクイーンエリザベスの首が地面に落とされた。
アント、独特の周波数が切れた途端に普通のアントたちが森の中に逃げ出すのであった。アーミーアントは、カイトが全滅させてしまっていた為に問題も無く、と 言っても38体しかいなかったために それ程問題視していなかった。のも事実である。
ミナギクが全身で震えた。
「どうした。婆さん」
「今、悪寒が走ったぞ。不吉な事が起きなければいいな」
「案外、カイトから高値で買い入れをする羽目に成ったりして」
「辞めてくれ、それでなくてもカイトからの買い入れは、シャレにならないのだから その分、儲かっているのだがな」
「どうせ、30倍くらいで売りつけているのだろう」
「当たり前だ。カイトが持ってくる素材は、下拵えが終わっておるからな」
「今回もゴチになるぞ。婆さん」
「いつも悪いわね。ミナギク様」
「私を憚ったね。今! 目で合図したろう」
「気にするな 婆さん! 何時もの事だ、酒の席だろう」
「安心して金が無くなれば、商業ギルドに回しておくわ」
「お・ま・え・らぁ・~~なぁ~!」
『フィンさん、終わったから適当に回収しておいて 残りは、冒険者に任せる。それと ・・・ いいや、街に帰っていいよ』
『洞窟の方は、如何いたしますか』
『回収が出来たら回収するけど 出来なければ封印しておく、その際に場合によっては、数名を待機させるかもしれないので よろしく』
『他には、ありませんか』
『特になし、休んでくれ』
この人は、何時 休んでいる。寝ている処を見た事が無い。
カイトの場合は、並列思考を多数 持っていた為に半分が寝て 半分起きていた。そんな神業が出来てしまっていたのだ。暇が出来れば、ポーション作成や薬の調合をして無駄を省くのであった。
あと3年の辛抱だと自分に言い聞かせるのであった。