作成
「イーナスお姉さま、すいません。お手伝いしてもらって さすがに僕1人では、作るのに時間が掛かり過ぎます」
「そんな事はいいのだけど 何もグリーンドラゴンの鱗を使わなくても良かったのでなくて 他にも素材だけなら大抵の物があったでしょうに」
「今回の思い出にも成って貰えると思いまして それに薬の材料と考えても量が多すぎます。僕1人で使い切れません」
「それにしても レットボアの肝があんなにも美味しかったのに グリーンドラゴンは、その更に上を行っていたわよね。私も出くわさないかしら また食べたいわ」
「何を言っているのですか。イーナスお姉さまは、毒を抜く事が出来ないから猛毒を食す事になりますよ。同伴者の方が可哀想に思います」
「何を言っているの カイト君、そんな物はそのままの状態で持って帰って来るわよ。私に解体なんて無理、カイト君に全てを任せるわ。
私は、食べる方に専念させてもらいます」
「姉さん、そこ! 文字が反対です。書き直してください、発動しなくなってしまいます」
「あっ、ゴメン、ゴメン、書き直すわ。けど カイト君も見ただけで良く分かるわよね。私でも分からない事をよく知っているわ。
来年から一緒に勉強ができると思うと楽しくなるわ」
「その前に僕が試験を受けてもいいのですか。それに何を勉強しないといけないのですか。分かる範囲でいいのでお教え願えませんか」
「簡単な計算と国の歴史や文章が読めればいいだけ、カイト君にとっては もっとも簡単な事よ」
魔法陣の作成や薬草の知識を持っている君にとっては、学園の事など簡単すぎてしまって何も学ぶことが無いと思うわ。私がカイト君に教わる方が多いいと思うし、私も頑張ろう。
「私が持って帰って来た本は、少しは役だったかしら」
「十分です。知らなかった。ピースが埋まりました。何度も読み直しております」
「えっ?もう 読んでしまったの 3冊もあったでしょう」
あれ高かったのよ。そんなにも簡単に読める代物でないのに 既に私を超えているわね。
私が卒論に選んだ物だからカイト君に色々とアドバイスを頂けるわ。良かった。買っておいて
「3冊の内、1冊だけ 品質が違う本がありましたが 何か、別の用途でもあったのですか」
「それね。私の卒論に使おうかと思っているのよ。カイト君の意見も聞かせてもらえると私も助かるのだけど いいかな!」
「わかりました。僕の意見として取って貰っても構いません。明日までに作成しておきます」
翌日の朝にカイトから 論文を受け取ると固まってしまっていた。何度も読み直しても手直しする処も無いほどで完璧な仕上がりで それ以外にも多くの事が書かれており、何処に出しても問題が無い状態であった。
言わないでおこう。既にカイト君が教わる事は何も無いわ。私でも分からない事が多すぎるってシミジミと見せつけられた気分!だった。
昼過ぎにフレイアお嬢様がクララを連れて 屋敷に顔を出した。カイトが護衛する。対象者に合わせてくれたのだ。と 言っても2日前の食事会に彼女もいて大きな腹をしていたのだが
屋敷のメイドがイーナスを呼びに来た。
「イーナスさま、お客様がお見えになりました」
「ありがとう。今、行くわね。もう少し待たせて置いて」
作業服から普段着に着替えて 広間にやってくる。
「お待たせしましてすいません。作業をしてまして 少々、時間が掛かってしまいました」
「天才のあなたが何を作っているのですか。私も興味が湧きますわ」
「お父様が20件も受けてしまって 私もカイト君に教わりながらアイテムバックを作成している最中です。
フレイアお嬢様の横に居られる方が クララお嬢様ですか。初めましてイーナス・ゴアボイアと言います。カイト君の事をお願いしますね。学生でいる間だけになりますが よろしくお願いします」
1代貴族のイーナスが頭を下げただけなのだが それだけで恐縮してしまうのであった。本来の貴族なら滅多に人前で頭を下げる事も無かったからである。
イーナスの笑顔を見ただけで心が満たされて 憧れの先輩が目の前にいる事を実感するのであった。
「クララと申します。カイトさんは、何をしているのですか。顔を出してもらえないのですか」
「カイト君は、今は無理です。手が離せない部分をやっておりますのでもう少し時間が掛かると思います。彼もあなた様を確認しておりますので問題が無いと思いますが」
「そんな事を行っていていいのか。海王学園の中途入学の試験がどれほど難しいか、イーナスも知っているだろう。何を作っているのか知らないが勉強させろ
私が教えてやってもいいぞ」
「フレイアお嬢様、私に色々と教えてくれるのが誰だかお忘れですか。カイト君なら問題なく満点合格です。試験も実技も魔法もです。せめて学園に行ったら先生方にも言いますが 最大魔法の要求だけはしないように勧めるだけです。
どれほどの被害が出てもしりませんから と 教えて差し上げないと生徒が半分以上死んでしまいます」
「イーナスの弟のカイトは、それ程までに凄まじいのか。この前の食事会で彼を見かけなかったが何処にいた」
「カイト君は、会場内に居りました。魔法で姿を消しながら人様が方の邪魔にならないように気を配りながら配膳やお片付けをしておりましたわ。あの時の料理もカイト君が作った物です。
彼曰く、薬の調合と料理は、同じ物みたいです。複数の食材を合わせればいいだけだとおっしゃっておりましたわ。私には理解する事が無理ですが」
「ちょ・ちょっとまて 薬の調合が出来るのか。薬師の資格を持っているのか」
「何を言い出すのですか。薬師の資格を得るのは、12歳からで無いと無理なのは、知っているでしょう。フレイアお嬢様でも」
「クララも光魔法が使えるから 薬師の資格を得れば、学園を卒業した頃には仕事場が増えると思っているが毎年、1人受かればいい位の難関だぞ。分かっているのか」
「そうですわね。フレイアお嬢様! それでもカイト君なら1発合格になると思います。彼なら」