魔剣
あれ、可笑しいな! 文献などに出てきていた記憶があるのだがな! この世界には、存在していないのか。魔剣がそんな事にでもなったら俺が作り出す武器など全てが神業か、もしくは ・・・
「魔剣とは、魔法も操れる剣です。剣の根元に簡単な魔法陣が描かれており、魔力浸透がよくなるように仕組まれております。多分、芯にミスリル鉱石が使われているのでしょう。剣部分は、オリハルコンで作られておりますので強度面も考えられます。
パトリットお嬢様の場合は、火を操るのに適していると思われます。間違っておりましたか」
「ちょ・ちょっと待ってくれ、この剣は我が家に代々引き継がれてきた剣であって そんな大層な代物で無い。筈だ。私のお父様もそんな事を一言も教えてもらっていないぞ。
どうして 君は、見ただけでそんな事を言える」
「先程、数度の素振りを致しました。その際に無魔法を流して確認したまでです。どうも 今迄に誰も魔力を流さなかったみたいに見受けられましたので 芯のミスリルが綺麗な状態で残されております。何代も使ってきたのであれば、もう少し、傷んでいるのかもしれませんが問題なく、これからも使えると思います。
できましたら もう少し、武器を綺麗にして差し上げた方が武器も喜ぶと思いますし、切れ味が変わります」
「君は、本当にクララと同い年の子供に見えなくなったよ。イーナスが君を天才と言う意味を思い知った。
それで私がこの剣を使いこなすには、どのような事をすればいいのか。お教え願いたい」
「簡単な事です。体内の魔力循環を安定したら 武器に魔力浸透を行えば、それだけで誰でもが使いこなせます」
「ちょっと待ってくれ、魔力循環や魔力浸透って 何だ」
カイトがイーナスを見ると頭を抱えだしていた。今迄に先生方も教えていたのだが誰1人として理解できる者が存在していないし、教師も使いこなせないのであった。
極僅かな、高ランク冒険者達が使えるくらいであって それ以外は、稀に魔法使いが使いこなす程度の代物である。
「彼女と両親も脳筋なのよ。武器を大事にしているのだけど、何でもかんでも振り回して解決して来たわ。そんな両親の下で剣の扱いを教われば、必然的に同じ道を進みだすでしょう。カイト君」
とんでもなく疲れる世界に飛ばされてしまった。今更
「長い道中の時にでも魔力循環を覚えましょう。きっかけを覚えてしまえば簡単に誰でも使いこなせます」
「1ついいか。魔法剣だと実感が欲しい。実際に見せて貰えないか」
カイトが剣を受け取る。鞘から出した途端に炎の剣に変わるも その後、氷剣、雷剣、光剣、暗黒剣、に変わりだした。剣を振れば、風が吹き荒れて 小石が宙に浮いて回りだした。行くようにも使い道を示すかのように
「こんな処でよろしいですか」
パトリットとクララは、目が点に成っており 不思議な物を見るかのような振る舞いをするのであった。
「これが本来の姿をした。私の武器なのか。凄いな!」
「何か、勘違いをされておりますが これは、初歩です。姿かたちは、パトリットお嬢様がお決めになる事です。後は、魔力量を増やせば、どのような姿も作り出せると思います。
ただし、魔力欠乏症にも成りやすくなりますのでお気をつけなされた方がよろしいかと思います」
「何でもお見通しなのだな! それには、魔力循環を覚えてから魔力浸透だったな」
「イーナスお姉さまは、魔力循環を半日で覚えられてしまわれたので パトリットお嬢様もその位で覚えられるでしょう。魔力浸透には、1日を費やしましたが問題が無いと思います。
余り長話も馬車を待たせてありますので この辺りでお開きにしませんか。御両親も心配すると思いますので」
何を思ったのか。突然
「クララ! 今日は、イーナスの家に泊まるわよ。いいわね」
憧れのイーナス様の家にお泊りが出来るなんて な・なんて幸せな事なんでしょう。どんな暮らしぶりか、楽しくなってきました。
「わかりました。お姉さま! 今日は、カイトさんと寝ますので問題がありません」
「ちょっと待って クララ様、今しがた。私のカイト君と一緒に寝るといいませんでしたか。カイト君と寝る権利は渡しませんわよ。カイト君は、私だけの物なのですから」
「学園に行ったら カイトさんの腕枕で寝る事になりますので 今から準備も兼ねて今夜辺りから寝たいと思います。いいですよね。カイトさん」
「ダメよね。カイト君は、私の物よね~。カイト君」
2人が言い合っている間に カイトは、パトリット達を迎えに来た。馬車の人に説明をして帰って貰う事となるのであった。その際に どうしても帰って来ないといけない事になった場合は、もう1度 迎えに来るそうだ。お手数をおかけしますとお辞儀をしただけなのに ここでも出来た子供だと言われてしまうのであった。
食事前のお風呂に入るのも いつもなら2人で入る処を今夜は、クララが入って来るのであった。対抗意識を燃やして それでもカイトの手に掛かり、全身の筋肉を揉まれて風呂の浴槽内で浮いていた。当然、イーナスも同じ状態だった。いつもの事だが パトリットのみが全身の筋肉を揉まれて幸せそうな顔で浸かっているのだが お風呂の熱さで数分後には、3人が浮き始めるのであった。
仕方が無く、1人ずつ抱きかかえて服を着させてから脱衣所に冷風を回して身体を余り冷やさない程度にさせながら行うのであった。今迄は、1人だったのが今回は、3人になってしまっていつも以上に大変な目に合うのであった。
その後の食事も前菜の生野菜を出した時など クララも嫌な顔をしていたがイーナスの一言で
「カイト君の作り出すソースを掛けると美味しいわよ」の 一言で生野菜を克服してしまっていた。それどころか、お代わりまでするのであった。パトリットも微笑ましく見ていたのだが生野菜を一口食べただけで 自分を忘れて物凄い勢いで生野菜を食べ出すのであった。
その後、スープとパンを出して 肉料理を作っている最中に屋敷のチャイムが鳴るのであった。